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終活はなぜ必要?年代別にできることとやっておきたい5つのこと

最近、「終活」という言葉を耳にするようになり、あなたの周りでも始めた方がいるのではないでしょうか。「私も終活をした方がいいのだろうか?でも、資産がそんなにあるわけではないし…必要になってからで良いか。」と、先延ばしに考える人がいるかもしれません。
ですが、「必要になる時」が目に見えて訪れるとは限りません。体も心も健やかな今、まだ必要ないと思える状態だからこそ向き合えることもあります。「終活」という言葉を聞いた時が一つの巡り合わせだと思い、できることから始めてみましょう。

終活とは?いつからどんな目的で始めるのかを解説


終活とは「人生の終わりについて考えたり、それに向けて備えたりする活動」のことです。
最近は、さまざまなメディアや媒体で取り上げられ、身近なところでは自治会や葬儀会社などが終活セミナーや終活カフェなどを開催している地域もあります。
では、どのような状況にある何歳くらいの人が終活を始めるべきなのでしょうか?また、自分はそれに当てはまるのでしょうか?

ここでは、終活の目的など、以下のような基本となる考え方を解説していきます。自分に当てはまるところはないか、確認してみましょう。

終活をする目的と必要性

終活の目的としては、死後のことばかりではありません。年齢を重ねて、思考力や判断力が落ちてきてしまった時でも、また認知症になってしまったとしても、事前に準備をしておくことで、老後への不安解消につながります。

加えて、終活には次のような目的が挙げられます。

  • 医療や介護などの老後の希望を伝えること

  • 身辺整理や財産・葬儀などの死後の希望を伝えること

  • 身寄りがない方の場合、孤独死を回避すること

終活の最大の目的は、事前に準備しておくことで老後・死後の不安を軽減することです。
また、必要性として、遺された家族や大切な人への負担を解消することが考えられます。

準備するにはまだ早い?何歳頃から考え始めるのが良いのか

終活は何歳から始めるのが良いのでしょうか?大体、60〜70代で始める人が多いのが実状ではありますが、実際は思い立った時が始め時と言って良いでしょう。早過ぎて悪い、ということはありません。以下のように、年代関わらずできることはたくさんあります。

20〜30代では、終活のための資産を形成していくことも一つの手段と言えます。NISAなどを利用して早いうちから積み立てておくと、後々経済的な負担が楽になります。

40代は自分自身の体にも変化が出てくる年代なので、かかりつけ医の整理など行います。また、住宅ローンや保険、ネット銀行などを利用している人も多いので、それらを一覧にしておくのも良いでしょう。

50代からは親の介護が必要となってくることもありますので、親子一緒にそれらの制度について知識を深めていくことが必要です。お墓や葬儀費用の具体的な金額を調べ、検討することで蓄えるお金を推測しやすくなります。

60代は会社を退職する人も増えるので、今後の収支のシュミレーションが必須でしょう。相続についての意向がある人は遺言書の作成をします。

70代以降は自分の時間も増え、ゆっくり終活と向き合える時期です。しかし、退職などで相談する周囲の人が減ることも考えられますので、あまり一人で思い詰めず、子供や自治体の相談窓口を利用しながら進めることが大切です。

終活について整理したことなどはエンディングノートにまとめます。一度書いたらそれで終わりではありません。心境や環境の変化に適応させながら手軽に更新していくこともできますので、定期的に見直すことがとても重要です。

終活にかかる費用相場

医療や介護、葬儀・墓、遺言書作成、遺品整理など専門家や業者などに頼るほど、当然ながら終活に掛かる費用は増えていきます。できるだけ、家族に経済的負担をかけたくないと多くの人が望んでいます。しかし、「あまりお金をかけて欲しくない」という曖昧な言い方は混乱を招くので、避けましょう。事前に葬儀のプランについて調べ、遺言書を自分で作成しておくなどの具体的な「自分の終わりについての考え方」を大切な人たちに準備しておくことが大切です。
自分に必要な終活費用の内訳など、以下の記事を参考にしてみて下さい。

終活費用はどのくらい?項目別に内訳や相場をご紹介 未来のお思託


終活をする上での注意点

終活をするにあたっての注意点は、過度に不安になってしまわないようにすることです。
家族に負担をかけたくないあまりに、全てを自分一人で抱え込み、悪徳業者や詐欺に引っかかってしまうケースもあります。
そうならないためにも、家族や信頼できる人と一緒に終活を進めていきましょう。


おひとりさま終活は必要か?

終活の目的として、家族に負担をかけないため、があります。しかし、身寄りがない人や親族と疎遠になっている人などにとって終活とは、「目的があるか、ないか」というよりも「必要不可欠」なものと言えます。
その理由と対策は、下記の通りです。

  1. 孤独死を回避するため

孤独死は、高齢者に関わらず家族と住んでいない人にとって、誰にでも起こり得るリスクです。早く発見してもらえる方法を備えておきましょう。
孤独死を回避する方法として、宅配サービスや訪問介護、地域の集まりなど定期的に行われるものに登録するなどの対策があります。


2.財産の相続が希望した通りにならない

もしも自分に法定相続人がいない場合は、財産は国庫に入ります。あなたが相続したい誰かや、遺贈したい企業や施設などがあるなら、その希望を遺言書という形で示さなければなりません。


3.老後や死後に事務手続きなどが手付かずになってしまう

認知症や老化、または死後にも様々な手続きが発生します。それらの対策ができていないと、周りの人や家主に迷惑がかかる場合があります。そうならないために、第三者にあらかじめ依頼しておく制度があります。

