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虚数肉

肉の厚さは1.1ミリ。
それ以上でも
それ以下でも
ダメなんです。


松屋でそんな広告を見た。
と言ってもその広告を見たのは初めてではない。
前も見たことがあって、ふーん、ミリ単位で計算されてるんだ。
料理の研究ってすごいな、くらいに流していたものである。

先日ある生徒が、(僕ではない)先生が“以下”の使い方が違ってたせいで
テストで以下の使い方を間違えた、という文句を言っていた。
いや、そりゃ算数の先生なら気を付けるにせよ、そうでなきゃ日常語では
未満の意味で以下って言うことあるやん、
とか思いながら聞いてた。

それがあったからフと思ったわけだ。
算数的には1.1ミリ“以上”でも1.1ミリ“以下”でもダメなら
何ミリでもダメやん、と。

もちろん、“それ以上でもそれ以下でもない”という表現が
日本語にはあるので、そういうことではない、というのは分かりつつ、
この画像を写真に撮りながら、この画像を添えてこういうツイートを
しようとした。


じゃあ何ミリでもダメじゃん
という理系的ツッコミ


しようとしてやめた。
“理系的ツッコミ”というワードを入れることによって、
“分かってますよ、そういうことじゃないってのは。”
という保険をかけつつ、自分が何を言いたいかの意図も分かってもらおうと無駄に詰め込んだ、冗長でつまらない文章。
言うなれば“写真で一言”の大喜利に自分から突っ込んで行きながら説明的なつまらない、センスの無い文章を載せようとしているわけだ。
そんなことだから彼女が出来たことも無ければ人望もなく、
安月給で働き続てけるクズなわけである。
生きている価値が無い。

そう、僕はツイ廃だから知っている。
画像付きのツイートでバズるのは、鋭角から放り込んだ一言を添えるだけであることが多いのだ。
足し算ではなく引き算の美学。
ともすると自分の意図が間違って伝わらないか、と怯えて長文ばかり
放り込みがちな自分のようなカスでは到達しえない高み。
大喜利もあえての長文で笑いにすることはあっても、
基本はやはり鋭角からの一言がセンスが良い。

そこで、この画像と共に添える言葉はこれにした。

虚数肉

これである。
たった一言でありながら、何を言ってるんだろう?
と一瞬考えさせるワードであり、
“ああ、そういう意図ね。俺は意図が分かりましたよ。”
と自分の優秀さを表明したくなったり、
“いや虚数ってそういうことじゃないから。”
とか、
“いや、それ以上でもそれ以下でもないって普通の日本語であるじゃん。
これだから理系は。”
とか、そういうツッコミどころをあえて残す。
ツッコミどころに気付く、というのも優秀さアピールになるので、
やはり人はそういう所に食いついてしまうわけである。
反応してしまう内容である、すなわちバズる、とこういうわけだ。
これがバズるツイートの作り方。
普段、意図が間違えて伝わって突っ込まれたら嫌だ・・・とかそういうことばかり考えている自分には出来ない殻の破り方。
こういう所から人は成長していく。
ツイ廃で良かった。ありがとうtwitter。

もちろん、現状そのツイートにはいいねもリツイートもリプも無い。


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