赤い屋根と黒い屋根 -第1章-⑵
第1章:赤い屋根の家
霞(かすみ)が通う白菊幼稚園は、教会の隣に併設された、静かで落ち着いた雰囲気の幼稚園だった。
幼稚園に通う日常は、霞にとって唯一の安らぎの時間だった。
友達と遊ぶ楽しさは、家での恐怖を一時的に忘れさせてくれた。
砂場で一人遊びをすることが多かった霞だが、嫌われているわけではなく、友達に誘われれば一緒に遊ぶこともあった。
彼は人の輪に入るのが苦手だった。
みんなが集まって遊ぶ時間になると、少し距離を置いて見守ることが多かった。例えば、砂場でみんなが一緒