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青森アート旅 その1 〜青森県立美術館・弘前れんが倉庫美術館〜


6月、2回目の投稿。

昨日まで2日間、青森に一人旅をしていた。
高速バスの車窓から「日比谷」という標識と、せわしなく行き交う車たちを見て(わ~もう戻ってきてしまった)と現実に引き戻されたのが、ちょうど今朝の8:00だったか。予想外の快晴で、車中泊を乗り越えた寝ぼけ眼には堪えた。

さて今回の青森旅の一番の目的、
それは言わずもがな「美術館巡り」である。

実は青森県は、東北…いや全国屈指のアートシティを目指す今注目の都市。特に「面白い!」と思ったのが、県内にある5つの美術館とアートセンターが連携するプロジェクト「AOMORI GOKAN」。

サイトには、県内に点在する
5つのアートミュージアムにまつわる
展覧会スケジュールはもちろん
周辺のアートスポット情報も。
県民と観光客にもっとアートシティとしての
青森を広めよう!実際にその土地に足を運んで、
五感で青森を感じてもらおう!
というプロジェクト、のようだ。

アートプロジェクト=芸術祭っていう
イメージが強くて、瀬戸内とかあいちとか?は
以前からなんとなくクリエイティブ都市!
みたいな印象があったけれど…(行きたいなあ)
美術館どうしが協力してなにかやりましょうや
っていうのはありそうでなかったなあ~と思った。
素敵やん。

というわけで、この大学4年という
人生史上いちばんの野放し状態とも言える
このタイミングで、行かない手はなかろう
という思いで、旅が始まったワケなのだ。

前回の旅行先である金沢・氷見でも、
たくさんの美術館と思い出に浸れて
ほくほくしていたのだが、
Noteでも日記でもなにかしらログを
のこしておけばな…と反省。

今振り返ってももちろん、
宿の屋上からみた漁港とか、
ガラスの美しさとか、
そういう断片的なところは覚えてるけど…
どうしても時間経つと記憶が
うすぼんやりしていく。

ということで今回は、
帰りたてほやほやの今のうちに
美術館レポート & ソロ活たのしかったよログを
まとめていきたい。

新青森に降り立ち、弘前、十和田、そして八戸
まで駆け抜けたむぎゅっと凝縮青森ツアー!
旅行のログなんて書いたことないから
ちぐはぐになりそうだけど、いってみよ~。

①壮大な遺跡とリンクする、青森県立美術館

1つめに訪れたのは、2006年開館の青森県立美術館。
駅から出ているバスで25分くらい。

梅雨どこ行ったんだ?というくらい青森市内は日中ずっと快晴だったので、青々と茂る芝生と入道雲の広がる開放的な空間のなかにぽっかりと白い建築が建っているのがすぐ見つかった。隣接している三内丸山遺跡の発掘現場から着想を得て、青木淳さんが設計されたようだ。

さっそく中に入ってチケットを購入。
企画展で「庵野秀明展」が開催されていたが、はじめは常設展だけで満足できそうかな?と思い、その1枚を購入。…でも(やはりエヴァファンとしてそれはいかがなものか…)と邪念を隠しきれず。笑 しっかりどちらの展示も鑑賞した。90分でみるにはかなりのボリュームだった…。

常設展では、インスタグラムでもおなじみの
「あおもり犬」(奈良美智)がお出迎え。
大きかった~。けど、圧迫感はそれほどなくて、
表情も相まってあたたかい印象。
個人的にはあたまの丸みが
そうさせてるのかなあ?と思ったり。
あと、よーく見ると左右で耳の長さが違くて、
スタバの「シンメトリーに見えて実はそうじゃない」
みたいなトリックかな?と…。

常設展では、奈良さんの他にも
マルク・シャガールのバレエ「アルコ」舞台背景画が
これまた広大なホワイト・キューブ内に
展示されていたり、青森にゆかりのある
作家さんの作品がガラス工芸から版画、
油彩画などなど…幅広くコレクションされていた。

寺山修司はちょっと無知でごめんなさい…
という気持ちだったが
(あとウルトラマンとゴジラも)、
目を引いたのは佐野ぬいさんの作品群。

コンポジションはここで初めて見たので、
カンディンスキーも置いてるのかな~と
最初はひとりごちてたのだが
(でも実際収蔵されてるぽい!)、
あらどうやら違うのかしら?というのが最初の印象。

2部屋をまたぐ展示だったが、前半のライトの
あてかたが良かった!作品の要でもある「青」の
見え方が、角度とか近づき方によって色々変わるなあというのが鑑賞できて個人的には一番楽しかった。

高校のコンクールでも、「蒼」をモチーフにした楽曲に取り組んでいたことがあって、淡い青、深い青、切ない青、草原みたいな青…とか考えたなあ。と思い出したり。素敵な作品だった。

ちなみに、庵野展では前述の通り
特撮・メカ系はほとんど知識ゼロだったので
ごめんなさい…(2回目)となりつつも、
大学時代のアニメ映像習作・コンテとか
ふしぎの海のナディア、
そしてもちろんエヴァシリーズの資料が
たんまりあったので、ご満悦。
というかナウシカのあの巨人兵のシーンも
原画は庵野さんだったのか…と驚き。
そして学生の時点から雲とか爆発とかの
エフェクト系の作画が上手すぎて
すでにエヴァの片鱗みえてるやん…となった。

