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監禁王子事件公判傍聴記・2009年7月10日(被告人・石島泰剛)

2009年7月10日
東京高裁
102号法廷
事件番号・平成19年(う)第2636号
罪名・監禁致傷(平成17年6月22日公訴事実につき変更後の訴因:監禁致傷、傷害)、監禁(変更後の訴因:監禁致傷)
被告人・小林華澄こと石島泰剛
裁判長・中山隆夫
裁判官・衣笠和彦
裁判官・瀧岡俊文
書記官・山田晶

監禁王子事件の、控訴審初公判である。
石島泰剛は、2003年12月から、2004年12月にかけて、4人の若い女性を監禁した。首輪をつけて「ご主人様」と呼ばせるなどし、自らの性欲と支配欲を満たすための犯行だったと思われる。本人が皇子と呼ばれることを好んでいたこと、整った顔立ちだったことから、監禁王子事件と呼ばれ、注目が集まった。2007年10月19日、一審で、東京地裁は懲役14年の判決を言い渡した。石島は控訴し、その控訴審が本日開かれる。

76枚の傍聴券に対し、10時10分の締め切りまでに来たのは、50名前後であった。少なくはない人数であるが、事件の話題性と比較すれば、やや拍子抜けの感が否めない。
入廷前、荷物預かり、金属探知機によるチェックが行われた。
監禁皇子こと石島泰剛は、それなりに整った顔立ちの青年だった。鼻は高く、色白で痩せている。白いスーツ姿だったが、髪は角刈り風の丸坊主にしており、ミスマッチな感があった。傍聴人が入廷を許された時には、すでに被告席に座っており、後ろを向いて、弁護人と話をしていた。
弁護人は、眼鏡をかけた中年男性二人、中年男性一人、青年二人、女性一人の合計六名。
対する検察官は、髪の長い中年女性一人だけであった。
監禁皇子こと石島泰剛の控訴審初公判は、10時30分より開廷した。

裁判長『被告人、前へ』
石島は、証言台の前に立つ。
裁判長『名前を言ってください』
被告人『小林華澄こと石島泰剛です』
声はとても小さく、殆ど聞き取れない。病的な印象さえ与えた。裁判長は聞き取れなかったらしく、聞き返した。
裁判長『小林香澄こと?』
被告人『石島泰剛です』
裁判長『生年月日はいつですか』
被告人『昭和54年11月28日です』
裁判長『本籍は原判決時と変わりない?住所不定無職となっているが?』
被告人『住所は、葛飾区の34の』
裁判長『もう少し大きな声で』
被告人『葛飾区、小菅の』
裁判長『今の小菅の拘置所と』
被告人『小菅の』
裁判長『はい』
被告人『3の』
裁判長『はい』
被告人『4の』
裁判長『はい』
被告人『11の』
裁判長『はい』
被告人『204号室』
裁判長『住民票のある所ということですね。無職ですか』
被告人『はい』
裁判長『体調悪いと聞いているが、大丈夫ですか』
被告人『はい』
裁判長『それでは、これから控訴審としての審理を始めます。元の席に座って聞いていてください』
被告人は、深々と一礼し、被告席へと戻る。

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