3-1.財産管理等委任契約
判断能力が低下する前から財産管理を誰かに委任したい場合に結ぶ契約です。
身体的不自由などにより財産管理が困難になった際に便利ですが、例えばキャッシュカードで本人の代わりにお金が下ろせてしまいます。このようなトラブルに見舞われることもあるので、注意が必要です。

3-2.任意後見契約
財産管理や介護療養に関する手続きを代行する後見人を選び、契約しておく制度です。
判断能力が低下した際に銀行手続きや年金・保険の手続きを代行してもらえます。また、施設や病院に入る際の身元引受人になってもらうこともできて安心です。

3-3.死後事務委任契約
自分の死後に発生する事務手続きを生前に依頼しておく制度です。
下記の手続きを第三者に依頼できます。

  • 葬儀、埋葬

  • 入院していた病院や介護施設の費用の支払

  • 公共料金やカード会社などの解約

  • 自宅や介護施設の片付け


終活でやっておきたい5つのこと


さあ、終活に取り掛かろう!と思ったけれど、何から手をつけたら良いかわからない場合は、次の5つのことを始めてみましょう。

身のまわりの整理

一番簡単にできることは物を減らしていくことです。遺言書、戸籍謄本、保険証、財産リストなどの重要書類は整理し、これらの書類を一箇所にまとめ、その場所を家族に伝えておくと良いでしょう。
また、趣味で集めている物などは、死後に譲る人を決めておいたり、処分方法を家族と話し合ったりしておくことで、遺族間のトラブルを避ける手助けになります。。

財産のこと

まず、自分がどのような資産をどれだけ持っているかを書き出してみましょう。
次にその資産をどのように分配したいかを明確にするために、遺言書の作成を検討します。遺言書には、資産の分配だけでなく、負債に対する指示も含めることができます。
場合によっては、税務や法律の専門家に相談しましょう。資産の最適な管理や相続税の対策、遺言の作成について適切なアドバイスを得られます。

医療・介護のこと

かかりつけ医、服用している薬などを書き出しておきましょう。既往症、アレルギー反応、過去の手術や治療の詳細など、自身の健康状態に関する詳細情報を整理し、緊急時や新たな医療提供者との面談時に役立てるようにしておくことが重要です。
終末期医療や延命治療の希望や考え方、介護方針はどのようにしたいか、入りたい施設はどのようなものかなど記しておくと良いでしょう。万が一、自分自身で意思決定が困難になった場合に備えて、医療意思決定の代理人を指定しておくことも大切です。

葬儀・墓のこと

葬儀の規模や亡くなったことを伝えてほしい人、喪主になってもらう人などの要望を伝えておきましょう。葬儀会社に事前相談に行き、費用を比較・確認するのも今後の終活の動きに具体性が増します。
費用が心配な人は、葬儀費用だけでも賄える保険を検討するのも一つの方法です。
遺影を事前に準備される人も増えています。

エンディングノート・遺言書

老後や死後について考えたことをエンディングノートにまとめましょう。
最初にノートを手に入れ、それを開いてみることから始めるのも良い方法です。
最近は、自治体や葬儀会社などで無料で手に入ることも多いので、気軽に手にとって見てみましょう。
そして、エンディングノートに書いたことで法的に効力を持たせたい場合は、遺言書を作成します。手元にあるノートとペンで簡単に記入できますので、下記の記事を参考に遺言書も視野に入れてみて下さい。

遺言書(自筆証書遺言)の書き方と例文 守るべき要件から注意点までわかりやすく解説 相続会議 朝日新聞社運営のポータルサイト


親子で一緒に終活を考えてみましょう


親子でも改まって老後や死後、また財産の話などをすることは少ないでしょう。
ですが、いざという時に慌てないためにも、一人一冊ノートを用意して、自分自身のことも書き込みながら親子で一緒に考えていくと、お互い構えることなく手軽に取り掛かることができます。

終活をしなかった親が亡くなった時に困ること

親子と言えど、誰とどこまで親交が深かったのかまでは把握しきれません。葬儀の際に、誰に伝えるのか、参列してもらうのかなど事前に知っておくと慌てずに済みます。
また、埋葬はどのようにするのか。最近は永代供養や樹木葬をされる人も増えており、墓を建立する必要がない場合もあります。
財産の把握も大切です。通帳の置き場所一つをとっても生前から話をしておかないと、家探しをすることになってしまいます。

話すことで見えてくるお互いの知らなかったこと

遺言書の中で、「付言事項」という形で自分自身の想いを遺族に伝えることはできます。
しかし、やはり遺言書を開いてみて初めて親の想いを知るというよりは、生前から対話によりお互いの想いを伝え合っておく方が、誤解や遺族同士のトラブル防止につながります。
離れて暮らす親子でも、帰省するお盆にみんなでノートを開くことがお決まりの行事となるようにしてみるのも良いでしょう。

まとめ


自分自身や親の老後や死後のことは、できることなら目を背けたいことです。自分だけは、自分の親だけはいつまでも元気でいると、誰でも思ってしまうでしょう。
ですが、「終わり」は全ての人に平等に必ず訪れるものです。できれば、その「終わり」が具体的に見えていない、心身ともに健康な時に終活を始めて下さい。
もし、どこか体に不調が出た時に「終わり」のことを考えてしまうと、あの時準備を始めたことで死期を早めてしまったんではないか、とネガティブな思考に陥ってしまう恐れがあるからです。そのため、元気なうちにできれば周りを巻き込みながら、楽しく終活していきましょう。

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