青森まで来たんだから遺跡を見た方が
良かったのかもしれないが…
そのときの赴くままだったから、
まあ大目に見て欲しい。


② シードル煉瓦工場からの「延築」、
弘前れんが倉庫美術館


お昼かおやつか分からない時間に
裏企画であった「美味しいアップルパイを食す」
タスクを無事に達成して小腹を満たし、
2つめの弘前れんが倉庫美術館へ。

実は、ここが今回の旅行の
メインターゲットと言ってもいい。

というのも、来春からの就職先とたいへん由縁(?)のある美術館なのだ。展示企画にはさすがに直接関わっているわけではないが、シードル工場から新たに美術館としてリボーンさせよう!というプロジェクトに
関わった企業のひとつに、来年自分が勤めることになっている。論文出して、卒業すれば。

それに、初めてこの子の存在を知ったときに感じた
「”まちのコミュニティ拠点”としての美術館」
のポテンシャルへの期待。
「ハコとしての機能にとどまらず、
館そのものがメッセージをもつ
新しい美術館のあり方」という発想。

美術館という空間に対する心構え?が変わった
きっかけにもなったというか…。
このわくわくした気持ちは、
少なからず私自身の就活、
というか関わりたいフィールドを考える上で
すごく、すごーく大きな役割を果たしてもらった。

とにもかくにも、知ったときから
”こ、これはいつか行かねば!”と
目星を付け、満を持して今回やってきたわけである。

チケット購入はカード決済可能で、
企画展を1枚購入。
※1つめのあおびは現金オンリー。必要最低限の現金しか持っていない(これない)限界大学生の筆者としては、決済方法の確認は不可欠である。

各地のトリエンナーレなど国際展にも
活躍を見せている、
現代アーティスト・大巻伸嗣さんの個展。
東北地方では今回が初めてとのこと。

大巻は、空間全体をダイナミックに変容させ、観る人を異世界に誘うような幻想的なインスタレーション作品やパブリックアートを数多く手がけています。 (…) 展覧会に先駆けて、大巻は青森県内各地の風物や自然、信仰の形などを取材し、人々の声に耳を傾けるなかで、人や自然、物質世界や精神世界の生と死が円環を成すような死生観というテーマにたどり着きました。

大巻伸嗣—地平線のゆくえ | 弘前れんが倉庫美術館 ー Hirosaki Museum of Contemporary Art (hirosaki-moca.jp)より

展示数自体はそれほど多くなく、
個展としてのボリュームだとコンパクトかも?
と思ったのだが…いやぁ、圧巻だった。

とりわけ、キービジュアルにもなっていた
「Liminal Air Space-Time」シリーズの新作は、
自分しか観客がいなかったのもあいまって
エネルギー量がすごかった…。

一枚の薄い布がたゆたう様子が、
3点のスポットライトから照らされることでより
「揺らぎ」の可視化?というか、
目に見えないなにかを浴びているような感覚になる。大巻自身が青森に足を運んだときに感じた
海辺の風景、波の迫力を表現したのだという。

流れているサウンドも、津軽地方在住の
方々の声を集めて作ったもので、
インスタレーションの醍醐味である
”五感全てでメッセージを感じる”という力強さを
惜しみなく、うおおと声が漏れるほど
体感することが出来た。
すっごいおおげさな言い方をすると、
だんだん自分の身体の輪郭が薄くなってく、
というか…どの一瞬を切り取っても
同じ画に成らないっていう刹那さも
相まってずっとみてられるな~と終始感服していた。

あとは、れんが倉庫だったからこその
「吹き抜け」を活かして新作に取り組んだのかなっていうのが伝わってきて。
倉庫由来の美術館だからこそ、柱のない開放的な空間が実現できてちゃんとそのスペースを惜しみなく使ってる感!があってよかったな。

ずっと暗かった展示を抜けて、
最期は一気に真っ白な空間と床一面に広がる
鮮やかな花々と紋様が迎えてくれる。
個人的にはその展示をつなぐ「Glass of Echo」
という作品が、あまりに緻密で。

作品のメッセージでもある

ーーー自然の持つ大きな時間の流れと、
過去の記憶、さまざまな時間の集積を
ひとつのグラスに閉じ込めるーーー

が、素敵すぎて思わぬところで
またしばらく立ち止まっていた。

ちなみに、展示スペースが終わると
ライブラリーコーナーに入る。

ここは無料で利用可能で、地元の男子学生が
勉強していたりお兄さんがカタカタ作業していたり…閉館まで1時間もなかったがまあまあ人が居たなあ。今和次郎、という「考現学」の提唱者である
明治の研究者さんが最近自分の中では
注目選手なので、少し読んで時間つぶすなど。

そのあとは併設のカフェで、
これまた裏企画の「美味しいシードルを飲む」も
したたかに達成し(抜かりなくお土産も購入)、
1日目は終了~。

2日目は、十和田・八戸エリア編!
こんなゆったりテンポで今日中にまとまるのか…?
次回に続く~。


ホテルから見たおやま。




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