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川口市男性バラバラ殺人事件公判傍聴記・2023年6月22日(被告人:島田一治)

2023年6月22日
東京高裁第四刑事部
506号法廷
事件番号:令和5年(う)第156号
罪名:殺人
被告人:島田一治
裁判長:大野勝則
右陪席裁判官:任介辰哉
左陪席裁判官:佐脇有紀
書記官:楠井千秋

13時30分には、16人が法廷の前に並んでいた。その後、被告人の関係者らしき男女が10名ほど並んでいた。空席はまばらだった。関係者らしき人々は「控訴棄却だよ」「20年だからしょうがねえんじゃねえか」等と話し合っていた。
書記官は、眼鏡をかけた髪の短い、痩せた色白の中年男性だった。
検察官は、ショートカットの中年女性。被害者参加代理人の弁護士は、眼鏡をかけたショートカットの中年女性であった。検察官は、傍聴席の方をちらちらと見ていた。
被告人は、太り気味の、がっしりした体格の中年男性。頭は丸坊主にしており、浅黒い肌である。顔の殆どは白いマスクが覆っている。英語のロゴのある黒い長袖の服に、迷彩柄の半ズボン。青いサンダルを履いている。傍聴席の方に目をやり、入廷する。足を開き、椅子にもたれかかって、被告席に座る。被告席に座ってからは、刑務官に何か話しかけていた。
弁護人は、一審と同じ、北弁護人。被告人に会釈をし、被告人も会釈を返す。
最期に、裁判長たちが入廷する。裁判長は、白髪交じりの丸坊主の初老の男性。左陪席裁判官は、眼鏡をかけた初老の女性。右陪席裁判官は、オールバックの初老の男性。
14時より、島田一治被告人の控訴審判決公判は、開廷した。

裁判長『よろしい。開廷します。被告人は証言台の前に立ってください』
被告人は、証言台の前に立つ。
裁判長『島田一治被告人ですね』
被告人『はい』
裁判長『判決を言い渡す』

主文:本件控訴を棄却する。未決拘留日数中110日をその刑に参入する。

裁判長は、主文を繰り返す。被告人は、少しうなだれる。
裁判長『座って聞いていて』
被告人は、証言台の椅子に座る。

理由
事実の概要、M・Jと共謀し、平成28年3月28日に、被害者の身体を蹴ったりするなどの暴行を加え、殺意を持って頸部を踏みつけるなどし、被害者を死因不詳により殺害した。
第二:事実誤認の主張
I1ら、殺害を実行する可能性があるのに、実行が被告人という認定には、事実誤認がある、というもの。
同店内での殺害について、争いはない。被告人が実行したか。被害者は、携帯電話を被告人の娘に返却せず、客の金を取った疑惑があった。被告人は、娘とのトラブルを問い質し、顔面を殴った。被害者は、陰茎をライターであぶる、頭部にアルコールをかけ着火される、陰茎に炎を勢いよく当てられる、という暴行を加えられた。被害者は、目や口にガムテープを巻かれ、ホールに移動させられ、同所で殺された。M・Jと合流し、被告人の経営する会社の超低温冷凍庫に、遺体は搬入され、死体は解体された。その後、被告人の義弟の経営する、水産加工会社に搬入された。そして、死体は焼却された。
K1は、被告人は途中で、被害者の喉を踏みにじるように踏みつけた。M・Jは体を押さえて念仏を唱えていた、と供述する。
I1は、被告人は被害者の首を絞めつけた。足を踏みにじるようにして首を踏みつけた。被害者の首に巻き付けたロープは、顔を真っ赤にして絞めていた、と供述する。
一連の事実経過、手とロープで首を絞め、殺すと決めた経緯は、大筋で一致している。年月の経過を考慮すると、記憶の濃淡の違いは自然である。
死体損壊に、被告人自身や義弟の会社の設備、使用している。関係ない被告人が、遺体を保管、解体する理由はなく、K1、I1が供述するように、犯人だから使用したと言える。
苛烈な暴行を長時間加えている。殺害を決意した点の供述は自然である。店内の暴行と整合している。
I1が首を絞めて殺し、K1が体を押さえた、と弁護人は主張する。しかし、両名は特異な殺害方法を述べ、報復が心配される被告人が、実行犯と述べている。虚偽とは考えられない。
以上、信用性は高く、実行は認められる。
K2は、曖昧さを考えれば、被告人への不利益供述を避けようとしていることは明らかである。
被告人が積極的に死体損壊を主導していたのは、犯人でないならば不自然である。信用できない。殺意をもって被害者を殺害した。
論理測、経験則に照らし、不合理はない。
手での首絞め、K1はその後に踏みつけた。I1はどの段階か解らないと述べている。K1、I1に虚偽証言を行う理由があり、信用できないと主張する。しかし、首を踏みつけたこと、強く印象に残っている。順序等大筋符合している。各信用性認めた原判決、信用できる。
1,K2が信用できないとするが、立場を考えない一方的な認定である。
2,被告人供述、終始一貫している。M・Jの為に冷凍解体を引き受けるのは不自然ではない
と主張する。
しかし、1、信用できないとしたのは誤りはない。2,苛烈な暴行からすると、被告人が殺害に関わっていないというのは不自然である。
事実誤認の主張に理由はない。
2・量刑不当の主張
抵抗することなく、許しを請う被害者を殺害している。口封じのため、抵抗なく殺害している。殺害は全て被告人が行っており、残忍無慈悲であり、被害者の無念は計り知れない。遺族は遺体はおろか、遺骨の一片を前にして、冥福を祈れない。結果は重大である。被害者1名、知人、という殺人の中で重い、と認定した。
所論は
1,被害者や遺族に謝罪している。
2、M・Jに呼ばれて犯行に関与している。
3,被害者が被告人の娘を利用したことを考慮してほしい。
1は、前提事実を誤っている。2,3を含め、原判決は正当である。
30万円を遺族に送付している、知人が監督すると述べている事考慮しても、重すぎて不当とは言えない。
主文の通り判決する。

裁判長『14日以内に上告できます。弁護人から聞いてください。言渡しを終わります』
裁判長は、被告人にそう告げると「判決宣告終わり閉廷しています。傍聴人は速やかに退廷してください」と、傍聴人を早々と追い出そうとしていた。
14時17分に、閉廷となった。
被告人は、言渡しの間身じろぎすることなく、やや下を向いていた。閉廷後、顔をしかめ、早々と退廷した。

判決を聞いても、なぜ、K2の、被告人の犯人性を否定する供述が信用できないとされたのか、さっぱり解らなかった。K2が被告人をかばう動機はないのではないか。
被告人は上告するだろう。最高裁は果たして、念入りな審理を行ってくれるのだろうか。


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