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芦北町技能実習生死体遺棄事件公判傍聴記・2023年2月24日(被告人:レー・ティ・トゥイ・リン)

2023年2月24日
最高裁第二小法廷
事件番号:4(あ)196
罪名:死体遺棄
被告人:レー・ティ・トゥイ・リン
裁判長:草野
立会検察官:大串雅里、外一名
弁護人:石黒大貴、外四名

この事件は、技能実習生のベトナム人女性である被告人が、双子の男児を死産し、その遺体を室内に遺棄したとして、死体遺棄に問われた事件である。
被告人は、2020年11月中旬に双子の男児を自宅で出産した。双子は亡くなっており、自室にあった段ボール箱に遺体を入れた。同月19日に芦北署が死体遺棄の疑いで逮捕し、12月に起訴された。
この度、最高裁に置いて弁論期日が指定され、控訴審判決が覆るのではないかと、注目が集まっていた。

14時20分の締め切りまでに、42枚の傍聴券に対し、210人以上が並んだ。外れた人たちは、傍聴券交付所に滞留しており、さながら人の波、といった感じだ。職員に誘導されていた。被告人の支援者らしき人も多くおり、そのうちの一人が、「傍聴券を分けられる傍聴ボランティアの方はいませんか」と傍聴券が当たった人々に、呼びかけていた。
最高裁の出入り口の所で、荷物預かり、金属探知機のゲートをくぐらされる。そして、待合所へと案内され、「事案の概要」が書かれた紙が、傍聴人に配られた。
弁護人は、全部で五人おり、ウェーブがかったショートカットの中年女性、髪の短い中年男性二人、髪の短い白髪の老人、眼鏡をかけた中年男性という顔ぶれである。分厚いピンクのファイルや、弁論要旨らしき書類を机の上にいくつも置いている。
検察官は、髪の短い中年男性一人だけだった。弁論要旨らしき書類を一つだけ、机の上に置いている。
書記官は、白髪を七三分けにした眼鏡をかけた初老の男性と、頭の禿げあがった眼鏡をかけた中年男性の二人。
男性職員から、撮影を開廷前に二分間行う、裁判長らに礼をする慣例がある、など、傍聴人に注意が言い渡される。
女性職員が出てきて「間もなく、開廷します」と魔女のような声で、傍聴人に告げた。
裁判長は、やや髪の後退した血色の良い初老の男性。裁判官は、白髪の痩せた初老の男性、白髪を七三分けにした老人、白髪をショートカットにした老女の三人であった。
開廷前、二分間の写真撮影が行われた。
撮影後、関係者席らしき席が二席あり、若い男女が座った。
こうして、レー・ティ・トゥイ・リン被告人の最高裁弁論は、15時に開廷した。

職員『被告人レー・ティ・トゥイ・リンの死体遺棄事件。検察官、弁護人、出頭しています』
弁護人は、上告趣意書を陳述する。また、口頭で補足を行う。
眼鏡をかけた中年男性である、石黒大貴弁護人が立ち上がり、弁論を行った。熱意と感情の込められた口調であった。弁論の間、メモを取っている男女もいた。

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