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観察力を磨く 名画読解 ~ 分析

第二部 分析を読んでいきます。
前回の、第一部 観察については以下を参照。

分析も、観察とそんなに違いはなくて、しっかり見よう、ということに落ち着くのですが、今回特に注意するのは「優先順位」と「陰性所見」です。

優先順位

自分の優先順位を把握することはとても大切だ。観察によって集めた情報に(意識的にせよ、無意識にせよ)どう優先順位をつけるかが、行動に直結する。複数の情報を手に入れた時点で選択肢が生まれ、どちらの情報に基づいて行動するかを決めなくてはならなくなる。

P226

優先順位をつける能力は、警察や医療の現場だけでなく、ビジネスでも、教育でも、子育てでも、就職試験でも、SATでも必要だ。優先順位をつけることで、注意を効率よく振り分け、判断をくだすことができる。ところが自分がどのように優先順位をつけるかを把握している人はめったにいない。

P229

明らかにおかしいものが絵画に混ざっていても、それがうまく説明できなかったりすると、自分のなかでの説明の優先順位が下がってしまうという事例がいっぱい出てきました。

たとえば下の絵をみたとき、あなたはいったいどういう順番で何を説明するだろうか? 人によって順番は変わるだろうし、また状況によっても優先すべき項目は変わってくる。そういうことをいろいろと意識させられる内容でした。

ルネ・マグリット「貫かれた時間」(1938年)

陰性所見

存在しないものが、存在するものと同じくらい重要な意味を持つことはめずらしくない。救急医療ではこれを〝関連がありそうな陰性所見〟という。特定の兆候や症状の欠如が、患者の診断の決め手となったり、診断を助けたりするのである。

P243

つまるところ、これですね。

私は人の言葉を表面的に受け取ることしかできなくて、裏の意味とか全然考えられないので、だから分析力が弱いんだろうな、と思いました。

でも、この陰性所見に気付くというのは、普段から「本来であればこれが表に出ているだろう」ということを意識する必要があると思うので、それなりに幅広い知識教養を持っていないとできないことだと思います。まあ筆者によれば、それを普段から意識することで鍛えるのが本書の目的ということになりますが。一分観察力、すぐ止めちゃったけど、ちゃんと続けないと力がつかないんだろうなぁ。

COBRA

筆者が、観察力を向上させるための方法論にCOBRAという名前をつけていました。これをぜひ参考にしていきましょう。

COBRAの文字はそれぞれ、紛れているもの(Camouflaged)、ひとつ(One)、休憩(Break)、見直し(Realign)、意見を聞く(Ask)を意味している。つまり細部を見る際は、紛れているものを探し、ひとつの仕事に専念し、疲れたら休憩をとって、期待を見直し、他者の意見を聞くことが大事なのである。

P157

さきほどの優先順位とも重なってきますが、そこに明らかに描かれているのに指摘されるまで気付けないもの、というものもたくさんあります。これは大事じゃない、よくあるものだ、と脳が認識してそのまま情報を流してしまうのです。

私たちはそうならないように、細部に気をはらって、違和感に気付けるように観察力を鍛えていかなければならないんだ、ということを改めて感じさせるものでした。

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