ヒスブル「ナオキ」再犯事件公判傍聴記・2022年7月19日(被告人・二階堂直樹)
2022年7月19日
東京高裁第12刑事部
622号法廷
事件番号・令和3年(う)第2002号
罪名・強制わいせつ未遂
被告人・二階堂直樹
裁判長・田村政喜
裁判官・室橋雅仁
裁判官・白石篤史
書記官・風間紀子
元ヒステリックブルーのメンバー、二階堂直樹による強制わいせつ未遂事件の第二回控訴審公判である。本日は被告人質問が行われるかもしれないが、14時50分を過ぎても、4人しか並んでいなかった。最終的に並んだのは、たったの6人である。コロナによる座席制限が解除された法廷内は、閑散としていた。
検察官は、眼鏡をかけた、髪を肩まで伸ばした中年女性だった。開廷前、書類を広げていた。
書記官は、やや茶髪がかった長髪の、中肉の中年女性だった。
裁判長は、白髪交じりの髪をオールバックにした初老の男性。裁判官は、初老の男性と、眼鏡をかけた短髪の中年男性。入廷時には被告人と弁護人はいまだ在廷しておらず、三人で何か話をしていた。
暫くすると、弁護人と被告人が到着する。
弁護人は、かつては東京地裁・高裁の死刑事件にこの人ありと言われていた、大熊弁護士である。加藤智大の弁護を担当したのもこの人である。眼鏡をかけ、太っており、髭を生やしている。
被告人である二階堂直樹は、刑務官に付き添われていない。頭は丸坊主にしており、がっしりとした体格である。黒いスーツに、茶色いネクタイという格好である。元芸能人だけあって、華のない恰好であるにもかかわらず、被告人というより、役者のように見えた。
15時の予定だったが、少し早く14時58分ぐらいに、二階堂直樹の第二回控訴審公判は開廷した。
裁判長『少し早いですけど、開廷します』
被告人は、頷く。
裁判長『名前は』
被告人『ここでいいですか、二階堂直樹です』
裁判長『生年月日は』
被告人『昭和54年5月25日です』
裁判長『職業』
被告人『自営業です』
裁判長『本籍は』
被告人『東京都千代田区(略)』
裁判長『書面で渡しますので、住所は』
被告人『こちらで間違いない』
裁判長『審理します。そのまま座っていて。控訴趣意書の陳述や答弁、証拠の採否を行っているが、被告人質問、請求。検察官からは不必要との意見があったが、原判決後の情状なので、採用する。これから聞いていく。二階堂さん、話聞きますから、前に出て、椅子に掛けてください』
被告人は、証言台の椅子に座る。
裁判長『調書記載、要旨で記録します。弁護人から』
被告人は、早口で多弁、はきはきとした口調で質問に答えた。質問に答える間、背筋を伸ばしていた。質問が終わっていないにも関わらず、はい、と相槌を打つことが多かった。
<大熊弁護人の被告人質問>
弁護人『貴方はね、一審で、一年二ヶ月の実刑受けましたね』
被告人『はい』
弁護人『判決の受け止めは』
被告人『まあ、改めて大きな事件を起こしてしまったという、事件の重大性に気付きました』
弁護人『犯行の重大性を受け止めた』
被告人『はい』
弁護人『控訴申立てしている』
被告人『はい』
弁護人『理由は』
被告人『二つありますけども。一つは、この後実刑判決があったとしても、その実刑に行く前に、治療の効果をある程度進めてからいきたいというのがあって、その治療上の都合というのと、あと、もう一つは、被害者の方、示談後に、電話録取書で、改めて処罰をということがありましたので、あの、再度、あの、お詫びの機会をいただきたいというのが』
弁護人『治療の話をしますけどね』
被告人『はい』
弁護人『一審後、治療は』
被告人『はい、はい、継続してます!』
弁護人『何している』
被告人『あの、一審の証人の方のカウンセリングを受けていて、医師の(聞き取れず)受けたのですけど、(聞き取れず)なかったので、あの、タイミングを見て、その、入院しばらくして、あの、診察できる所があるとのことなので、ぜひそこに行こうという』
弁護人『医師の治療を受けてる』
被告人『はい』
弁護人『それから、被害者の方との示談状況』
被告人『はい、はい』
弁護人『やはり、許してもらいたいがあった』
被告人『はい、はい』
弁護人『今回、改めてね、30万円払って、示談書をね、作った』
被告人『はい、はい、はい、はい』
弁護人『これはどうして』
被告人『あの、最初に示談で言ったのは、あの、お許しの言葉をいただいたんですけど、あの、やっぱりその後、厳重処罰をという事でしたので、もう一度、改めて、誠心誠意お詫びをして、という所です』
弁護人『謝罪文を書いて、お渡しした』
被告人『はい!』
弁護人『被害者の方、示談書だけでなく、嘆願書にも署名してもらった』
被告人『はい、はい』
弁護人『それについては』
被告人『そうですね、あの、誠意は伝わったし、減刑でもいいよとは言ってくださったので、少しは伝わったのかなと。ただ、それで終わりではなくて、やっぱり、この先も、ずっと自分の犯してしまった罪を考えながら、お詫びを続けていかなければいけないなとは』
弁護人『改めて申し訳ないとの気持ちを持ったということで良い』
被告人『はい、はい』
弁護人『もう二度と、こういう被害、作らない気持ちを持ってる』
被告人『はい、持ってます』
弁護人『一審判決後の生活は』
被告人『まあ、あの、仕事を一生懸命していますのと、特に会社、父の年齢もあって、あの、仕事頑張って、家ではまあ、落ち着いた生活をしています』
弁護人『専門家の所へ行ったり』
被告人『そうです、はい』
弁護人『そういう事でよろしいですね』
被告人『はい』
弁護人『貴方を監督してくれるのはどなたですか』
被告人『妻も両親も、会社全体的にもそうですけど、家では(聞き取れず)してますし、仕事中は父親だったり同僚だったり、家では妻だったり、しています』
弁護人『一審の時、同僚も監督してくれると』
被告人『はい』
弁護人『監督すると』
被告人『はい』
弁護人『今後も、意見よく聞いて行動している』
被告人『はい』
弁護人『貴方、前科あるが』
被告人『はい』
弁護人『今回事件起こしたが、二度としない』
被告人『とても思っています。それはもう、自首した時と同じで、自分の人生の中でこうした犯罪を断ち切るためには、ちゃんと自分の犯した罪の責任取らなきゃいけないと思って、自首していますので。その思いを、判決の後、弁護人を挟んでやり取りさせていただいて、より強く思うようになっています』
弁護人『これで最後だと思うけど、公開の法廷では』
被告人『はい』
弁護人『最後に言っておきたいことは』
被告人『これで本当に最後だと自分が、思ってしまって、やっぱり再犯に至っているので、この先も、やっぱり、常に再犯リスクあるんだということを自覚して、自分のリスクを、日ごろから点検して、一日一日その積み重ねです』
検察官からの被告人質問はなかった。
裁判所からも被告人質問はなかった。
裁判長『終わりました。戻って』
被告人は、被告席に戻る。
裁判長『次回判決。8月30日』
弁護人『午後なら』
裁判長『13時40分にして・・・これの前はやめた方が良いか・・・15時とか』
弁護人『はい』
判決は、8月30日15時からとなり、それを告げられ、被告人は頷いた。
裁判長『終わります』
15時7分に、控訴審第二回公判は終了した。10分に満たない時間である。
被告人は、閉廷してからもしばらくの間、前を向いて座っていた。