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第5章 組織における葛藤・対立

オーガニゼーションズ 第5章 P142~171の要約です。これまでのまとめは以下を参照。

おさらい

3~5章では、人々が組織内で仕事をしようと思う動機付けについて考えています。3章では、どうやったらやる気が出るか。4章では、どうなったら組織を離脱するか。そして5章はその間、意思決定するときに発生する葛藤について見ていきます。

3種類の葛藤

組織の意思決定における葛藤は3つに分類されます。

1. 個人的葛藤
2. 組織内葛藤
3. 組織間対立

どんな条件でこれらの葛藤は発生するのか。そして個人はどのような反応を示し、どんな結果を招くのか。一つずつ見ていきます。

1. 個人的葛藤

何かの問題に対して出てきた案が満足いくものであれば、誰も葛藤しない。葛藤するのは、以下の3パターンに分かれる。

・受容不能(どの案も受け入れられない)
・比較不能(複数の案のどれがいいか判断できない)
・不確実(うまくいくか分からない)

まぁ、確かにいい案がなければ葛藤するよね。ここまでは普通の反応。このとき、人々は仕方なく別の代替案を探したり、えいやと最初に見つけたもので決めてしまったりする。

2. 組織内葛藤

ここからが面白い定義。組織内で意思決定するとき、メンバーによって意見が割れて議論が紛糾することがある。それが組織内葛藤だ。組織内葛藤が発生するには以下の要因が揃う必要がある。

・個人的葛藤がないこと
・目的または認識の違いがあること
⇒ その結果、各自が異なる案を選ぶことによって組織内葛藤が発生する。

そう、個人的葛藤があった場合、組織内葛藤にまで進めないのだ。自分の中に葛藤があってどっちを選んだらいいか分からない状態で、相手から強く「これにすべきだ!」と主張されたら反論することができない。自分の中にも強い意志があってはじめて意見がぶつかり合い、組織内葛藤へと進展する。

組織内葛藤を仲裁するには

組織内葛藤が発生したら、管理職の立場が仲裁して決断をくだす必要が出てくる。そのときの方法は以下の4つ。

・問題解決:情報収集してみんなが満足するもっといい案を探す。
・説得:組織としての上位目的を示して、反対する人を説得する。
・交渉:お互いの案の折衷案・落としどころを探す。
・政略:他の味方になりそうな人を巻き込んで賛成派を増やす。

この中で一番良くないのは交渉だ。管理職が意見を曲げて従業員に迎合したと思われたら立場が弱くなってしまう。これはなんとしても避けたい。だから基本的に管理職は「問題解決」か「説得」から始める。

これはつまり「お前の意見よりもっといい意見があるよね、もっとしっかり考えて、これは組織内葛藤じゃなくてお前がもっと個人的葛藤して最適解を出すべき問題だから、出直してこい」ということだ。管理職は全ての葛藤を個人的葛藤であると認識する。

だから「社員一人ひとりがもっと自立して考えることが会社の変革にとって重要」といったことを言うわけだ。その結果、組織メンバーは「管理職が何も決断しない」と不満を募らせたりする。

3. 組織間対立

組織間対立も、組織内葛藤と基本的には同じ。ただ、組織内のような上下関係がなく、交渉せざるを得ない場面は多いかもしれない。どのような組織間で交渉が成立しやすいかを考えると、以下のような仮説が挙げられる。

・初期状態で仲が良いこと
・リスクを積極的に引き受けること

ただ、交渉過程はとても複雑であまり詳細に研究されていないらしく、筆者もこれ以上のことは何も言えないと匙を投げていた。

課題

・個人コンフリクトと組織内(個人)コンフリクトを比較してみよう。
・コンフリクトに対する組織の反応について身近な例を挙げて説明してみよう。

コンフリクトは葛藤のこと。一つ目の課題は、私の要約だと省いてしまったところだけど、個人的葛藤も、単なる個人活動の葛藤と、組織内における個人的葛藤では違うよね、というところに着目している。

私の回答

たとえば文房具を買うとき、自分のお金で買うなら安いやつにしようと思うのに、会社のお金で買うとなると無駄に高級なものを買ったりする。自分のお金で1500円のハサミを買うのはかなり躊躇するけど、会社のお金なら1500円とか誤差でしょう。

会社のお金となると、20万円する業界調査レポートとかも「必要経費です!」と強気で申請するようになる。しかし上司から「本当にそれ必要なレポートなの? 半額くらいで何とかならないの?」と言われたりする。これが組織からの説得/問題解決への誘導だ。

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