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オペラと物語

最近はオペラに興味が出てきています。
劇場に生のオペラを観に行ったのは大学生の時、父とマノン・レスコーを観たっきり。

車田和寿さんの「音楽に寄せて」では、その丁寧な解説に嵌まっていますw

実は高校生の時に翻訳されたオペラの魔笛を校外指導で観ましたが、途中から意味が分からなくなって、最近までそのまま放置していました・・・・・・

それが車田先生の動画を見て、やっと解消できましたw

後は中野京子さんの「大人のための『怖い』クラシック オペラ編」と、許光駿さんの「オペラ入門」の影響でしょうか。
昨年の読書ランキングの10位と9位ですねw

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許光駿さんの本で唸らされたのが、オペラの題材の話。
当初のオペラのストーリーとはいろいろな問題が起こっても、最終的には「機械仕掛けの神」的な発想で解決してしまうものだった、と記されているのです。
神話の題材が多く取り扱われたのが関係するのでしょうが、こうした話を単純に人は喜ぶからかも知れません。
実際にウルトラマンシリーズや変身ヒーローものは、そうした類いでしょうし、ドラえもんも設定を変えた神話と言えるのかも知れません。

ところが、時代が進むとオペラの中の神様は死に絶えて、人間同士のドラマになっていきます。
それでオペラは起承転結をドラマチックに歌い上げ観る側の感情を揺さぶるものになっていきます。
多分、ヴェルディやプッチーニの作品群がそれに相当するのかも知れません。

operaアリア1

ところが時代は進み、近代の作品は起承転結もない、終わりもはっきりしないドラマになっているそうです。
救いや解決は必ずしも提示されない・・・・・・

これって、小説や物語の進化に似ているような・・・・・・
いや、音楽の世界でも同じかも知れません。

ただ、そうした進化の流れは、作品を読んだり鑑賞したりする人を選ぶことになります。
読後や観劇後の爽快感や感動を求めるのとは違う作品になるような・・・・

尊敬する藤岡幸夫さんの動画を見ると、現代音楽について同じような危惧を抱いています。
現代音楽は素晴らしいが聴衆を選ぶ面がある、と。
クラシックは幾多の傑作があるのでこのままでも滅びないけれども衰退していく。
再び興隆するには万人に愛される新曲が生まれなければならない。
新曲の初演にみんながわくわくしてコンサートホールに出かけるようになる必要があると熱く語っています。

進化の揺り戻しとはちょっと違いますが、多くの人間に愛される普遍的な娯楽的面を内包していないと、文学も音楽も楽しむ人が減り、自ら市場を狭めることになっていく?

そう考えると投稿サイトの作品が「異世界もの」や「主人公最強」といった作品で溢れるのも、こうした揺り戻しの流れかも。

読後爽快感を求めるという点では、純文学はその要求には応えられないというか、無視しています・・・・・多分(言い切る自信はないですが)。

私の「大江山の鬼退治」三部作も時代を追っていくと、近い流れになります。
桃太郎はまさしく「機械仕掛けの神」とでも言うべき解決です。

三百年経って、麻呂子王子の時代の鬼退治になると、神様的な解決が出来なくなります。
でも、神は死んではいないかな?
人々の信心は深く、迷信は科学の如く、確信を持って語られます(作品は未発表です)。

これが大江山の鬼退治の最終話、すなわち、更に350年が過ぎて酒呑童子が登場する時代には、鬼は人の世界に干渉してくる厄介者で、それを倒したからと万事めでたしとはならないのです(こちらも未発表、現在公募に投稿中)。

ま、私にしても現代小説的なものは書かないので、何の解決も提示されない作品というのは書かないですが(そもそも私が書いているのは小説なのか、最近は疑問)、こういう観点では私も懐古主義者かもしれませんね。

そんなことはさておき、車田和寿さんの勧めに従い、「ヘンデルとグレーテル」「ラ・ボエーム」「トスカ」と観ていこうかと思ったのですが、「ラ・ボエーム」はお薦めのDVDが見つかりませんw

あと、ネットで検索していると欲しくなるオペラのBlu-rayが出て来ますが、必ずしも字幕がない・・・・・・
でも探せばこう言うものもあることを知りました。

オペラ対訳ライブラリー

将来は生のオペラを観たいので、こういう予習でイタリア語やドイツ語などの作品を楽しめるようになりたいです。

ラ・ボエーム

ラ・ボエームはこれで予習してから、気になる作品を購入しようかなぁ、と。

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