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ゴリラの惑星とゴリラピクニック/私小説⑥-3差別/ストレスジャンププール

不穏を感じながらも、バナナ食堂に、おれとゴリラは着いた

入店すると、罵声が飛んできた!

「オイ! ゴリラが、魔酢苦もしないで、入ってくんじゃねーよ!」

彼女と同じで、魔酢苦をしていない、ゴリラは異質だとは、思っていたが、、、

バナナ食堂と書かれたエプロンをした店員から、怒鳴られている光景に、衝撃を受けた…

「ちょっと、いきなり怒鳴るなんて…」

黙っているゴリラを庇う様に、口を挟んだ…

店員がおれを視認すると、急に口を閉ざし、席へ案内された…

謝罪もなしかよ?

「昔みたいに、魔酢苦をしないで、入ってみたかったんだ。

庇ってくれて、ありがとうな。」

とゴリラに言われ、少し状況が呑み込めてきた

メニューが運ばれてくると、おれとゴリラでは、違うものだった

どういうことだ…

「人間に同伴して貰っても、ゴリラはバナナを頼めないのさ。

法令で、決定されたからな。

オレの口から注文すると、また揉める…

悪いが、お前さんに代わりにバナナを、注文して貰ってもいいか?」

「ああ、それは、構わないが、、、

これって…」

その先は、口に出来なかった

差別があることを承知で、ここを選んでいるからだ

人間という、おれがいることで、抑止力が働いている様だし…

店内を見回すと、人間とゴリラで、空間が分けられていた

ゴリラがいる席は、異様な光景だった

刑務所の面会室の様になっていて、透明な板で声が反射してしまい、大きな声で話さくてはいけなくて、すかさず店員が飛んできて、注意をしている…

「あれは、鳥カゴ板と呼ばれ、ゴリラは狭い圧迫された空間で食事をしないと、いけないんだ…

あとゴリラは、モグラ食が義務化され、食事中は静かに、小声で話さないといけない…

見ての通り、透明な板のせいで、声が反射するから、自然と声が大きくなってしまい…」

何なんだ、この理不尽や不条理は…

「なら、人間のおれが言えば…」

「やめてくれ。

客のゴリラの中に、法令を守っているか、見張っているゴリラがいる。

役所から雇われた奴か、役所に密告する奴がいるんだ…

だから…」

「密告されると、どうなる?」

「まあ、人間御用達の店か否か、役所に従順か批判的かで、裁きが変わるのよ。

お咎めや罰則なしの店がある一方でな、、、

強制命令が発令されると、営業停止になり、従わないと罰金命令が下る…」

「ちょ、ちょっと、待ってよ。

この惑星は、法治国家だろう?

法令の運用や適用は、明確な基準に基づいて、行なわれないのか?

まるで、都合のいい法律を作り、法令を恣意的に運用する、、、

" 独 裁 国 家 "

じゃないか…」

ゴリラが、苦々しげに頷く

「店員達も、無礼や不愉快なことをしている様に、おまえさんの目に、映っただろう?

法令を、とても怖れている…

だから、責めきれんし、憎みきれんのさ…

昔は、笑顔を見せて貰い、気持ちのいい、接客をして貰えたんだがな…」

遠い記憶を、思い出す様に言う…

「それで、オレに聞きたいことってのは?」

「ああ…予防薬のことを調べていたが、ネットに書いてある、様々な情報や意見を見ても、一体何を信じたり、正しいのかが、分からない…

あんたは、政治や社会に詳しいから、何か答えを持っているんじゃないかと思って…」

「う~む…

分からんことが、多いのよ…

仕組みやカラクリが、内部や内情を知る人間でない限り、企業秘密で伏せられてしまうからな…

ただ、事象や起きている事実から、考えることはできる。

先入観も、自分が望む結論も捨て、ただ冷静に客観的に、事実を見て考えるのさ。

だが、いいのか?

ここから先の話しは、今までのお前さんでは、いられなくなるかも、しれないぞ?」

「…どういう、ことだ?…」

「これからの人生が、生きづらくなったり、苦難が伴うことになるかもしれん…

花のツボミや、虫のサナギの状態の様に、見たくない世界や、知りたくない世界を見ずに済む。

閉じたままの方が、心が守られ、生きやすいからな…

"知らぬが仏"

という言葉も、あるじゃろう?

薄々、疑問や違和感を感じても、この人は、わるい人やヒドイ人じゃないと思い、信じることで、人は心を守るからな。

毎日たくさんの、人間社会の問題を知ることと、それを受け取り、自分の無力さや限界と、折り合いが付けらているかい?

たくさんの苦しんでいる人や、大変な状況の人を助けることはできないし、皆、自分の生活や仕事で、手一杯だろう?

他人に手を貸せるのは、心の中で祈ることか、身近な大切な人達に、少しだけ何か、できること位だろう?

誰しも、大小の問題や悩みを抱えて生きている中で、、、

"知る"

ことは、人間がよりよく生きる上での糧になるが、伝え手が、必ずしも正確な事実や心情を言うとは限らんじゃろう?

お前さん自身や、身近な人との関係を省みても、そうじゃろう?」

確かに、そうだ

正直に、率直に言う時もあば、、、

黙っていたり、隠している時もある、、、

おれと彼女の関係も、本当は以前のおれだったから、お互いに付き合うことが、できていた

悪政が蔓延せず、統治者も名君であれば、記憶を失ったままでも、関係を築け直せたかもしれない…

だが、多くの人とは違う生き方を選んだ、かつてのおれや彼女とは、正直に言うと、、、

合わないと感じていたし、無理だと思った…

そんな、大変な生き方をしたくないし、選びたくないと…

「わかっているつもり、知っているつもりのことが、実は違っていたら、心に強い衝撃を受けるじゃろう?

"そんなはずはない…"

"まさか…"

"そんなことが…"

と、、、

聞きかじりを信じ、知ったかぶりをしている方が、本当の事実や想いを、知らずに済むからな。

どちらを選ぶかは、本人が選択して決めることじゃ。

いいもわるいもないし、だれにも責められないさ…

それほどに、生きるのが苦しくて、困難な状況に皆、立たされている…」

選択を、迫られているのか?

かつての自分のように生きるか…

かつての自分は忘れて、多くの人と同じ様に生きるのか…

ゴリラが、バナナを差し出してくる…

「今までの話しも、オレと会ったことも忘れて、生きたい様に生きても、いいんじゃないのか?

今のお前さんと、気が合う女性も、いるだろう?

過去のお前さんを無理に取り戻そうとしたり、執着しなくても、いいんじゃないか?

幸せや生き方は、1つじゃないしな…」

結局、おれ次第なのか…

おれが、どうしたいのか…

記憶が戻らないのか、記憶を取り戻しくたくないのか、分からなくなってきた…

つづく
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お読み頂いて、ありがとうございます。

今回でも、話が終わらず、続きます💦

昨年から、生き難さや、生き苦しさを抱えているのは、誰もが同じかと思います。

法令の問題点を感じ、見直しを求めてきた私から見る世の中は、自分が異質な存在の様に浮いていると、感じます。

自由がない、行きたくない場所には行かなくなり、行動範囲や自由が、大きく狭められました。

最近、感じるのは予防薬さえ服用すれば、以前の生活や自由が戻ると、思わされている人が多いことです。

毎日発表される数字でなく、法令によって、自由や人権が制限されている問題点を、共有している人は、どれ位いるでしょうか?

長く書くつもりは、なかったのですが、主人公の行く末も、私自身も混迷しているのでしょうか?

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