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クリプトプロジェクトにおけるトークノミクスの重要指標と評価Howto 【DAOLaunch】

概要

先日公開したVCの分散化を目指すDAOLaunchプラットフォームにおけるDD(デューデリジェンス)・プロジェクトの分析方法の深堀記事となります。
まだ、こちらの記事を読まれていない方はまずこちらをご一読ください。

VCの資金流入がエクイティからよりシンプルで直接的なクリプトに移って行こうとしている時代の変革の中、クリプトの組成を学習する機会となる記事になります。
株式で言うなれば、四季報を読む様な内容にあたりますので、DALトークン以外のクリプトトークンホルダーにとっても有益な情報となりますのでご参照ください。
こちらの記事は南アフリカ在住のDAOLaunch運営メンバーカレッツォが書いた記事となります。
原文で読みたい方はこちらからどうぞ。

トークノミクス

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DAOLaunch $DALトークノミクス

トークノミクスは、「トークン」と「エコノミクス」を対にした造語です。クリプトに関するトークノミクスという言葉が最初に使われたのは、2017年のWilliam Mougayarによる「Tokenomics - A Business Guide to Token Usage, Utility and Value」という記事の中です。
トークノミクスは、交換されることを前提としたクリプトプロジェクトに不可欠なものとなっています。

トークノミクスは、プロジェクトのロードマップ、ビジネスモデル、資金調達スケジュールと密接にリンクしているため、プロジェクトがトークンをどのように活用する予定かを示すものから、プロジェクトの将来を定義するものへと変遷しています。

プロジェクトのトークノミクスは、そのプロジェクトの将来的な見通しを反映する事が多いため、良いプロジェクトと悪いプロジェクトを区別する為の重要な指標となります。クリプト業界には悪質な業者が多く、プロジェクトの良し悪しを区別することは難しくなっています。しかし、悪徳業者と悪質なトークノミクスを見分けるためのヒントやコツをご紹介します。
これは投資目的・財務的なアドバイスではありませんのでご了承ください。

トークン > 株式の時代へ

2017年、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)は、その大半が詐欺やラグ・プルである中、新しいプロジェクトに莫大な資金が集まり、話題を呼びました。旧来の株式による資金調達方法は、ICOによる資金調達方法によって、資金調達の在り方を変えるきっかけとなりました。2018年には900を超えるクリプトプロジェクトがトークン発行により合計217億ドルを調達したと推定されています。トークンによる資金調達の付加価値は、従来のベンチャーキャピタル企業がしばしば要求されてきた厳しい報告や監視が必要なく、プロジェクトオーナーがこれらの資金を裁量権をもって扱える事に大きく寄与します。

2020年は、トークンエコノミーが輝きを増す時期となりました。ICOはSTOという形になり、そのサイクルは続いています。IDOは、個人投資家がトークンと引き換えにスタートアップを資金面で支援するための安全な方法として台頭してきましたが、ラグプルとエグジットが次の問題として浮上しました。優良なスタートアップの目標は常に個人投資家を保護することであり、DAOLaunchでは、すべてのスタートアップが厳格なデューディリジェンスプロセスを通過していることを保証します。とはいえ、全てのスタートアッププロジェクトにおいて悪質業者を排除することは完全には不可能であり、DAOLaunchで開催するIDOや他のプラットフォームIDOに参加する際のリスクについて、ユーザーの皆様に知っておいていただきたいと思います。

トークノミクスにおける重要指標

■Vesting Schedules (権利確定スケジュール)
この言葉は、クリプトとエクイティどちらでも使われます。株式資本の伝統的な企業では、一般的に初期の従業員に、一定期間経過後に利確する事ができる既得権付き株式を報酬とする事があります。この既得株は、投資家や創業者が一定期間プロジェクトに愛着を持ってもらうために、ロック期間付きで分散付与されます。
べスティングとは、トークンが投げ売りされないように、一定期間ロックして配布することです。プライベートラウンドでは、クジラに当たる個人投資家にも配分されるため、通常、ベスティング期間が長くなります。パブリックセールラウンドではべスティング期間が短く、平均3 - 5ヶ月です。べスティング期間がほとんどないプロジェクトでは、大規模な投げ売りが行われ、トークン価格の暴落につながることがよくあります。

■ミッションとマーケットフィット(市場適合性)
プロジェクトにおけるトークノミクスは単独ではなく、収入を得る製品やサービスなど実際のビジネスと直接的に繋がっていることが新しい経済指標として注視すべきであり、プロジェクトはマーケットフィットが重要になります。
ビジネスプラン、ミッション、目標を理解せずにプロジェクトに投資することは、高いリスクを伴います。マーケットに適合していないビジネスプランでは、プロジェクトの成功は望めません。

