「“私”を一緒に見つけてくれて、ありがとう」DANRO卒業生インタビュー
人と人とのつながりの中には、”目には見えない温かさ”がある。その温かさが増し、循環する時、きっと、世界は今よりもっと明るくなる。そんな創業者の想いから生まれた『深いつながりを紡ぐ、実践型対話スクールDANRO Autumn』が2023年12月に最終回を迎えました。卒業生へのインタビュー記事を、数回に渡りお届けします。
今回お話を伺ったのは神戸在住、7歳と5歳の子育てをしながら会社員や市の制度運営などに携わるASAMIさん。はじめてのオンラインコミュニティへの参加でASAMIさんが見つけたものとは……。
母になり7年、久しぶりの「好奇心」からのチャレンジ
ーーASAMIさんとDANROの出会いを教えてください。
ASAMIさん:今回のファシリテーターだったいつみさんのことをInstagramでずっとフォローしていて、それでDANROのことを知りました。
DANROのことを調べるうちに「結構私が好きな人がたくさんいるかも。楽しそう」みたいに思ったことがDANROに参加するきっかけになりました。メンターのNOAさんのことは特に「可愛いな。好きやな」って感じに思っていましたね(笑)
――その後説明会に参加されたのですか?
ASAMIさん:実はちょうどそのとき体調が悪くなってしまって、参加できなくなったというLINEを送ったんです。タイミングも逃してしまったしもういいかなみたいなときやったんですけど、せっかくだからちょっとお話ししませんかとHiroさんに言ってもらえて。体験会ではないんですが一緒に話させてもらいました。
――そのときに参加する、と決断した決め手みたいなものはあったのでしょうか?
ASAMIさん:職業的には対話するコミュニティに入ったとしても何もならへんというか、私が入る意味あるんかなみたいに思ってたんですね。でもこうして話してたら、やってみたい、楽しそう!よし、やってみよっかな!と気持ちが変化していきました。
私自身、やったことないことをするのが好きだったんですけど、どうしても母になってこう、少し保守的になってチャレンジとか全くしなくなり。それが7年間くらいあって、好奇心だけで何かをやってみるということが最近なかったんです。
でもHiroさんと話したときに久しぶりに「やったことがないからやってみたい」「違う世界を見てみたい」という好奇心とワクワクした感情を感じました。
“私=母”ではない、という大きな気づき
――DANROに参加して実際に2ヶ月間の時間を過ごしたと思いますが、ASAMIさんの中で印象に残ったことを教えてください。
ASAMIさん:私の中で印象に残っているのは“同一化”の話ですね。“悲しい”とかの感情を自分と同一化していることがある、と言った感じのお話しだったんですけど、そこでの気づきが大きかったです。
“私は母である”ということ、“母という属性”に自分をすごく同一化しているなって。私は母ではあるけど、それは私の中の一部である。“私=母”ではないなとハッとさせられました。
悲しい感情とは分離していたり、母という“属性”とは同一化しちゃっていたりしてたんやなって、自分を客観視できたのがエピソードとして一番印象に残っているし、一番知れてよかったなと思っています。
――母という属性とASAMIさん自身を同一化してしまっていたというのは同じ母としてすごく共感できるエピソードですが、悲しいと自分を分離しているとはどういうことでしょうか?
ASAMIさん:夫が飲食店をやっているんですけど、なかなか家族との時間が取れないっていうことが多くて。悲しい気持ちはありつつまぁ仕方ないよなーと、さみしい気持ちに蓋をしていたという気づきがあった、という感じでしたね。
――そういうことだったのですね。母と同一化していた、悲しいと分離していた、ということに気づいてその後の何か変化はありましたか?
ASAMIさん:これまで結構“母としての楽しみ”しかないというか、それが今も一番なんですけど、なんかやっぱり子どものことをずっと考えちゃっていたなって。子どもに意識がすごく向いてたのですが、そこのちょっと意識が自分に向くようになったかなと思います。
――例えばどんな時に感じますか?
ASAMIさん:まずDANROで毎週自分に時間を使えたことで、自分にお金と時間を使うことを許してあげられるようになったというか。なんか「このお金あるのやったら子どもとなんかしたい」とか「時間あるんやったら子どもたちとこれやりたい」とか、そこをずっと紐付けてたんです。
そのずっと紐付けてたものを自分だけのために使ってもいいかなというか、使おう、使ってもいいよと許してあげられたという感じ。
ーー自分の時間が今まで持てていなかった点に関しては結構我慢していたようなところはあるのでしょうか?
