築38年の愛着ある実家を、3世代で暮らす快適断熱住宅にリノベした話【断熱先生のダンネツノートvol.29】
建物は築30年を超えたあたりから、多くの人が「リフォーム」か「建て替えか」を考えることでしょう。
特に建物の築年数が35〜45年あたりだと、『冬は寒いし、夏は暑い…』『愛着があるから住み続けたいけど、住み心地が…』といった、家族それぞれの想いが交錯し、なかなか決断できないもの。
今回ご紹介するのは、戸建て検討当初は「新築」を考えていたものの、最終的に実家を「性能向上リノベ」する選択をされた、三世代で暮らすご家族の事例をご紹介します。
住まいを新築する話だったのが一転しリノベになった理由とは? 気になっていた暑さ寒さはどうなったのでしょうか。さっそく拝見していきましょう。
新築で独立計画から、一転。実家リノベを選んだ理由は家族への思い
今回のリノベの舞台は、岐阜県各務原市にあるお住まい。実家だった築38年の日本家屋をリノベし、両親と娘さん夫妻、お孫さんの3世代で暮らしていらっしゃるご家族です。
そもそものはじまりは、娘世帯が家を出て独立し、家を新築するという話からでした。ただ、両親を古くて大きな家に残し、自分たちだけ新しく快適な暮らしをすることに、娘さん夫妻にはどうにも違和感があったといいます。
『両親はこれから年齢を重ねるのに、この寒い家で暮らすのが本当にいいのか……。建物は築38年で、まだ住めるし広さも十分ある。断熱や耐震などきちんと調べてリノベーションすれば、快適でみんなで一緒に住めるのではないか』
と方向転換。新しく建てるのではなく、ご実家の「性能向上リノベ」に踏み切ったそう。
建物は1984年に完成したもので、230㎡の木造二階建てです。ぱっと見るとまだまだ住めるというのは納得です。また、田の字形で広く開放的な間取りであったため、大人4人に子ども2人という3世帯が暮らすための広さも十分に確保できると判断したようです。
ただ、1つ大きな問題がありました。それは夏の暑さ、冬の寒さです。
冬は家族がしもやけになるほどの寒い実家。どうやって日本家屋の良さ、現代の快適な暮らしを両立させたのか。
岐阜県各務原市は、省エネルギー区分でいうと6地域で、東京などと変わりませんが、真冬は氷点下になることもあり、改修前の家はとにかく寒かったそう。ご家族は次のように振り返っていました。
『伝統的な土壁だったので、本当に冬は寒くて。家のなかでも室温が1〜2度になるので、布団から体を出すなんてまずムリです。子どもたちは手足や耳までしもやけになるほどでした』
ほぼ断熱されていない、いわゆる「無断熱」の住まいだったのでしょう。築年数を考えれば、日本では一般的といえるかもしれません。これでは、冬も夏も過ごしにくそうですし、年齢を重ねるご両親の体へも大きな負担となっていたはずです。
そこで、リノベの方向性として、(1)歴史ある屋根瓦や柱、梁、欄間などはできるだけ残す、(2)暑さ寒さの解消、(3)孫や子どもたちと程よい距離感を保つ、(4)娘夫妻と子どもたちはワクワク感のある住まいにしたい、と整理していったそう。
リノベをするうえでもっとも役だったのが、LIXILの「まるごと断熱リフォーム(SW工法リフォーム)」です。サーモカメラ等を用いた断熱診断システムにより、リノベ前に建物を壊すことなくおおよその現状の断熱性能や仕様がわかるため、建物の「現状把握」ができます。そのうえで、必要な断熱改修プランを立案・提案し、リノベ後の断熱の「目標数値」を立てることができるのです。
現在でも家電などは「省エネルギー性能」のラベルがついていますが、これからは家をリノベするときも「省エネルギー性能」を把握し、判断するのが「当たり前」になっていくといいなと思います。
リノベーションで断熱性能を新築並みにしながら、程よい距離感の2世帯住宅に。
リノベーションに向けて現地調査をすると、構造部に大きな損傷や腐食はなく、既存の躯体をいかせることが判明。見た目も立派な日本家屋でしたが、建物内部も立派で、まだまだ使える状態だったようです。
適切な診断とリノベ計画により、寒いと思っていた家が、「まだまだ活かせる資産」になるのって本当に素敵ですよね。
改修工事では、断熱材に「スーパーウォールパネル」を使うとともに、サッシにはアルミと樹脂のハイブリッド窓「TW」を採用。結果として改修後の住まいは、UA値で0.46W/㎡Kにまで改善しました。
これは新築住宅でいうと、HEAT2.0のG2グレード、断熱等級6に相当します。つまり新築の高性能住宅並みの性能を実現できているんです!
一方で見た目は、風格あふれる日本家屋の佇まいを活かしています。パッとみた印象で最新の建材を使っているのはわからないほど。今の住まいにはない味わいを醸し出しています。
建物の間取りはというと、子ども世帯と親世帯で共有しているのは、玄関のみ。キッチンもお風呂・洗面も分けているため、「気配は感じられるけれども、暮らしは別」な当初の方向性として挙げていた孫や子どもたちと程よい距離感を保つことも叶えています。
【断熱先生の編集後記】今あるものを大切に使い続ける。そのために「性能向上リノベ」が果たせる役割はとても大きい!
今回紹介した事例では、「新築で自分たちだけが最新の住まいに住む」のではなく、実家を「性能向上リノベ」することで、両親も自分たちも快適に楽しく暮らすという選択肢を選ばれていらっしゃいました。
建物を短い期間で壊して作る、「スクラップ・アンド・ビルド」の時代は、終わりました。これからは、今あるものを大切に使う。最新技術により安全や快適さ、そして省エネも譲らない。そんな選択ができる時代になってきたな、と思います。
みなさんもぜひ、「性能向上リノベ」を覚えておいてください。
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