良いマーケットフィットがあるかどうかは、同じ問題を解決しようとする競合他社のマーケットリサーチや、顧客のニーズによって判断することができます。

■チームと支援者
プロジェクトは、その分野で十分な経験を積んだチームによって成功する可能性が高くなります。学歴も役立ちますが、経験こそが金の卵です。経験豊富なチームは、未経験のチームよりも、業界の問題を解決する方法をよく知っていることが多いのです。VCも、強力なチームを擁するプロジェクトを確実に支援するために、チームの経験を参考にすることが多いのです。要求された資本を処理するために、チームが十分な経験を積んでいるのを確認することは、VCの世界では絶対条件となります。

■スマートコントラクトの監査
もし推しのクリプトプロジェクトがあれば、そのスマートコントラクトが監査されいるかどうかは重要なファクターです。監査によって、スマートコントラクトに、ソフトウェアが悪用されるリスクのあるセキュリティの脆弱性の有無が確認できます。 CertikやConsenSys Diligenceのような大手監査ソフトウェア会社の監査を受けているかどうかは重要な指標となります。監査会社のウェブサイトにアクセスし、プロジェクトを検索して、監査が正当か確認する必要があります。

トークノミクスケーススタディ

では、ここからは実際のクリプトスタートアップのトークノミクスを題材にして、評価基準のケーススタディになります。
機密保持の為、プロジェクト名は明かしておりませんので、ご了承ください。

■ケーススタディA(評価:Good)

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ケーススタディAは、3つの側面(トークンアロケーション比率、べスティングスケジュール、トークンの使用状況)で一般的に良いトークノミクスであると判断します。

①トークンアロケーション比率(割当率)
27%のパブリックセールは、ローンチパッドなどで公にアクセス可能な手段を通じて、一般の人々が公平にトークンを取得する機会が多くあることを示しており、加点対象と採れます。
33%のエコシステムは素晴らしく、高すぎず低すぎず、バランスのよい割当です。33%が開発チームに行くことも、クリプトプロジェクトにおける技術の重要性から、良い配分と判断できます。
10%のプライベートセールが、パブリックアロケーションを上回らないので、うまくフィットしています。プロジェクトによっては、アロケーションがプライベートとパブリックでほとんど差異がないことがよくありますが、これはあまり良い設定ではありません。VCやVCと変わらない規模の個人投資家にプロジェクトに直接つながるトークンの大部分を与える事で、一般投資家を疎外する事は分散化を進める動きとは相いれません。
5%のコミュニティメンバーは、コミュニティを強化する際にメンバーに提供される報酬である可能性が高く、良いことです。10%が上回らない事がベスト。
2%の法務・顧問への配当は、理にかなっています。

②べスティングスケジュール
権利確定スケジュールはうまく機能しており、業界標準と判断できます。プライベートセール参加者は通常、9-16ヶ月など、より長いクリフ期間を設けています。これは、プライベートセール参加者が巨額の流動性をアンロックして、パブリックセールの投資家に投げ売りするのを避けるためです。
パブリックセール投資家には、TGE(トークンリスティング)時に20%ロックを解除し、その後、毎月 20%ずつ解除しています。
このパブリックセールでのべスティングスケジュールはうまくいっており、一般的な構造としては、TGEで25%のロック解除を行い、その後毎月25%のロック解除を行うというものです。
こういったアンロック戦略は、トークンをアンロックすることを保証するのと同時に、価格を不安定にする大規模な投げ売りを回避する方法として重要です。

③トークンの使用方法
プロジェクトの全ての情報を自由に閲覧することはできませんが、ケーススタディAのトークン・ユーティリティは、そのトークン使用量全体から見てうまく機能していると判断できます。
プロジェクトは、トークンの使用を長期的に維持し、サポートしやすいユースケースを通じて利用者を育成する事が求められます。さらに、ビジネスの戦略や目標に価値を与えるような方法で、ユーティリティを追加することが必要です。
トークン供給量は100Mにとどまっている事も好印象です。
実用性のない大量のトークンを発行するプロジェクトの意義を正当化することは非常に困難です。また、優れた実用性を持つプロジェクトは、トークンで何ができるのかというコミュニティからのボトムアップにより、投げ売りを回避することができます。

■ケーススタディB(評価:BAD)

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ケーススタディBは、トークンアロケーションとべスティングスケジュールの点において、トークノミクスのバランスが悪いと判断します。

①トークンアロケーション比率(割当率)

