ぼっち・ざ・ろっく!が非常に良かった

久々に良いアニメを観たなぁという気分にさせられたので感想を書くぞ!!!若干ネタバレ要素はあるかもしれないので注意。

前提

“ぼっちちゃん”こと後藤ひとりは
会話の頭に必ず「あっ」って付けてしまう極度の人見知りで陰キャな少女。

そんな自分でも輝けそうなバンド活動に憧れギターを始めるも
友達がいないため、一人で毎日6時間ギターを弾く中学生時代を過ごすことに。

上手くなったギターの演奏動画を“ギターヒーロー”としてネットに投稿したり文化祭ライブで活躍したりする妄想なんかをしていると、
気づいたときにはバンドメンバーを見つけるどころか友達が一人も出来ないまま高校生になっていた……!

ひきこもり一歩手前の彼女だったが
ある日“結束バンド”でドラムをやっている伊地知虹夏に声をかけられたことで、
そんな日常がほんの少しずつ変わっていく――

ぼっち・ざ・ろっく! | Aniplex | アニプレックス オフィシャルサイト

感想

色々あるが、論点を絞ってライブシーンの作り込みについて。ライブシーンがとにかくアツいんすよという話を中心に書いていきたい。

(前提) 随所から音楽への徹底的なリスペクトを感じる

自分も一瞬だけバンドをやっていた経験があるが、まず作品から音楽への徹底的なリスペクトが伺える。ライブ中の各キャラの動きも実際にその曲を演奏した時の動きを忠実に再現しようとしているし、ぼっちちゃんがギターヒーローモードにシフトした時の変化を音の力強さで表現しようとしているのがよくわかる。

オーディションで曲を初披露するシーン

まずオーディンションで曲を初披露するシーン。

もともと「人気になって自分がチヤホヤされたい」みたいな自分にベクトルが向いたモチベーションでギターを始めたぼっちちゃんが、「この4人でもっとバンドを続けたい、この4人で人気になりたい」とチームにベクトルを向けた分岐点とも言えるシーンだったと思う。

ぼっちちゃんは中学で引きこもってギターを練習しまくっていたはずなので、個人としての腕前という意味ではギターはかなり上手かったはずである。しかしバンドとなると、チームプレイ・チームワークが求められ、皆で良い音楽を作ることが求められる。ひたすら個人と向き合い続けてきたぼっちちゃんは、バンド結成当初は思ったような実力がなかなか出せなかった。

その葛藤の末、ギターヒーローとしての本来の実力がバンドのイチメンバーとしてはじめてアウトプットされたシーンがおそらくこのオーディションでのライブシーンであり、それを感じさせるようなシーンが繊細に描かれていたのがとても良かった。

初ライブシーン

そこから台風トラブルの中、なんとか開催された初ライブのシーン。まず1曲目は音が絶妙にちぐはぐな感じ、リズムがもたついていたり走っている感じ、ボーカルが本調子じゃない感じなど、メンバーの緊張感をよくここまで表現しているなと感動した。漫画だとここまでの緊張感は伝わってこないだろうなと。自分がこのライブの観客だったら帰りたくなるような、そんな気持ちにさせられた。

そこから2曲目でのぼっちちゃんの覚醒。これまで磨いてきたギターヒーローとしての個の力も相まって、観客だけでなくメンバーも圧倒しリードするギター。それを表現するぼっちちゃんのギターの音の力強さ、喜多ちゃんの、終始余裕のない表情や棒立ちでぎこちない動き。そしてぼっちちゃん視点で右手のピックの動きを描写していたシーンがあったが、あれには制作陣の本気を感じた。


文化祭ライブシーン

そして文化祭のシーン。ぼっちちゃんの「4人で人気になりたい」という夢が叶う第一歩とも言えるかもしれないシーンである。

まず1曲目。アツいのが、初ライブでは終始ぎこちなく、余裕が全くなかった喜多ちゃんである。動きも軽快で、終始笑顔で観客を盛り上げるようなパフォーマンスを見せており、「めっちゃ練習したんやろうなぁ...」とオッサン心をくすぐられる。オーディションや初ライブのシーンでは右腕のピックを扱う動きが若干固い印象を受けていたが、その固さがなくなっているようにも感じた。

また描写として、屋上や誰もいない教室、ぼっちちゃんのアジトが映るシーンがあるのだが、これも「もうぼっちちゃんはボッチじゃない、ちゃんと他に居場所がある」という意味が込められているのかと思うと、胸がアツくなった。

そして最高にアツい2曲目。ぼっちちゃんが機材トラブルで窮地に立たされ、「自分のせいでせっかくの文化祭ライブを台無しにしてしまう」と追い詰められるシーン。余談だが、1弦の切れ方までかなりリアルなんすよね...

ここで特にアツいポイントが2つある。

まず

  • ぼっちちゃんやきくりは「やばい」という表情が露骨に出ているのに対して、バンドメンバーは「ぼっちちゃんなら必ずやってくれる」と信じ切った表情をしている

という点である。

ぼっちちゃんは露骨にヤバいとなっているし、客席で応援しているきくりも「あれじゃソロは無理だぞ...」となっているのに対し、バンドメンバーは喜多ちゃんが一瞬、ぼっちちゃんをチラ見した程度でほぼ気にしていない。実際にはギター音が入ってこないぞ的なプレッシャーや焦りはめちゃめちゃあったと思うが。

このシーンを初ライブシーンと対比しなが観るとマジで最高で、初ライブでみんながバラバラになりそうなのを全力のギタープレイでリードしたぼっちちゃんを「きっと今回もやってくれる」と信じ切っているように感じたんすよね。これはアツい。

そして

  • ぼっちちゃんのピンチを今度は皆が全力でカバーしている

という点。これは泣ける。

まず今回のライブでは終始余裕もあり、笑顔で演奏していた喜多ちゃんと虹夏がぼっちちゃんのソロまでの時間をつなぐアドリブに入る瞬間、急に真剣な表情に変わるのである。リョウは表情に出ないので心境があまりわからないが。

そして初ライブでは師匠でもあるぼっちちゃんに付いていくのに必死だった喜多ちゃんのアドリブギターが炸裂する。表情もよく見ると、ここだけ汗が少し流れている。これは泣く以外に選択肢がない。
もともとギターが弾けなくてバンドから逃げ出したという喜多ちゃんの過去も踏まえると、尚更である。

さらに「ぼっちちゃんなら当然いけるでしょ」と言わんばかりに、リョウと虹夏が一瞬目線をあわせてぼっちちゃんのギターソロにつなぐシーン。これは泣く以外に選択肢がない。

そしてボトルネック奏法で窮地を脱するぼっちちゃん。これは泣く以外に選択肢がない。

このライブシーン、正直初めて観た時はそこまでの感動はなかったのだが、この原曲を聴いて、喜多ちゃんがいかにアドリブを頑張ったか、メンバーがいかにぼっちちゃんを信じて大きな意思決定をしたか、そんな想いが流れこんできた。ぜひ聴き比べてみることを推奨する。

また、文化祭ライブシーンについてさらに詳しく解説されている方もいたので、こちらも合わせて読むと味わい深かった。

まとめ

音楽へのリスペクトが随所に伺える演出、メンバーの細かな表情など細部まで徹底した映像の作り込み、とにかく制作陣の本気を感じさせられる名作でした。

余談ですが、後藤、喜多、山田、伊地知のようなネーミングがアジカン由来なの、終盤まで気づかなかったです。エンディング曲でやっと気づきました。

まだ観ていない方はぜひ!続編待っています。

この記事が参加している募集

アニメ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?