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誰を信じるのか、ではなくて何を信じるのか【映画】悪い子バビー♯118


悪い子バビー

 1993年制作/2023年公開/オーストラリア

【ストーリー】



バビーは生まれてから母親によって地下室に閉じ込められ、35年間外の世界を知らずにる。外の世界は汚染された空気の毒で命を落とすとして、母はバビーを支配下に置いていた。だが、ある日突然行方不明だった父親が帰って来る。これをきっかけに、外の世界へ踏み出すバビー。彼が見た初めて世界とはどんなものだったのか。

ガスマスクがいる程外界は野蛮

【解説というか、レヴューというか、】 



外に出たバビーが出会ったのが聖歌隊。音楽に感動できる才能を持っていた。バビーは音楽に関わる人に導かれながら世を渡り歩いていく。その様子は主に社会構造の野蛮さを映しだす。純真無垢な人間が社会に適応する難しさを指摘する。監禁されて育ったのでモラルを判断できないのだ。

世界の狂気と残酷さに打ちのめされたバビーは酷く後悔。ここにバビーを閉じ込めた母親の気持ちが窺える。明確なハンデを持った彼にとって外の世界は生きづらいのだ。

引きこもっときゃよかった…


前半だけだと母親は虐待を行なっている様に見える。けど全くもってそれは違っていた。バビーが後悔する姿は、母親も傷ついた過去があるんだと想像出来るエピソード。愛する息子に同じ思いはさせたくないゆえ、愛情の軟禁だった。

では母は何に傷ついたのか。それは見た目。身体的特徴だ。今になってこの映画が日本で公開された理由は、見た目で判断されるマイノリティの生きづらさをようやく世間が受け入れようとしているからだと思う。

音楽に誘われ、仲間ができる



苦しみながらも自分なりの生き方を見つけるバビーが何を信じるのかで人生はこんなにも変わるんだよ、とメッセージを送っているようでした。
お勧め!

【シネマメモ】 

ヨルゴス・ランティモスの「哀れなるものたち」の原点がここにあり。

1993年制作の作品が2023年になって劇場公開された。前半のカオスが凄くて公開に30年も要したのかな?確かにカルト的な作品。この時代の映画を今新作として見られるなんてかえって贅沢なのかもしれない。

もう歌うしかねえ

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