ASAMIさん:うーん我慢していた……という感覚はそんなにはなかったかな。でも、自由がもともと好きやったんで、なんかあまり自由がないなとは感じていたし、やっぱり我慢していた時期もありましたね。
――なるほど、自分を母という属性と同一化していたことでそういう考えも思い浮かばなくなっていたような感じなのでしょうか。
ASAMIさん:変化していったって感じなんですけど、やっぱり最初母になりたての時はめちゃくちゃ我慢してるっていう感覚があって、でもだんだんその生活にも慣れてきて。
我慢しているというよりは自分が子どもといたいから、というふうに感じるようになっていました。でも、それ以上のものをこれから見つけられない気がして……そういう焦りがあったのもあるかもしれません。
子どもたちが育っていなくなったあとはどうしよう、なんにもなくなっちゃうかもしれないと、今はそんなことはないと思えるのですが、その時は本当に思っていて。だから子育ても全力で楽しめないみたいなの感じがあったのかもしれません。
――詳しく気持ちを紐解いてくださりありがとうございます。子育て中のお母さんはすごく共感できる想いなのではと感じます。
感じないのではなく、蓋をしていた
ーー悲しい、さみしいという感情を分離していたところにも何か変化はありましたか?
ASAMIさん:「言っていこう」というふうに意識は変わりました。「さみしくないよ」「別に悲しくないよ」みたいに結構ケロッとしていたところもあったんですけど、やっぱり言わないと伝わっていないなって。重くならないように伝えていこう!と自分の意識の中で変わって。
夫との関係性だけじゃなくて、私は結構「悲しい」とか「さみしい」「悔しい」とか、一般的にネガティブと言われるようなワードに対して自分はあんまり感じないタイプだと思っていたんです。でもそこは多分蓋をしてたんやなって気づけたのもあります。
ーー旦那さまへの気持ちというところから、それだけじゃなかったと気付けたのですね。
ASAMIさん:はい、夫だけじゃなくて本当に全部に対して分離していたのかもというのは気付けたし、全てにおいて伝えていく、口に出していく、全部のどの感情も“感じていこう”と思えるようになりました。
――すごく、素敵なエピソードです……!「仕事には役に立たないかも」というところからのスタートだったと思いますが、今はどうでしょうか?
ASAMIさん:職場でも生かされていますね。自分がちょっと我慢したらいいやとか「全然、何も思ってませんよ」みたいな感じを今までは出してしまっていました(笑)そこまで無理してたというわけではないんですが、自分を職場でも出せたという気がしています。
――実際に気持ちや感情出してみて、その時ASAMIさんはどんな気持ちを感じましたか?
ASAMIさん:「伝える」というのはもっと嫌な雰囲気になると言うイメージがあったんですよ。あんまり嬉しくない感情やと思ってたんで、気まずい雰囲気になるのかなとか感じていたんですけど全然そうじゃなかったです。
「それされたら悲しいし」と言ったら「あ、そうやったんや」という感じで素直に受け取ってもらえるんだということを感じました。
――されたら悲しいということを職場の方に伝えるのは勇気がいりますよね!
ASAMIさん:そうだと思います。でもそれも勇気を振り絞って、というよりは自然と出たような感じだったんです。「よし、言うぞ!」みたいな感じではなくて。
たぶん私の中ではもう「言っていこう!」という意識に変わっていたんですよね。今は本音で誰とでも話せるというか。その一歩が踏み出せたかなと思います。
分からなくなっていた“私”の正体は…
――今までこういうオンラインのコミュニティに参加されたことはありましたか?
ASAMIさん:全然ないです。はじめてでした。
――参加してみてどうでしたか?
ASAMIさん:はじめはちょっとよく見せたい、ちょっとかっこつけたいみたいなのがあったと思います(笑)緊張してたけど「そんなにしてません」みたいな感じではじめは参加してました。
どんな感じなんやろうって最初は思ってたんですけど、はじめましてのときからもう受け取ってくれているというのかな、どんな言葉を言っても大丈夫というような空気感で。全体を通しても“安心感”がずっとありました。
――この大人になって実際出会って、しかも対面じゃなくてオンラインでそこまで何でも話せるような空気感になれるのはどうしてだと思いますか?
