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脳は先天的でも、才能は後天的なんだと思った中学受験の話

娘の中学受験が終わりました。結果はまずまずといったところですが、とりあえず小4から3年間、お疲れさまでした。

うちは両親ともに学歴しか取り柄がないような人生を歩んできたので、娘もさぞ賢い子に育つだろうと周囲に期待されてきました(主に祖母)が、いざ勉強を教えてみると全然からっきしダメだなぁというのが分かりました。

先天的な脳

遺伝的なものなのか、0~3歳のころの生育環境なのか、その辺の切り分けは厳密にはできませんが、とにかく物心ついたころから娘は抽象的なことを理解するのがすごく苦手でした。

大きな数字とかは苦手の筆頭で、保育園のころに59まで数えられるようになったのに次の数字が分からなかった、というのが衝撃的でした。49の次は50なんだから59の次は60って分からないんですか? 分からないみたいです。なんか丸暗記してるみたいです。規則という概念がない。

抽象的なもの・記号的なものが苦手なのは小学生になってからも変わらず、世界の国と首都の名称を覚えるとかは特に壊滅的でした。ロシアの首都は、ロシアは緑がいっぱいだからモスバーガーっぽいからモスクワ、みたいな覚え方をしてるんです。その記憶の回路、無駄すぎない? もっと子供ってすらすら暗記できるもんじゃないの?

歴史の年号とかも無理難題で、よくある語呂合わせを使ってみるのですが、「ひとよむなし応仁の乱」とかいっても何もイメージできないようです。歴史マンガを読んでも、「首を切られてポーンと遠くまで飛んで行ったんだよ!」とか意味の分からないエピソードだけ覚えて、それが何年にあったなんの戦いかは微塵も覚えていません。

どうやらこの子は、すべてを映像で記憶してるんだな、というのがだんだん分かってきました。エピソード記憶が強いというのでしょうか。映画で見たワンシーンとかはやたら克明に覚えているので、記憶力がないわけではなようです。人の服装とか、町の看板とか、意味わからないくらい詳細に覚えていて変化に気付くことができます。そのかわり、数字とか抽象的な概念は映像化できないので全然覚えられないようです。

端的に言って、受験に向いてないな、と思いました。芸術系にでも進めばいいんじゃないの、って気がします。

後天的な才能

娘は、とにかく競争心のようなものがありません。いつでもボーっとしています。のんびり屋さんです。小学校の先生にも「マイペースな子ですね」と言われます。

あまりに主張がないので、何をしたいのかさっぱり分かりません。何か遊びたいものがあるか、と聞いても「別に……」。何か食べたいものがあるかと聞いても「なんでも……」。やりたいことがあれば、それに向けて勉強を早く終わらせよう、みたいなモチベーションも湧いてくると思うのですが、何も欲がないので、のんびりずっと机に座ってボーっと勉強しているようなしていないような時間を過ごします。

もっとメリハリつけて動け、と思うのですが、それはできません。抽象的なものが苦手な娘にとって「時間」とか「計画」というのはかなりの苦手分野です。もう際限なくボーっと勉強机に向かっています。そんな人生で楽しいのか? 私には分かりません。

でも、おかげで人一倍勉強していたから、物覚えが人の5倍くらい悪くてもなんとか偏差値48くらいはキープできるようになりました。そういう勉強のスタイルを3年間貫いてきました。すごくたくさんの時間を勉強に費やしていたような気がします。受験は全然向いてないのに、よく頑張ってくれたと思います。

本当はもっと別の習い事をさせた方が幸せだったんじゃないのか、と思ったりもしますが、まぁ学歴しか取り柄のない親なので勉強させる以外にアイデアがないのです。ごめんなさい。

結果的に、「時間内に問題を解くためにペース配分する」とか、「よく分からない年号も覚える」など、苦手なことも少しずつできるようになっていきました。こうやって、向いてないことも鍛えることができるんですね。メモリの無駄遣いかもしれませんけど、後天的に身に着けることはできるんだなぁと思いました。

年号自体はどうでもいいですが、受験勉強を通して、そういった抽象的なことへの向き合い方、記憶の整理の仕方など、生きる上で便利なテクニックが少しでも身に付いたなら良かったんじゃないかなぁと思います。

受験競争の中で見出した目標

とにかく競争心がないので、よりよい点数を取ろうという気概もないし、誰かに勝ちたいとか、もっといい学校に行きたいみたいな欲もなく、そのためなかなか向上心が育ちませんでした。そんなんで大丈夫なのか、今後社会で生きていけるのか、どう考えているのかちょっと聞いてみたら、以下のように答えてくれました。

「私は冬に咲く花になりたい。春の花はライバルが多いでしょ。日当たりのいい場所をとって、花粉を運ぶ虫を呼んで、なんとか子孫を残そうとするの、大変でしょ。私はそんな争いしたくないから、みんなが咲いてない冬に咲く花になるの。それなら競争がんばらなくても生きていける」

いや、冬に咲くの頭おかしい奴だけだし、そもそも寒くて生きにくいよ、と聞きましたが、それでも、ちょっとつらくても争わなくていい、そういう路線が好きみたいです。

まぁ分かるような分からないような。彼女なりに受験生活を通して感じることがあったのでしょう。小学校の友だちがスプラトゥーンで遊んでるのを羨ましそうにしながらも、我慢して勉強に取り組んでくれていた心が表れていますね。

本当に、子供は親とは別人なんだなぁ、と思いました。何考えてるのかさっぱり分かりません。頭の構造が違う。私たち両親は、とにかく時間効率重視な人間なので、どうしてこんな子に育ったのか不思議で仕方ありません。でもそれが現実なんだなぁ、と思いました。

後日談

娘は受験が終わったので、さっそく今までできなかった遊びを取り戻そうと、スプラトゥーンで遊んでいます。昇格戦たのしい!敵を倒してどんどんランクアップするぞ!とか言ってます。お前、競争が嫌いって言ってたのなんだったんだよ……。

「それはそれ、これはこれ。昇格戦は楽しいの!」だそうです。

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