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注意力と集中力が人生を決める

チクセントミハイ「フロー体験入門」第6章~第9章、最後まで読み終わりました。過去ログは以下を参照。

人間関係と生活の質

人間は群れで生きる。友人と一緒にいるときが最もポジティブになる。しかし現代社会では、大人になるにつれてどんどん友人が減っていく。これが現代社会の大きな問題の一つである。

そのため、代替案として、家族と友人になることが進んでいる。もともと家族は経済や社会的、政治的な地位を維持するためのもの、仕事を分業し、支えあって生きていくための共同体だった。しかし世の中が豊かになり、家族が活きる上での必需品ではなくなってきたことから、家族を感情的な支えとする友人関係に変化していったのだ。

社交的で外交的な人ほど、より幸福で、ストレスを感じず、穏やかで安心しているという研究結果もある。異質な文化との交流はストレスも生むが、今までにない新しいスパイスも与えてくれるのである。

生活のパターンを変えよう

ほとんどの人にとって、仕事は人生の中心を占めるので、仕事ができるだけ楽しくやりがいのあるものであることが望ましい。しかし多くの人は賃金といくらかの安定を得るかわりに、退屈で不愉快な時間を過ごしている。

人生の質を改善するためには、注意力と集中力を持つことである。注意を奪われるほどの外的な刺激やチャレンジが起こるのを待っていてはいけない。自らの興味関心をコントロールする必要がある。

する必要のあることは何であれ、だらだらとするのではなく、最大限の注意を払って取り組むことだ。面白いと思うことの多くは、初めから面白いのではなく、注意を注ぐ労を払ったから面白いと思えるようになる。情報は、関心を向けているときにのみ意識にのぼる。十分な注意を注いで、複雑な構成を理解するまでは退屈でしかない。

失明や半身不随といった重度の障害を負った人々の研究によると、彼らは、服を着る、散歩をするといった単純なスキルからフローを引き出せるようになっていた。自分の意志で習得してスキルや規律は、なんであれ有効に機能する。楽しいと感じ、自分の知性を注げるような取り組み姿勢が重要である。ただ胸筋を鍛えるためにトレーニングを繰り返すのではダメで、肉体の変化に注意を向け、トレーニングの過程を楽しむことがフローを生み出す。肝心なのは結果ではなく、活動を通じて自分自身の注意をコントロールすることである。

アルキメデスは風呂に入ったときに溢れたお湯をみて浮力を発見したが、そこで「ちぇっ、また床を濡らしてしまった、妻が何というだろう」とか思っていたら、何も生み出さないのである。

感想

私は昔から「どうでもいいことをきちんと覚えられない人間は、重要なことだって覚えられない」という主張をしてきた。一夜漬けの勉強で要点だけ覚えようとする人にケンカを売ってきた。雑学を身につけることこそが勉強の第一歩だと思っていた。

それが正しいかどうかはさておき、私は日常の些末な仕事にも最大限の注意を払って生きている、というのは実感している。私は、そうやって日常の中にたくさんのフローを見出だそうと生きてきたのかもしれない。だから私は平凡な生活を送っていても毎日が幸せに感じられるのだろう。


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