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【のーがたのーと】3つのスペースから直方を元気に!/「多世代交流スペース ここっちゃ」十時恵美さん 清水舞子さん 甲斐蒼生さん

JR直方駅から徒歩5分。レトロな雰囲気のある古町商店街に、新たな施設が今年4月オープンしました。名前は「ここっちゃ」。日々さまざまな年代の方が訪れるこの施設の、成り立ちや魅力に迫っていきたいと思います。


ここっちゃとは?

「ここっちゃ」は、直方市中心市街地賑わい推進事業として、2020年から直方市主導で進められ、2023年4月にオープンした多世代交流施設です。

コンセプトは、「『こども×商店街』賑わいの創出」。

このコンセプトのもと、「地域子育て支援センター“ほのぼの”」「一時託児施設“おひさま”」「交流エリア」の3つのエリアがあります。

今回は、「地域子育て支援センター“ほのぼの”」と、飲食・物販を行う「交流エリア」について、主にお話を伺ってきました。


地域子育て支援センター“ほのぼの”とは?

「地域子育て支援センター“ほのぼの”」からは、保育士の十時さんにお話を伺いました。

ほのぼのは、国の子育て支援事業の1つである「地域子育て支援拠点事業」に位置付けられ、就学前の親子が、無料で利用できる施設です(年末年始除く)。

親子同士が自由に交流したり、子育ての情報交換ができたり、職員の方々への子育て相談も可能。部屋には、遊具や絵本などがたくさん並び、小さな子供にとってとても魅力的な空間が広がっています。

また、栄養講座や救急講座などの講座や、わらべうたを使ったふれあい遊びや、親子向けのコンサートがあったりと、楽しい企画があります。

移転前の子育て支援センターは、直方市中心街から離れた場所にあり、何かと不便なことも多かったそうです。
商店街の「ここっちゃ」に移り、利便性が格段に向上。訪れる人も増えてきたそうです。

ほのぼのに置かれているたくさんの絵本たち


子育て支援とは、子どもと保護者、すべての子育て家庭の支援を言います。

十時さんとお話を進めていく中で、印象的な言葉がありました。それは、

 「お母さんたちが、育児をしやすいように、住みやすくなるように、地域    
 の人を知ってもらいたい、というのが課題の一つです。」

という言葉。

「地域の人たちとつながって欲しいんですよ。買い物に出かけた時、子供がいると『わあ、何か月?』とかいってスーパーでも声をかけてもらうんだけど、あのそういうのってすごく大事で。」

「知らない人ばっかりの中で生活をするよりも、できるだけ地域の方に馴染んでもらいたくて。顔見知りになってもらったら、例えばね、『あ、この前のおばあちゃんや』とか『この前おった子供や』みたいなのがつながっていくと、お母さんたちも育児をしやすく、住みやすくなるのかな?と思って。」

この背景には、「アウェイ育児」という言葉があります。アウェイ育児とは、自分が生まれ育った地域以外で子育てをすることで、直方市だけでなく全国的にも、アウェイ育児をしている母親が増えているとのこと。

「日中、旦那さんはお仕事に行っちゃって、子供と2人で、でもまだおしゃべりはできないし…。実家に帰ったときに大人の会話ができてほっとする、っていうお母さんもいるんです。」

と、おっしゃられていました。

このような子育て家庭の現状を受けて、「子育て支援センター”ほのぼの”」は、子どもが遊んで楽しめるだけの施設ではなく、お母さんへの支援も特に大事にしています。そして、地域の皆さんとのつながりをつくるきっかけの場となることも目指しています。

ほのぼので働いている皆さん(真ん中の女性が十時さん)


「交流エリア~飲食・物販・交流~」とは?

