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「対話とは、未来を創るもの」/実践型対話スクールDANRO Spring ファシリテーター石川世太さん

人と人とのつながりの中には、”目には見えない温かさ”がある。その温かさが増し、循環する時、きっと、世界は今よりもっと明るくなる。そんな想いから『深いつながりを紡ぐ、実践型対話スクールDANRO』は生まれました。

4月、5期目となる「DANRO Spring」開催にあたり、ファシリテーターを務めることとなった株式会社musuhi COO 石川 世太さんに、DANROスクール卒業生でもあるインタビュアー彩乃がお話しを伺いました。

石川 世太(Seita Ishikawa)
株式会社musuhi COO/Chief Daialogue Officer

鹿児島の、海の前の小さな集落・小浜で古民家を改修し、妻・息子8歳・猫と自然な暮らし。

株式会社musuhiでは、人・組織・社会・地球が共進化する「地域共創エコシステム」を、鹿児島で多くの仲間たちと共に創っている。その中の「人と組織の変革プロセス」を主に担い、「主体性と創造性の解放」を核としている。人と組織が持っている素晴らしい強みや才能とむすびなおし、「ありたい姿」をビジョニングして、情熱と責任を持って「やりたい」想いで皆で未来を具現化していく。自己組織的に可能性を開き続ける、組織変革のアプローチを探究している。


掛け合わさることで創られていく可能性


━━株式会社musuhiというダイアログファームで活躍されている世太さん。「対話」という側面では近しい事業をされているように感じるのですが、今回なぜDANROのファシリテーターを引き受けて下さったのでしょうか?

世太さん:僕たちには「対話」という共通点はあるし、描いている世界観も近しいなと感じているけれど、焦点を充てていることは違っているんですよね。

今回のお話を頂いた時、「日常に対話を、対話を文化に」というテーマを掲げ、そこに向かう代表のおふたりが素晴らしいなと思いましたし、そもそも想いを込めて創っているこのDANROスクールを誰に依頼するのかって、ものすごく大事なことだと思うんです。

そこに選んでもらえたということは素直に嬉しかったですし、何か役に立てることがあるんじゃないかと思ったんですよね。


━━つかぬことをお伺いしますが、世太さんはご自身の会社でも個人向け事業をされていますよね。同じ内容を自社で行うこともできたのでは……?

世太さん:
それはできなかったでしょうね。対話にも種類がありますし、対話の捉え方も良い意味で全く同じではないんですよ。なにより、自分とは違う経験をしてきたり、違うVisionを描いている人たちと一緒に何かするというだけで、自分だけでは生まれなかったものが、掛け合わさることで生まれ、創られていく。

僕がやりたいと思ったことは一人でも、今の会社でもできるけれど、「DANROと一緒だったら何が生まれるんだろう?」そういう意味での興味や面白さを感じましたし、カリキュラムを創る過程の今でも、それは感じています。


「REFLECTION」と「REVISION」


━”掛け合わさることで生まれる面白さ”。DANROスクールは、ファシリテーターの方によってテーマやカリキュラムが変わることが特徴ですがSpringの内容がますます気になりました。

世太さん:今回、DANRO Springに携わるメンバーと話していくなかで、”REFLECTIONとREVISIONする”がキーワードになりそうだなと考えていて。

例えば1年後、10年後を想像した時、自分はどうなっていたいかとか、家族や社会、大きくは世界がどうなってたら良いかなんてことを自分の言葉で持っているのと持っていないのとでは、生き方やその人の人生が全然違うものになると思うんです。

というのも、僕は普段、組織や組織のなかの個人に向けて、自分とつながり直すための対話に携わっているんですね。そうすることで、会社のVisionと自分の人生の在り方と相違がないかとか、じゃあそのVisionに向かって自分はどうしていくかが明確になる。

DANROスクールには対個人が集まるけれど、その方々も普段、なんらかの組織やコミュニティに属していますよね。ということは、個人が自らのVisionを描くことで、その人やその人の周りからポジティブなエネルギーが立ち上がり、新たな可能性が拓けると思うんです。

世太さん:ポジティブって、一般的にはネガティブの反対にある「良い方」と捉えられることが多いけれど、僕は「未来は創れるという確信がある」状態がポジティブだと教えて頂いたことがあって。対話を通して、もっと力強く未来は創れるという確信やエネルギーに変えていけたらと思っています。


━━なるほど。対話の素養と自分のVisionを持った人が増えたら、社会がもっと活き活きとした人で溢れるような気がします!

