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1分しまうま

浮気がバレて彼女にコーヒーを頭からかけられた。マジやべえ。

ぬるいコーヒーが頭からおろしたての白いシャツにしたたり、まだら模様ができた。

あ、俺今、しまうまみたいと思ったら、しまうまになった。でも謝らなきゃ彼女に。

声を振り絞ると、「ワンワン」と犬みたいな声がした。自分の声を初めて録音した小学生の時より、びびる。こんな声なのか。謝罪には聞こえないし、彼女は驚きもしていない。怖い。

俺がしまうまになったのはほんの一瞬で、今はただ、しまうま模様になったコーヒーが染みたシャツを着た男になっていた。

「知ってた?しまうまって警戒心強い動物なんだよ?」ため息をついてさらに続ける。

「あんたは、しまうまにも、なれないってこと」

そう言い残し去っていった。

しまうまにもなれない…

涙が落ちて、ジーンズに、縞模様ができた。目をこするとそれも消えていた。

もう、あの珍しい声ではない。いつもの俺の、きたねぇ泣き声だった。



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