昭和戦前の大量殺人事件

 1927年~1945年8月15日までの、一度に三人以上が殺害された事件について記述する。
 年齢は、特に断りがない限り、数え年である。
 欠落も多いため、随時更新していく予定である。

<石城郡一家五人殺傷事件>
*犯人
不明
*犯罪
 1927年3月25日、一家五人が手斧で殺傷され、家主の叔母と長男、次男が殺害された。家主夫妻は重傷を負った。Sが犯人であるとして起訴、公判に付された。
*殺害人数・3人
*求刑・死刑
*判決
一審・福島地裁平支部判決。Sに死刑判決。
控訴審・1928年7月16日、宮城控訴院判決。Sに無罪判決。
*参考文献
福島県犯罪史三巻

<満福寺一家四人強盗殺人事件>
*犯人
小沢九十九(満43)
*主要な犯罪
 小沢は、二人の子供を満足に養育したいなどの理由から、金目当てに夜間、福島県田村郡の万福寺に侵入。1927年5月16日深夜、住職一家四人を殺害し、6円を奪った。
*殺害人数・4人
*求刑・死刑
*判決
一審・1927年7月26日、福島地裁判決。死刑。
*備考
 小沢の子ども二人は、被害者遺族が引き取ったとのことである。
*参考文献
 福島県犯罪史三巻、刑事の眼

<仏崎一家四人惨殺事件>
*犯人
森本計吉(30)、三田村芳雄(26)
*主要な犯罪
 服役囚であった二人は、1927年3月11日に松本刑務所を脱獄。同月13日に、一家四人を金銭目的で金てこや薪で殴打し、殺害した。
*殺害人数・4人
*求刑・両名に死刑
*判決
一審・長野地裁判決。両名に死刑。
*参考文献
長野県警察史、死刑囚十一話、長野県警犯罪実話・捕物秘話(第一集)

<鶴見妻子三人殺害事件>
*犯人
作造(40)
*主要な犯罪
 作造は、1928年、生命保険金目的で妻子三人を殺害したとされる。
*殺害人数・3人
*求刑・死刑
*判決
一審・1929年横浜地裁判決。無期懲役
*備考
横浜地裁初の陪審員裁判であった。

<松山町一家四人殺害事件>
*犯人
徳永三之助(40)
*主要な犯罪
 徳永は、土地の売買にことよせて、金をだまし取り、返済を免れるために、1929年1月16日、資産家一家四人を殺害した。
*殺害人数・4人
*求刑・死刑
*判決
一審・1929年5月21日、浦和地裁判決。死刑判決。
*参考文献
埼玉県警察史

<筑豊の鬼熊事件>
*犯人(仮名)
川田荒太郎(33)
*主要な犯罪
 川田は、交際している女性に疎んじられるようになり、1929年9月23日、福岡県の直方町で、女性の家族三人を殺害した。
*殺害人数・3人
*求刑・死刑
*判決
一審・福岡地裁判決。死刑。
控訴審・長崎控訴院判決。無期懲役
*参考文献
実録福岡の犯罪


<寺島六人強盗殺傷事件>
*犯人
 鶴巻虎雄
*主要な犯罪
 鶴巻は、1931年3月31日、金銭目的で強盗に押し入り、鉈で一家六人を殺傷。うち三人を殺害した。
*殺害人数・3人
*求刑・死刑
*判決
一審・1932年5月28日、東京地裁判決。死刑判決。
一審で確定。
*参考文献
東京地方検察庁沿革誌

<双葉郡一家六人殺傷事件>
*犯人
横田吉之助(28)
*主要な犯罪
 1931年12月31日、横田は、自分の病気や生活難による苦悩から、妻と娘二人、家主の四人を殺害。さらに、生活援助を断った継母、その母親も殺害しようとし、重軽傷を負わせた。
*殺害人数・4人
*求刑・不明
*判決・不明
*参考文献
福島県犯罪史三巻

<岡山一家四人殺傷事件>
*犯人
三澤庄平(満18歳)
*主要な犯罪
 三澤は、祖母(父の継母であり、血はつながっていない)、叔母(父の継母の娘)、両親兄弟とともに暮らしていた。しかし、父の死後、祖母や叔母が財産を横領しようとしていると疑い、家族のために祖母や叔母を殺害するしかないと考えた。1932年8月25日、叔母、その娘、祖母の三人を日本刀で殺害し、財産横領に協力していると疑っていた、叔母の婿養子にも、殺意を持って切りかかり、重傷を負わせた。
*殺害人数・3人
*求刑・不明
*判決
一審・岡山地裁判決。
控訴審・広島控訴院判決。無期懲役。
上告審・1933年8月30日、大審院判決。上告棄却。
*参考文献
大審院判決

