見出し画像

川越ネットカフェ立てこもり事件公判傍聴記・2023年12月4日(被告人:長久保浩二)

2023年12月4日

さいたま地裁1刑事合議係

403号法廷

事件番号:令和4年(わ)第663号

罪名:逮捕監禁致傷等

被告人:長久保浩二

裁判長:北村和

書記官:時野谷亮太



<法廷の風景>


9時30分の傍聴券の締め切りまでに、37枚の傍聴券に対し、それ以下の人しか来ない。傍聴人は15名だった。物々しい法廷と対照的に、空席が多く見られた。

入廷前、荷物預かりと、金属単時によるボディチェックが行われた。

弁護人は、白髪の短髪に、頭頂部が禿げ上がった初老の男性。もう一人は、黒髪の長髪の若い女性。

記者席は11席指定、7人が座る。

検察官は、4名であった。角刈り風オールバックの中年男性、眼鏡をかけた青年、セミロングの髪の中年女性、青年、という顔ぶれである。記録を机上に広げている。

被告人は、頭を丸坊主にした、引き締まった体格の中年男性である。眼鏡をかけ、白いマスクが顔を覆っている。迷彩柄の長袖の服、ジーンズ、紺の靴下、茶色いサンダル、という恰好である。傍聴席の方をちらっと見て入廷し、弁護人の隣に座る。

裁判長は、黒髪をオールバック風にした初老の男性。裁判官は、髪を束ねた中年女性と、髪をセミロングにした若い女性。

裁判員は、眼鏡をかけた禿げ上がった中年男性、中年女性、眼鏡をかけたもさもさした髪の中年男性、がっしりした30代の男性、眼鏡をかけた30代ぐらいの男性、眼鏡をかけたスーツ姿の男性。

長久保浩二被告人の第二回公判は、10時より開廷した。


裁判長『開廷します。被告人質問を行います。被告人、前へ出てきてもらえますか』

被告人は、傍聴席の方を見て、証言台の椅子に座る。

裁判長『腰を掛けてください、どうぞ』


<老弁護士の被告人質問>

弁護人『貴方は』

被告人『はい』

弁護人『令和4年7月2日、名古屋刑務所を出所』

被告人『はい』

弁護人『所持金はいくら』

被告人『50万弱だと思います』

弁護人『名古屋からどこへ行く』

被告人『東京駅です』

弁護人『何のため』

被告人『は、えーと、刑務所の中で決まった仕事の、えーと、所長に会うためです』

弁護人『仕事先はどこですか』

被告人『株式会社Kです』

弁護人『どこにありますか』

被告人『えー、埼玉県土呂町にあります』

弁護人『東京駅でKの人と待ち合わせをした』

被告人『はい』

弁護人『東京駅からどこへ行った』

被告人『は、えーと、土呂駅へ行きました』

弁護人『それで』

被告人『は、えーと、Kの、えーと、会社に行きました』

弁護人『Kの会社で手続きは』

被告人『えーと、一通り説明を受けて、書類を記載しました』

弁護人『何』

被告人『えー、雇用契約書とか』

弁護人『それ以降、Kで働くことになる』

被告人『はい』

弁護人『住む場所は』

被告人『は、あの、同じ場所にある会社の寮です』

弁護人『4月2日に刑務所でて、いつから仕事始まる』

被告人『えー、4月5日の記憶です』

弁護人『貴方の仕事の内容は』

被告人『えー、建設現場に出入りする車両のタイヤを洗う仕事です』

弁護人『現場はどこ』

被告人『は、東京駅八重洲口の近くの建設現場です』

弁護人『労働の時間は何時から何時まで』

被告人『8時5時だと思います』

弁護人『朝はいつごろ寮を出る』

被告人『は、5時15分ぐらいです』

弁護人『現場まで』

被告人『えー、車か電車です』

弁護人『5時に仕事を終えて、寮への帰りは』

被告人『大体6時過ぎぐらいです』

弁護人『帰りも車か電車ですか』

被告人『はい』

弁護人『休みの日はありましたか』

被告人『はい』

弁護人『毎週休みがありましたか』

被告人『はい』

弁護人『決まった休みの日はありましたか』

被告人『えー、日曜日だけです』

弁護人『給料はどのくらいだったか覚えていますか』

被告人『は、一日一万円だけです』

弁護人『寮費、引かれる』

被告人『はい』

弁護人『食事は』

被告人『も、えーと、それに含まれています』

弁護人『どれに』

被告人『えーと、寮費と』

弁護人『給料から寮費は差し引かれる』

被告人『はい』

弁護人『寮費はいくら』

被告人『えっと、一日3000円だったと思います』

弁護人『サイクルは』

被告人『えーと、朝4時半ぐらいに起きて、えー、仕事に行って、6時過ぎに帰ってきて、まあ、お風呂、食事を済ませて、ちょっとこうTVを見たりしながら、1,2時間して寝る感じです』

