足立区夫殺害未遂事件公判傍聴記・2023年10月10日(被告人:X)

2023年10月10日
東京高裁第12刑事部
622号法廷
事件番号:令和5年(う)第240号
罪名:殺人未遂
被告人:X
裁判長:田村政喜
右陪席裁判官:室橋雅仁
左陪席裁判官:白石篤史
書記官:麻島怜子

この事件は、主犯格である瀧田深雪被告人が、夫殺害を「恨み晴らし代行」に依頼。「恨み晴らし代行」である小西被告人とX被告人が殺人を実行したものの未遂に終わったとして、三人が起訴された。瀧田被告人は一審懲役10年、小西被告人は一審懲役8年となった。しかし、X被告人に対しては無罪が言い渡された。検察はX被告人について控訴し、この日、控訴審初公判が行われた。
弁護人は、髪をセンター分けオールバックにし、口ひげを生やした、浅黒い3~40代の男性だった。
被告人は、一審で無罪判決を受けているため、身体の拘束や刑務官の付き添いを受けず、傍聴人用出入り口から入廷した。髪を短く刈り、短い口髭と顎髭を生やした、引き締まった体格の青年だった。色は白い。ノーネクタイの白いワイシャツという恰好だった。開廷前、弁護人から物を渡してもらい、礼を言っていた。体を左右にひねってもいた。その後は、目を閉じ背筋を伸ばして、前を向いていた。
検察官は、白髪交じりの初老の男性であり、記録に目を通していた。
書記官は、髪を七三わけのショートカットにした、痩せた中年女性だった。
傍聴人は10人ほどだったが、途中から増えた。
裁判長は、白髪交じりの髪を七三わけにした初老の男性。右陪席裁判官は、初老の男性。左陪席裁判官は、やや茶髪がかった髪の、眼鏡をかけた中年男性だった。
15時より、X被告人の控訴審初公判は、開廷した。

裁判長『開廷します、Xさん』
被告人『はい!』
裁判長『名前を確認します』
被告人『Xです』
裁判長『座っていて。生年月日は』
被告人『1999年9月18日です』
裁判長『住所は』
被告人『愛知県(略)までしか覚えてないです』
裁判長『(略)』
被告人『はい』
裁判長『今は』
被告人『愛知県になります』
裁判長『判決後、三重。今は愛知』
被告人『今は愛知県です』
裁判長『言ってください』
被告人『愛知県(略)』
裁判長『(略)』
被告人『はい』
裁判長『昔住んでた』
被告人『仕事の関係ですんでいました』
裁判長『間違っているわけじゃないが、確認の書類は』
被告人『実家で提出してます』
住所の書き方について、さらに確認する。書記官が文字を書き、それを被告人に確認してもらう。被告人は、「そうです」と答える。
被告人は、弁護人に話しかけてもいた。
裁判長『無罪で釈放され、速達、三重で受け取る』
被告人『おばあちゃんの実家です』
裁判長『今は、仕事で(略)に』
被告人『そうです』
裁判長『職業は』
被告人『製造業です』
裁判長『製造業』
被告人『製造業です』
裁判長『社員』
被告人『元々派遣です。派遣しかとってもらえなくて』
裁判長『派遣社員。審理します。座っていてください』
被告人『はい』
人定質問が終わり、いよいよ審理が行われる。
裁判長『検察官作成の趣意書、陳述する』
検察官『はい』
裁判長『答弁、弁護人、控訴答弁書』
弁護人『陳述します』
裁判長『控訴答弁書の通り、公訴棄却を、と』
弁護人『はい』
裁判長『検察官、事実取り調べ請求書、4回・・・5枚だ。検8まで、書証。9、被告人質問』
検察官『はい』
裁判長『意見は』
弁護人『すべて不同意、被告人質問、必要性なし』
裁判長『検1~5、証人は6、7,8不同意』
弁護人『はい』
裁判長『いずれも却下します』
検察官『異議、刑訴法379条1項、異議』
裁判長『7,8,9ですか』
検察官『はい、7,8,9』
裁判長『理由は』
検察官『382条の2のやむを得ない事由の判断、誤っています』
裁判長、裁判官と話をする。
裁判長『異議ならそれで。7,8、書証だが』
検察官『関連性、やむを得ない事由ないと、却下されたと』
裁判長『不同意と』
検察官『382条について、異議です』
裁判長『検7,8,9、被告人質問、理由は変わる。不同意は』
検察官『不同意、328条1項で取り調べ請求する』
裁判長『するんですね。却下したことについて、検7,8について、請求と(苦笑)』
弁護人『やむを得ない事由、必要性ない』
裁判長は、裁判官と話す。
裁判長『取り調べに異議』
検察官『はい』
裁判長『323条の請求、却下。検7,8,9、被告人質問、異議と』
検察官『やむを得ない事由ないと、判断を誤った』
弁護人『異議に理由はない』
裁判長『異議を棄却します。控訴審、終わる。判決宣告。10月31日、午前、午後でも。無理ならば、立ち合い検察官変わるなどしてください』
検察官『15時以降なら、かわれる』
裁判長は、裁判官と話す。被告人は、宙を仰ぎ、体をひねっている。
裁判長『31日火曜、15時。30分予定しておいてください。もう一度。次回10月31日火曜日15時(被告人はうなづく)。判決、これで』
15時10分に、閉廷となった。
証拠調べを全く行わなかったこと、早く判決を下そうとしていることから、原審が維持され、無罪となるのではないかと思われた。
検察官は、自らが負け、あがく立場に慣れていないようである。裁判長から、何度か不備を指摘されていた。裁判長は、検察官の不手際に、苦笑を浮かべていた。
被告人は、裁判長たちが退廷するのを、見送っていた。そして、弁護人と話し合っていた。弁護人は笑顔を浮かべていた。


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