世太さん:そのために、まずは【REFLECTION】=自分のこれまでがどれだけ素晴らしかったかを対話で見出していく。これまでの過程やスクールの期間中、自分はどんなことを収穫しているか気付きながら、【REVISION】=新たなVISIONを描いていくことで「これからこんなことができる!」という自信になるかもしれない。

そのプロセスとして、自分や仲間との対話を重ねたり、NVCを用いたり、普段の思考とは別の、もっと感覚にアクセスするためのアート思考を取り入れていきたいと考えています。


━━今のお話から、【人生=畑】だとしたら、REFLECTIONによって畑を掘り起こし、すでに自分が持っていた種が何の種なのか見つけていく。その見つけた種を「私はこれを育てる」と意図を持って植え直すことで、その育つプロセスも楽しみながら、収穫をしていくという情景が湧いてきました。

世太さん:いいですね。自分は自然に伸びる力をもっているんだなと知って、安心して伸びていけるようにも感じますね。

成長を見守り、剪定、収穫をする世太さん

━━どんな人が参加しても、絶対に人生のなにかしらの役に立つ時間になるんだろうなぁ。

世太さん:そうですね。これは僕個人としてですが、これからの時代は「何かの流れに乗っていけばなんとかなる」という状態では生きづらくなってくると思っていて。自分で考えたり、自分はどう在りたいかを考えることが本当に大事になっていく

今を生きる日々をもう少し良くしていきたいとか、未来を創ることに意図を持ちたいという人にすごく響く時間になると思いますね。

感じて、考えて、生き方や未来を選んでいく


僕たちは未来を創っていくという役割がある


━━世太さんのお話には、”対話で未来は創れる”という言葉がよく聞かれたことが印象的でした。そこにはどんな想いがあるのでしょうか?

世太さん:僕は「対話とは、未来を創るもの」だと考えていると同時に、「僕たちには未来を創っていくという役割がある」とも思っていて。

対話によって、人と人とがつながる温かさだったり、安心という土台が培われていく。その感覚ももちろん大事だけど、じゃあ「その先にどんな未来を生みだしていくのか」も大事なところなんですよね。


━━安心の先の未来、ですか?

世太さん:例えば近年、気候変動や様々な地球からのシグナルを受けて、みんなで変わっていく必要があるよねと感じている人も多いはず。とはいえ、これまでの大事にしてきたことが譲れなかったり、自分を変えることができても、みんなとは難しい…という状況になった時、生成的ダイアログ(対話)によってそれまでとは違う選択肢や何かが生まれてくるんです。

対話の先にある、「未来を創る対話」へのステップ/引用:https://artiencecorp.com/column/articleID=3025/

━━なるほど……。「自分を知る」「相手を知る」対話の先に、「変えられないものを変えられる新たな何か」を生みだす対話がある。まさに今回の世太さんとDANROがそれなのでは?