弁護人『4月2日に、名古屋からKに来たんですね』

被告人『はい』

弁護人『Kの会社に到着した時刻は』

被告人『昼前だった』

弁護人『書類書いたり手続きした』

被告人『はい』

弁護人『いつ終わる』

被告人『は、昼頃だったと思います』

弁護人『休みは』

被告人『はー、まあ、パチンコしたりしてました』

弁護人『パチンコ』

被告人『はい』

弁護人『パチンコは、名古屋で服役前からやる』

被告人『はい』

弁護人『好きですか』

被告人『はい』

弁護人『いつからやる』

被告人『はー、19歳ぐらいからです』

弁護人『好きな程度は』

被告人『はー、病的なぐらいです』

弁護人『病的と自覚ある』

被告人『はい』

弁護人『名古屋刑務所出たらやめようとは』

被告人『は、思いました』

弁護人『なぜやる』

被告人『はー、コントロールできると思ってました』

弁護人『コントロールできる範囲でやると』

被告人『はい』

弁護人『4月2日にやり、次やったのは』

被告人『そうですね、大体3週間後くらいです』

弁護人『三週間』

被告人『はい』

弁護人『三週間はやらない』

被告人『はい』

弁護人『やらないのは』

被告人『えーと、身の回りの物を揃えたりするのが楽しかったですけど、はい』

弁護人『平日は仕事がある』

被告人『はい』

弁護人『日曜休み』

被告人『はい』

弁護人『日曜日、パチンコせずに他のことやる』

被告人『はい』

弁護人『パチンコの頻度は』

被告人『は、暫くは日曜日だけです』

弁護人『毎週日曜日、週一日やる』

被告人『はい』

弁護人『平日はしないんですね』

被告人『はい』

弁護人『パチンコの頻度変化は』

被告人『えーと、会社を飛び出す二週間ぐらい前から、仕事終わりに行くようになりました』

弁護人『会社飛び出したのは6月2日の夜だから、その前2週間』

被告人『はい』

弁護人『そういうペースになった』

被告人『はい』

弁護人『毎日』

被告人『ほぼ毎日』

弁護人『ほぼ毎日』

被告人『はい』

弁護人『仕事きちんとやってた』

被告人『はい』

弁護人『しかし、やる』

被告人『はい』

弁護人『仕事の内容は、現場のタイヤを洗う仕事』

被告人『はい』

弁護人『Kでずっと担当』

被告人『はい』

弁護人『現場も同じですか』

被告人『はい』

弁護人『一緒に働く人』

被告人『はい』

弁護人『一緒に働く人とは』

被告人『まあ、それほど仲良くはなかったと思います』

弁護人『プライベート付き合いない』

被告人『はい』

弁護人『現場で話』

被告人『はい、します』

弁護人『休み時間、喋る』

被告人『はい』

弁護人『寮で暮らしていた』

被告人『はい』

弁護人『何人』

被告人『えー、20人以上30人未満ぐらいですか』

弁護人『寮の中で親しくは』

被告人『はー、いなかったです』

弁護人『誰もいない』

被告人『はい』

弁護人『寮で話さない』

被告人『そうですね、はい』

弁護人『Kで働いていて、さぼりは』

被告人『は、ないですね』

弁護人『仕事で何かミス、失敗は』

被告人『ないです』

弁護人『上司に怒られたりは』

被告人『は、記憶にないです』

弁護人『仕事についてどう考えていた』

被告人『はー、ずっと続ける仕事ではないと思っていました』

弁護人『どうしようと』

被告人『はー、いずれはお金をためて、自分で独立したいなとは思っていました』

弁護人『Kの仕事、貴方にとって、独立のためにやっていた仕事』

被告人『はい』

弁護人『お金はためられた』

被告人『いいえ』

弁護人『なぜですか』

被告人『パチンコしてた』

弁護人『6月8日夜に、会社の寮を飛び出す』

被告人『はい』

弁護人『きっかけはなぜですか』

被告人『は、作業着の洗濯ができなかった』

弁護人『なぜ飛び出す』

被告人『はー、次の日に、その、汚れた作業着を着ていくのが嫌でした(笑)』

弁護人『汚れた作業着を着ていくのが嫌で、寮を飛び出した』

被告人『はい』

弁護人『この日以前飛び出そうとは』

被告人『は、なかったです』

弁護人『この日初めて』

被告人『はい』

弁護人『根本的な理由は何ですか』

被告人『根本的な理由、まあ、そうですね、その、人間関係ですかね』

弁護人『何』

被告人『は、えーと、仕事場で、、話をするときに、こう、自分を紹介する前提が、えーと、刑務所を出てきた人だよ、見たいな。どこの刑務所で何年勤めてきたと具体的にこう、話されるのが嫌でした』

弁護人『他には』

被告人『他に・・・他には、馬鹿にされてるような風に、こう、話されてるんじゃないかという風に、思ったりはしたので』

弁護人『6月8日の夜、寮出た』

被告人『はい』

弁護人『住むとこある』

被告人『はい』

弁護人『仕事ある』

被告人『はい』

弁護人『次のステップ行きたい』

被告人『はい』

弁護人『ためらいは』

被告人『そうですね、なかったです』

弁護人『なかった。次どうしようと』

被告人『とりあえず、もうパチンコしたい、はい』

弁護人『寮を飛び出し、所持金はいくら』

被告人『6万5000円くらいだったと思います』

弁護人『持って出たのは』

被告人『はい、えーと、パソコンのプリンターとか、あと、フィギュアとか、あと衣類』

弁護人『そういったものは、何に入れた』

被告人『はい、大きなバックパックに入れて』

弁護人『寮飛び出して、行ったのは』

被告人『えっと、大宮駅前の、漫画喫茶』

ここから先は

25,774字

¥ 900

よろしければ、サポートお願いします! サポートは、交通費などの、活動費として使わせていただきます!