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鉄鴉の裏話

酒を呷って酔いを楽しみ、インターネットというセケンを漂っていた時、とあるディスコードの通話が届いた。その通話が、私の中のサイバーパンクを炉に薪を焚べるように燃え立たせた。面白えからやりたい、と。

私はやってみたいなら背中を強く押すタイプだ。何しろ親愛なる友人が自分の時間を割いて作ったプロットを、出来ることならペンを折らせないで完成させたいという私利私欲を出しつつ指摘を出した。どうか話よあれと強く願った。

その時、台本があった。

セイオワのコンペで採用が確認できた時私は俄然喜んだ。物語で死を演じることが出来る。それも機械としての死だ。心躍らないワケがなかった。私の理想の最後の人生は...いや、永遠を生きる予定だからIfの話なのだが望むのなら「誰かを守って死ぬこと」が理想であった。

それから忙しくなった。最高の相棒かつ最悪の刺客であるスケアクロウとの演技、全ての元凶である敵への演技はあらかた構想はこの時点ではできていた。しかしそれ以外の「日常」をどう過ごせばいいのか小一時間私に悩んで、同じメンバーにも指摘を求めた。だが、私はわからなかったのだ。暗殺者が日常に引きずり込まれるという経験が私と私の読んだ本にも蓄積していなかったから。そして一時の離反もどう演じていいのか、どう苦悩していけばいいのかをずっと考えていた。そのときに私はリアルの転機を迎えた。

この転機のおかげか居たいという気持ちとそれでも迷惑はかけられないという気持ちが演じる事ができた。必死に何時ものようにクールに振る舞って、でも守る側の一言で覆されて開き直った風をしてもう傷をつけまいと距離を取る。仮面を被り、目の下にはオイルが漏れ出す。それを表現できた。この善良な人と別れたくない、名残惜しい。だがもう関わればその先は地獄だと。守る人も鉄鴉自身も。そう考えて若干急ぎ足で適当を演じ、全てを消して己はいつもの暗殺者に戻ろうと考えた。

でも、練習中何度も何度も「あれには関係ないコトだ」と言ってはいたが、本番での鉄鴉は思いを断ち切れない為そう思わなかった。「関係ない…?そんなワケ、ねえだろ!」と。これまで一つの依頼を受けそれ以上は感化しない鉄鴉の心が、守るべき人に揺れ動かされ思考をリライズする。その描写を出したい。出させてくれと鉄鴉自身も望んだ。私は彼が好きにやれるような音声発生装置である事に徹し、鉄鴉に全てを任せた。「地獄でやってろ…」の台詞鉄鴉は言いたがった。私はそのようにした。そして最後を悟った鉄鴉は守るべき人を守り、不安を抱かせないよう優しく努めた。壊れかけだが心配はさせたくない。次の守護者がきっとまた、守るべき人達の心情を内情を知って守ることになるのだから。そう思ったので鉄鴉は護り人に1つだけ嘘をついた。「また皆で」と。

終盤で出てきた鉄鴉については、シンギュラリティに達したのか、それとも「鉄鴉」を演じたプログラムなのかは見ていた人に任せ
る。私は魂を信じてはいるが、こういった状況だとどれが優先されるかわからんからである。だからハッピーエンドを求めるならそのまま、ビターエンドなら初期設定のままと考えるのが良いであろう。様々な鉄鴉を見せてくれ。

さて、冗長な文はここまで。しっかりと支えて、技術の向上に寄り添ってくれた仲間たちにここで感謝の念を述べたい。

ありがとう。

また、一緒に演れると嬉しいな

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