世太さん:そうですね。今回ってDANROに依頼はされているけれど、これが「依頼する側・される側」という分離された状態だったら共同になっていたと思うんです。でも、「一緒に何をしていきたいのか考えましょう」と対話したことで共創することができていて。

実際、Springのカリキュラムやコンセプトを話し合う場で出てきた言葉をメモする時って、名前を書かないんですよね。そこで大事なのは”誰が”という分離させることではなくて、”みんなで”という混ぜて、掛け合わせていくことなので。

繰り返しになるけれど、誰かひとりが実現したいことだと起きないことが「みんなが実現したいことってこういうことだよね」という、Visionが立ち上がる共創だと起こってくる。対話が、まさにそのプロセスになるんです。

世太さんの暮らす鹿児島の自然/「自分に何ができるのか」対話の先には、自分の未来はもちろん、それを取り巻く社会・環境とのつながりを感じるようになっていく


社会と対話の架け橋に


世太さん:ただ、対話ってビジネスシーンや日常といった一般社会に流通している会話とは乖離があると思っていて。対話を大事にしている人が、どうやってそれを一般社会に活かしていくのかも重要だと思うんですよね。


━━確かに。私が初めて「対話」に触れてできるようになった!と思ったのに、日常では会話になってしまったり「あれ?できたはずなのに」というもどかしさを感じたことがありました。

世太さん:そこでもやっぱり「対話の先に何を願っているのか」というVisionが大事なんですよね。それを持った状態でなら、「この人と話していると、何故か大事なことを話せてしまうんだよなぁ」と、想いが解放される場を創ることができるので。対話の素養が今はまだない人だったとしても、その人が想いを持っていない訳ではないですからね。

だから、今回のDANRO Springでの取り組みが、一般と対話に橋がかかるようなそんな機会になれたら嬉しいなと思います。対話的に変革を起こしていくというか。


━━世太さんのお話からは、自分の想いに気付き、対話によってそれが衝突することなく上昇気流のように温められてより良いものが創られて行く。そんな人が増えたら未来が明るくなるなぁと感じました。

世太さん:ポジティブなエネルギーが湧いてきますよね。対話の素養を身に着けたいっていうのはもちろんだし、何か創りたい未来がある、変えたい、繋がりのなかの何かを変えたいと思う、そういうことに取り組むためにすごく役に立つと思います。


━━この対話の前と後では次元が違うというか、自分たちがやることが変わっていく。そういう未来のための対話が、このSpringが創られる過程でも、スクールが始まってからも繰り返されていくんだろうなと思うと、今からその時間がどんなものになるのか楽しみですね!

世太さん:3ヶ月を終えた後の参加者はもちろん、僕自身やDANROがどう変化していくのかも楽しみですね。

インタビューの様子/世太さん(左)


インタビューを終えて


DANROはまさに「対話」によって生まれ、変容し続けていく場所なんだなと、今回のインタビューを通して改めて感じました。携わる人が増えるなか、確たるものはあるけれど衝突はしない。それは、世太さんの話す「対話の先に目指すもの」を一緒に共創しているからこそカタチを成せるのだなと。

対話によって立ち返り、未来を意志を持って拓いていく。

今回のDANRO Springに参加される方が、世太さんやDANROでの対話を”きっかけ”に、自ら自分のなかにある火種(想い)に気付き、温められ、そのポジティブなエネルギーで生きていく。そんな姿が目に浮かびました。(インタビュー/執筆:廣田 彩乃)


\ 実践型対話スクールDANRO Springは体験説明会を行います。/

DANROスクールについては画像をclick!

詳細は、公式LINEより【スクール説明会】とお送りください。


DANROについて


「日常に対話を、対話を文化に。」をスローガンに掲げるダイアログカンパニー。私たちがともにこの世界に生きていくために、人、自然、社会など全体性を探求しながら、循環し合える空間を創造しています。
実践型対話スクール、DANRO CHILDREN、自己を探究するダイアログコミュニティの運営などを行う。その他対話を軸とした事業を展開。
HP / Instagram

廣田彩乃/インタビューライター
「今ここにいるひとりひとりの 今ここにある想いをつなぐ」人生の節目にこれまで歩んできた軌跡を振り返り、大切にしてきたものに気付くことで、今を愛おしむことができる。今しかない感情を言葉に遺し、未来の自分へ、届けたい人へと繋いでいます。( Instagram / note




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