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口を閉ざす被害者、声を上げた被害者【スキャンダル】♯091


スキャンダル   2020年/アメリカ



【ストーリー】

2016年、全米最大の放送局。
視聴率No. 1の『FOXニュース』で
クビを言い渡されたベテランキャスターのグレッチェンは、業界の帝王と崇められるCEOのロジャー・エイルズを提訴した。

局のメインキャスターであるメーガンは大きく動揺している。
今の地位をつかむまでの過去を思い出していたのだ。
一方、メインキャスターの座を狙うケイラは、ロジャーと対面する機会をもらう。
ロジャーはケイラに対して、忠誠心を見せろと迫める。



【解説というか、レビューというか】

原題は『bombshell』はセクシーな金髪美人の意味。
アメリカで実際に起こったセクハラ事件を基に映画化。
FOXニュースの裏でセクハラの被害にあった、
三人の女性キャスターの心情と勇気ある行動を描いた作品です。


セクハラやパワハラは日常的に起きているかもしれない。

助言や冗談を言う中にハラスメントが含まれることだってあるからです。
加害者は罪の意識がないのがほとんどなのです。


『忠誠心を見せろ』と言われ、
咄嗟のことで平静さを失ったケイラは、
ジャーナリストの一員でありながら権力に平伏してしまいました。
ケイラ以前にも、メーガン、グレッチェンも
過去に被害を受けていました。
彼女らはセクハラを訴えるが、権力を持ったロジャーに恩を感じる人も多くいた。

けれども、ハラスメントとそれは
切り離して考えなければいけない。

それを曖昧させるのが権力と輝かしい功績。




事実に基づいた強烈なセクハラのお話しは、
日本だって起こっています。
映画が『スキャンダル』ならこちらは
『大スキャンダル』
世論の反応に敏感なはずのTV業界なら
トップニュースになるはずなのに、
なぜか報道されない小児性愛ハラスメント。
さすが、報道の自由度ランキングが低い日本のTVでの事。

歌って踊って笑わせてくれるはずのお兄ちゃんたちを見かけてもただただ、しらけちゃってしょうがない。
セクハラが蔓延していた芸能事務所を未だに
支持している放送局なんて、軽蔑の眼差ししか送れない。

自分や他人を犠牲にしなければ活躍できない環境で
働く人達を応援する気にはもうなれない。



映画『スキャンダル』の基となった騒動や、
映画界の帝王、ワインスタインのセクハラ事件には
『私も被害者です』と声をあげる人が多数いた。
それが後にSNS上で#metoo運動 となって
被害を訴え、撲滅を目指す為の運動に発展しています。
映画でも描かれているように、声を上げなければ、
その後も被害を受ける人がいるんです。



日本版はどうだろう、
揉み消されて、終わり。
なんなら、被害を訴えている人が攻撃される。
いったいどれ程の権力を持っていれば、
こうもあっさりもみ消す事ができるものか。
そんな世界で被害を訴えているなら、
命の危険も感じたりしたはずだ。
だから言っても徳しないし、Metoo運動みたいなのも起きない。
これが数十年もの間、ずっと。
これは悲惨すぎないか。


弱い立場にいる人を、モノのように扱い、
まるで奴隷を生産してるみたいな事務所だった訳でしょう。
そういう組織に課金するのはもう終わりにしよう。
彼ら彼女らを危機に陥れてるのは、臭いものにフタをして喜んでいる大勢の人たちなんだ。


【シネマメモ】

醜い部分も何かの形で表現してほしい。
エンタメの世界で生きる人に私たちが求める事は、
言葉にできない思いを歌や演技で語り、
みせる事です。

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