見出し画像

エルダーシップまとめ

後半、似たような話が多かったので最後まで読み切りました。前半のまとめは以下をご参照ください。

感情をむき出しにしよう

私たちは、公の場では冷静に話すこと(リニアなコミュニケーション)がいいことだと考えがちです。でも、もっと公の場でしっかり自分の感情をむき出しにすること(ノンリニアなコミュニケーション)も大事だと筆者は言います。

今日、主流派の心理学の実践者たちは、反抗、怒り、激怒、「幼児行動」、「感情の発散」(これは公共の場では「不適切な」行動とされる)を病的なものとみなすことによって、支配的な文化の価値観を強固にしている。「意識が高いこと」は、感情を抑えることと同義になってしまった。

P233

感情を抑圧することは権力者にとって有利です。みんなが不満を言えなくなれば現状維持がしやすいですからね。社会は、感情をあらわにするのが良くないという風潮を広めることで、無意識のうちに権力者の味方をしてしまっているのです。

だから、弱者はもっと感情を出すことが大事なのです。そして、その弱者の気持ちに気付いて寄り添うのが、本書の目指すエルダーシップなのです。

ファシリテーターがホットスポットやエッジに気づくことができれば、ノンリニアな状態は本当の平和を導くことができる。ノンリニアなコミュニケーションには多くの利点がある。紛争解決の現場でも、ノンリニアなコミュニケーションが促進されることで、復讐心や怒りのような根本的な感情が表現されやすくなるだろう。同時に、人々は一対一のリニアな進行がもたらすような不満を抱くことなく、自分自身を表現できる。ノンリニアな状態によって、ただ友好的だっただけの人々が、感情面でお互いを知ることができるようになる。感情的な交流は、将来に起こる暴力に対する予防薬となりうるのだ。

P335

感情を抑圧された状態で説得されても、決して腹の底まで納得することはできません。自分の思いの丈をさらけ出して、その上で解決にたどりつくことが本当の平和なのだそうです。

雨降って地固まる

本書での主張はつまり、雨降って地固まるのが一番いいことだから、積極的に雨を降らせよう、というものです。でも雨が降ったままぬかるんで地盤沈下をおこしたり、固まることなくコミュニティが崩壊するおそれもあるので、そこに十分気を付けてファシリテートするのがエルダーシップの役割になります。

なんかめっちゃ危ない橋を渡るなぁ、って印象。

成功しているコミュニティは、危機の時期にあっても未知なるものに開かれている。私たちは、物事の循環に従うことによって持続的になり、大きな意味で成功する。コミュニティとして営み、問題に直面し、バラバラになりかけて、そして一つになる──その流れに従うことで、私たちは一つになれるのだ。このような組織は永遠に続き、死ぬことはない。組織はタオそのものであり、常に変化するのだ。

P397

タオというのは老子が説いた「道」のことだそうです。自然の中、森羅万象の背景に働く力であり、コントロールを手放してその自然の働きに従うことだそうです。この筆者は、かなりスピリチュアルな発言が多くて、悟りを開いた感じがありますね。

そこに愛はあるか

自分自身や世界の問題と向き合っていくと、負の側面と攻撃性は愛と同じくらい人間の本質であるという結論に、ゆっくりと導かれていくだろう。善か悪かはもはや問題とは思えなくなるのだ。そして、霊、つまりあなたが命の起源と呼んでいるものはなんでも、敵対する力以上のものであると考えるようになる。
もはや、怒ることは罪だ、あるいは悪い人だけが大声をあげるのだと思うことはなくなる。その場の空気の中にあるものを表現するためには、すべての人の手助けが必要だと理解するのだ。

P331

私たちが怒って他者を攻撃するのは、自分を守りたいから、自分の話を聞いてもらいたいからなんだ、と筆者はいいます。そのことに気づけば、怒っている人の気持ちも理解できるようになるはずです。

人々が怒りを爆発させたときは、傷つくことへの怖れを示す表現がないか、注意深く探そう。自身の内に引きこもろうとするサインに気づこう。それもまた怖れから生じるものだ。
怖れは重要だ。激怒している相手は強引に行動することに固執し、彼ら自身の怖れを抑圧する。怖れが明らかになると、変化が受け入れられ、実際に変化を起こせるようになる。沈静化が起き、物事がより安全になるのだ。

P360

怒っている人が何をおそれているのかに気付いてあげること。もし気付いてあげられなかったら、怒りがおさまらず傷つけあい、戦争状態に陥ってしまいます。そしたらもうおしまいです。

筆者は偉そうなことを言ってますが、いろいろな事例紹介の中で、相手の怒りに対してどう返事をしたらいいか分からず、売り言葉に買い言葉でこちらもどんどん激高して爆発寸前にまで行っています。ただ、そうやって自分の感情もむき出しにすることで、お互いが何に怖れているかも見えてきて、そこに気付いてあげられると一気に和解できる、と言います。

雨降って地固まる。本当に危ない。ちょっと真似したくないですね。喧嘩するほど仲がいい、にも通じるし、分かるといえば分かります。私もよく夫婦喧嘩をするので、それを通してお互いの気持ちをより深く理解できるようになった、と肯定的に考えることもできます。でもやっぱりつらいし、疲れるし、積極的に対立の炎の中に座すのはマゾかバカだと思います。

おしまい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?