1年目 ブラック非常勤講師
私のスタートは、非常勤講師からでした。教育委員会から電話があり、面接をということでしたが、いきなり仕事の説明でした。驚いたのは教科外の授業担当としての採用ということでした。経験がないというと「学力の低い学校なので大丈夫です」と即答されてびっくりしたことを覚えています。思えば、3月も中旬だったので、新年度までに人員をあてがうことに躍起になっていたのでしょう。臨時免許の申請について詳細に説明があり、勤務校の名前を言われました。
指導主事「○○中学校ですが大丈夫ですか?」
わたし「・・・???」「・・・はい」
指導主事「ありがとうございます、ありがとうございます」
このやりとりの意味は、勤務を始めてみてわかりました。しかし、地元でもない地域で土地勘もロクになかった私は「あー、働くんだ」くらいの感覚しかありませんでした。
4月1日、授業が始まるわけでもないのに勤務先に行くよう指示がありました。「あれ、非常勤って授業だけなんじゃなかったっけ」と思いましたが、教科書等を渡されるのかなと思いました。しかし、いきなりの職員会議に参加で、自己紹介を求められました。勤務先は、生徒数1000人超で、教員数60人以上のなかなかの大規模校でした。私のほかにも非常勤講師が2人いました。常勤講師も7~8人いました。私が教員を始めた自治体は、臨時採用について「まずは非常勤講師、そして見込みがあれば常勤で」という暗黙のルールがあると言われていました。必然的に、管理職→教諭→常勤→非常勤という序列のようなものがあることも分かりました。さらに非常勤も持ち時間数の多寡で、人物についての評価になっているとのことでした。(ホンマかいな と突っ込みたくなりましたが、そんなことを真顔でいってくるめんどくさそうな事務の方がおられました。ちなみに私は週24時間でした。)
長時間の職員会議のあと疲労困憊となったわたし
わたし「つぎは、授業開始日に来ればよいですか?」
教頭「は?」(怪訝そうな顔つき)
わたし「私、非常勤で、教育委員会から『授業だけすればよい』と言われて
まして・・・」
教頭「あんた、先生になりたいんだろ。学校で経験積まないと採用試験と
おらんよ。」
わたし「はぁ・・・」
このやりとりを見ていた、先輩非常勤講師に呼ばれて説明を受けました。待遇は非常勤講師だけど、勤務は常勤と同じでやらないといけないということでした。その部分への納得はいまだに至っていませんが、それが当時の暗黙のルールでした。こんなことが2000年代になってからも起きていたのです。しかも公立学校ですよ。しかし当時は、やはり買い手市場。講師のかわりなんていくらでもいるという認識だったのでしょう。
わたしは、モラトリアムを脱し「社会復帰」という目的があったのでガマンしました。
後々わかったんですが、勤務先は県下でもワースト1位2位を争う教育困難校でした。授業はまともに成立せず(生徒の約半分は教室にいないんです。校内で遊ぶ、校外で徘徊、不登校など・・・)、教員間の問題も多くありました(精神疾患による休職は毎月いたような・・・、また私生活トラブルで停職なんてのもありました)。やっぱ、学校が荒れていると教員もおかしくなるんですかね・・・。ハラスメントも日常茶飯事でした。教員間での2人称が「おめー」でしたから。ドラゴンボールの孫悟空以来聞いたことがなかったんで、そのカルチャーショックは今でも鮮明に残ってます。
わたしの当時の目標は、1年間「働く」だったので、職場でのイやなこと(非常勤なのに常勤の勤務を求められることやパワハラ、モラハラ)に耐えながら生活していました。モラトリアムの垢を落とすには十分な苦役だったかと今では思っています。
あ・・、この年初めて教員採用試験を受験しました。結果はよく覚えていませんが箸にも棒にもな結果でした。唯一覚えているのが面接が「4/21」だったこと。3人の面接官がいて、1人7点の持ち点がある中、1点、1点、2点というおそらく最低の評価だったと思います。教員という仕事について何もわかっていなかったので当然と言えば当然です。思い出しての驚きは、当時は1次試験で面接も課していました。また、服装はみなスーツ。こんな志願者が減るなんて思ってなかったでしょうね。
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