ASAMIさん:うーんそうですね、なんだろう。“弱いところも見せてくれた”から、絆が深まったように感じます。
――確かに、なかなか日常にある普通の関係性で、弱みを見せ合うということはしないですものね。弱みを見せられるような雰囲気があったのですね。
ASAMIさん:あなたは何を感じても良いんだよ、何を発言してもいいんだよ、という感じで聴いてくれているあたたかさが画面を通してでも感じられていました。
お互いがお互いをジャッジせず受け止め合えていたし、色々な過去とそれぞれが逃げずに向き合っている姿も見て応援したくなるような。なんだろう、私は本当にみんなのことを「愛しいな」とずっと思っていて。
――「愛おしい」!素敵です。
ASAMIさん:葛藤や辛い過去には「忙しい」と逃げたくなるじゃないですか。自分と向き合うのはすごく体力も必要なことなのにみんなが向き合い続けているんですよ。その姿に「一人ひとり、がんばっているね」と客観的に見ている自分もいましたね。
――みなさんが葛藤する姿を見られていた、とのことですが、ASAMIさん自身はどんな自分と向き合っていらっしゃったのですか?
ASAMIさん:私の場合は過去の出来事とかではなく“自分迷子”という感じだったかな。参加するまで“私がいない”ってずっと思っていました。
母という属性に振りすぎてたのか「私ってどんな性格やったっけ?」とか「好きなものなんやったっけ?」とか。
母になる前と今の自分じゃ全然性格も違う気がしていて。“本当に私らしいってどれ?”みたいな感じのところと向き合っていたような感覚でした。
――迷われていた「自分らしさ」というのはDANROを通して見つけられましたか?
ASAMIさん:「これは自分らしい、これは自分らしくない」っていう“自分らしい理想”のようなものがあって、そこにはまっていないからこれは私らしくない、ってずっと感じていたんだなというのに気づいたんです。
「全部、自分やったんや!」って。最後に本当にやっと会えた!という気持ちになりました。
――「全部自分だったんだ」……すごく心が動かされました。最終的にそう思ったとき、ASAMIさんは何を感じましたか?
ASAMIさん:感謝、でしたね。みんなが連れて行ってくれたっていう感覚がすごくあって。私1人やったらそこまで行けなかったかなと思っています。
私が迷子になっている時とかも、みんなが手を引っ張ってくれたり、背中を支えてくれたり、そういうDANROの期間があったから「おった!」という感覚。
“私を全部集めにいけた”。本当に感謝しかありません。
一緒に探してくれてありがとう、という気持ちです。
――すごく愛に溢れた空間だったのですね。
ASAMIさん:本当に。こんなにもあたたかい気持ちを毎回毎回もらえるなんて思ってなかった。こんなんで参加していいんかなって相談して、全然良いよって言ってくれたHiroさんにも、参加するぞって決めた自分にも感謝してる。なんか本当に、感謝感謝って感じで。
――苦しさを経験するというよりも、感謝や愛を感じられた部分がASAMIさんにとっては大きかったのですね。そしてきっとASAMIさんに必要なものだったのだろうなと、全部今つながったような気がしました。
対話があったから感じられたもの
ーーASAMIさんにとって、DANROとはどんな場所でしたか?
ASAMIさん:愛。愛に溢れた空間、愛に溢れた場所でした。
――まさにですね。では、対話とは?
ASAMIさん:“受け入れてくれたもの”かな。対話をしているだけで背中さすりながら聴いてもらっているというのをすごい感じたんです。
うん、受け入れ合えるもの。許容できるというか、包み込んでくれるもの、という感じですかね。
――対話も「愛」につながるものだと感じますか?
ASAMIさん:そうですね、対話があったからこそ、感じられたと思います。
――ASAMIさん、心温まるエピソードをお聞かせくださり本当にありがとうございました。
ASAMIさんについて
神戸市在住。市の制度運営などに携わる会社員。7歳と5歳の子の母。
母になり“自分迷子”を感じていたところからDANROに参加した。
DANROについて
「日常に対話を、対話を文化に。」をスローガンに掲げるダイアログカンパニー。私たちがともにこの世界に生きていくために、人、自然、社会など全体性を探求しながら、循環し合える空間を創造しています。
実践型対話スクール、DANRO CHILDREN、自己を探究するダイアログコミュニティの運営などを行う。その他対話を軸とした事業を展開。
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