5%シードラウンド
14%プライベートセール
どちらも通常VCに割り当てられる為、積算すると19%がVCに割り当てられることになります。
2%パブリックセール
一般投資家に対し、VCが19%は明らにバランスが悪いと判断できます。
プロジェクトに参加するVCと一般投資家のバランスが悪いと、コミュニティの繋がりを損なうものであり、大きな減点対象となります。
VCとパブリックセールの間でトークン所有量に格差があることは、このプロジェクトが真の意味で分散化に向けた運営を行う意思がなく、権限をプロジェクト参加者に与えない事につながります。
また、牽いてはメンバーに対する不信感やトークノミクスのあり方に対する無理解と判断できます。VCは流動性を提供することで、多くのプロジェクトを早期に立ち上げる原動力と考えられてきましたが、Web3.0クリプトマーケットではコミュニティをプロジェクト立ち上げ段階においてVCと同様に重要な位置づけに置く事でプロジェクト全体の継続的な発展をコミュニティと共に行います。ケーススタディBは、この点をプロジェクトの重要なツールとして考慮していない事が垣間見えます。

②べスティングスケジュール
べスティングスケジュールは、ミドルクラスと判断します。パブリックセールのべスティングスケジュールは、TGE25%、その後毎月25%アンロックというのが一般的です。このスケジュールは、プロジェクトに悪影響を与えかねないトークン投げ売りを回避し、VCに投資機会を長く待たせない構造になっているため、好ましいと言えます。
TGEでのシードラウンドとプライベートセールのアンロック額、そしてべスティングスケジュールについて、比率がよくありません。シードラウンドにおいて、TGEで5%を受け取るのは非常に低く、VCにとって魅力はありません。
推奨される3ヶ月のクリフは、24ヶ月の直線的なリリースに続くもので、長く、終わりがないように見えるかもしれません。24-36ヶ月のべスティングスケジュールを持つプロジェクトも増えていますが、これには長期的なビジョンを信じる投資家に支えられた、非常に競争力のあるプロジェクトである事が必要です。さらに、クリプトの世界では2年は長く様々な変化が訪れます。VCの推奨する権利確定期間は12-20ヶ月が限度です。

■ケーススタディC(評価:UGLY)

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ケーススタディCのトークノミクスは、アロケーションとべスティングスケジュール共に非常に悪いと判断できます。

①トークンアロケーション比率(割当率)
まず基本的なトークノミクスの形成を度外視した不要なタイトルが見受けられ、重複したトークン組成となっています。
1%のAirdrop+15%のマーケティングは合併して16%(用途が同じ)。
4.17%のプライベートセール+2.00%のシードラウンド+1.67%のエンジェルラウンドは、すべて7.84%のプライベートセール/シードラウンドに統合できます。
その他のプロジェクトでもタイトルを巧みに変更はされているが、カテゴライズすると偏ったアロケーションになる事があります。

②べスティングスケジュール

ケーススタディCのべスティングスケジュールはひどいものです。
エンジェル、シード、プライベートラウンドはTGEでアンロックが許容され、すべて同じべスティングスケジュールになっています。
最大の問題は、パブリックセールのベスティングスケジュールです。TGEで67%、そしてべスティングスケジュールが1ヵ月と非常に短くなっています。 パブリックセールの割当がトークン全体の0.83%とはいえ、67%のTGEでは個人投資家が流動性を抜きすぎてしまい、最終的にはトークンの暴落に繋がってしまいます。
もしあなたが初期投資家であった場合、あなたが所有するトークン価値が60日間経過後希薄化される可能性があることを意味します。
これは、トークノミクスの作成に経験の浅いチームであり、最終的にはこのプロジェクトが内容如何にかかわらず、出資を促して継続的にプロジェクトを発展させる気概のないチームであると判断できます。

DAOLaunchについて

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DAOLaunchは、スタートアップ投資のためのオープンで包括的な競争環境、つまり分散型ベンチャーキャピタルのコンセプトを作成することを目指しています。
DAOLaunchは、ブロックチェーンに記録された投資実績に応じて、個人投資家に優先的な投資条件を提供します。すべての交渉はすべてオンチェーンであるため、記録された投資は編集できません。DAOLaunchの投資家は、分散型ベンチャーキャピタリストとしてのブランドを確立でき、従来のVCと同様に、より有利な投資条件を交渉できます。

DAOLaunchは、ブラックボックス化された投資取引の構造を、ブロックチェーン上で行われるオープンでより競争力のある取引構造に変更することを目指しています。
我々の活動を通して、スタートアップ業界に劇的に変化を与える事を約束します。

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