次は「交流エリア~飲食・物販・交流~」について。株式会社まちづくり直方の清水さんと、直方市役所の甲斐さんにお話を伺いました。 

交流エリアは、飲食や物販を通して、ここっちゃに訪れた人々が交流するスペースで、10時~18時で利用することが可能。

訪れる人の年齢層は、ほのぼのやおひさまを利用する親子世代や、商店街で散歩をしているご年配の方など、さまざまな年代の方が訪れているそうです。

交流エリアでは「棚貸し」と「リアカー貸し」をやっており 料金は棚貸し 3,000円/月、 リアカー貸し 2,000円/日となっています。我々が取材に訪れた際も、実際に棚貸しスペースにはたくさんの商品が並んでおり、どの商品もとても個性的で、魅力的でした。

直方市在住の方だけではなく、直方市外に在住の方もいます。また、自分のお店を持っている方もいれば、初めて出店される方もいるそうです。

棚貸しエリアには魅力的な商品が並ぶ
オリジナルで製作した木製リヤカーもレンタル可能

また、交流エリアには、「どらネコ堂」というカフェも併設。ここは、季節のフルーツを使った「生どら焼き」が名物で、他にもコーヒーやうどんなども販売しています。

取材時は「マンゴー」の生どら焼きが販売中で、肉厚でジューシーなマンゴーと、まろやかな生クリームがふんだんに使われており、またもっちりとした触感の生地。まさに“生”どらやきという感じで、とても美味しかったです。

カワイイ猫の焼き印が押された「生どら焼き」


交流エリアのこれまでとこれから

2020年に直方市の事業として計画が進められてきた「ここっちゃ」。事業を進めていく上でいくつもの問題があったと、お二人は言います。

特に空き店舗の問題は、所有者との連絡がつかなかったり、所有者の方の財産でもあるので、踏み込んだ話をすることが困難でもありました。

「最終的に商店街に店舗が増えることが理想」ですが、空き店舗のシャッターを開ける前に、まずは棚貸しやリアカー貸しで、商店街に足を運んでもらい、関わってもらうこと、小さく新たな交流をつくっていくことが大切だと考えられています。

また、今後の目標についてお伺いした時に印象深い答えが返ってきました。

それは、

「『ここっちゃが』ではなく『ここっちゃに訪れる人、ここっちゃで出店する人自身から』ここっちゃのスペースを利用して何かイベントを行いたい、と意見が出てきたら最高だね。」

「まちにいっぱい人が来てもらうことが重要ではなくて、そこに住んでいる人1人1人が活性化していくことが、まちの活性化に繋がるんじゃないかな。」

という言葉です。

これらの言葉から、ここっちゃの交流エリアが、「ここっちゃという施設内での交流の場という役割」から、「商店街、ひいては直方を盛り上げる一助となる役割」になっていきたい、という思いが伝わりました。

インタビューに応えてくれた甲斐さん(左)・清水さん(右)


魅力あふれるここっちゃ

今回のインタビューを通して、ここっちゃという施設は、「子育て支援施設」・「託児施設」・「交流エリア」という、「多世代交流スペース」としての素晴らしい役割を果たしているだけでなく、それぞれの施設において、より深く人々に寄り添い、また、人々の手助けとなっている、とても魅力あふれる場所であることが分かりました。

子育て世代の方や出店を考えている方はもちろんのこと、これからもより多くの方にこの施設を利用してもらえたらな、と思います。

ここっちゃの前で。左から甲斐さん・十時さん・清水さん

店舗情報

『ここっちゃ』
営業時間:地域子育て支援センター”ほのぼの” [8:30~17:00]、一時託児施設”おひさま” [9:00~17:00]、交流エリア[10:00~18:00]
住所:直方市古町5-35
定休日:地域子育て支援センター”ほのぼの”[土日祝・年末年始]、一時託児施設”おひさま”[お盆・年末年始]、交流エリア[不定休]
電話番号:地域子育て支援センター”ほのぼの”[0949-28-9102]、一時託児施設”おひさま”[0949-23-0321]、交流エリア[0949-52-6234]
Instagram:@cococha20230401 


文・編集:鶴洋亮
取材  :鶴、甲斐、難波、青木 
撮影  :青木


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