<鳴海一家四人殺害事件>
*犯人
野村久(48)
*主要な犯罪
 野村久は、尺八についての本を出版しようと考えていた。その金銭を工面しようと金策を進めていたが、その際に被害者の一人と口論となり、1933年2月6日、被害者一家四人を殺害した。
*殺害人数・4人
*求刑・死刑
*判決
一審・名古屋地裁。死刑。
控訴審・名古屋控訴院、控訴棄却。
*参考文献
愛知県警察史、迷宮を開く、捜査を基礎とせる最近重大犯罪探偵秘録、男渡世物語
*備考
犯人の野村久は、尺八界では野村景久として有名な人間であった。


<千代丸事件>
*犯人
成田栄三郎(満35)
*有罪となった主要な犯罪
 成田栄三郎は、弟や部下の船員たちとともに、千代丸を操り、密漁を行っていた。
 1933年2月24日、密漁を行っていたところ、巡視船に発見され、追跡される。
 成田栄三郎は、追跡を逃れるため、千代丸を巡視船に衝突せしめ、転覆させ、巡視船の船長、水夫ら四人を溺死、凍死させた。
 さらに、巡視船の乗員が千代丸に乗り込んできたことから、生かしておけば犯行が発覚すると考え、成田栄三郎は弟や部下の船員ら八名と共謀し、巡視船の乗員を袋叩きにし、殺害した。そして、頭髪を剃り、死体を海中に遺棄した。
*殺害人数・5人
*求刑・死刑
*判決
一審・1935年4月9日、函館地裁判決。成田栄三郎に死刑。弟ら八名に懲役10年の判決。偽証で他二名有罪
控訴審・1936年2月21日、札幌控訴院判決。全員の控訴棄却。
上告審・1937年6月5日、大審院判決。全員の上告棄却。
*備考
弁護人は、今村力三郎弁護士。
栄三郎たちは一時自白したものの、冤罪を訴え、刑確定後も全員で再審請求を行った。1938年1月29日、札幌控訴院で棄却。成田栄三郎は、死刑確定後、再審請求棄却前に獄死する。
*参考文献
大審院判決、茂津多岬の凄惨

<福井一家六人放火殺人事件>
*犯人
 不明
*主要な犯罪
 1934年?月19日、福井県の寺で一家六人が刃物で殺害され、放火された。
*殺害人数・6人
*備考
 迷宮入りとなった
*参考文献
 福井名探偵実話集、犯罪の通路

<元岡一家三人殺害事件>
*犯人(仮名)
外町滝一郎(49)
*主要な犯罪
 外町は、姪に対する執着から、1934年5月17日、兄一家三人を藁切包丁で滅多切りにして、殺害した。
*殺害人数・3人
*求刑・死刑
*判決
一審・1934年12月6日、福岡地裁判決。死刑判決。
控訴審・1935年2月5日、長崎控訴院判決。控訴棄却。
上告審・1935年4月24日、大審院判決。上告棄却。
*参考文献
実録福岡の犯罪

<種市一家三人殺害事件>
*犯人
A(17)
*主要な犯罪
 少年は、姉を花柳界から救うために金銭を欲し、1935年4月21日深夜、主人一家三人を刃物で殺害し金を奪った。
*殺害人数・3人
*求刑・不明
*判決
一審・1935年7月27日、盛岡地裁判決。懲役15年判決。
*参考文献
岩手の重要犯罪

<仙台市一家三人強盗殺人事件>
*犯人
東海林栄(50)
*主要な犯罪
 東海林は、1935年8月28日、警官を装い、一家三人をと外に次々と誘い出して玄翁で撲殺。100円余りを強奪した。
*殺害人数・3人
*求刑・死刑
*判決
一審・死刑
*参考文献
宮城県警察史

<丸山丸残虐事件>
*犯人(仮名)
宇崎佐助(34)、若井勘治(45)、内川文次(63)
*主要な犯罪
 三名は共謀し、1935年11月27日、船を襲い船長夫婦ら四人を殺害。船と財物を奪った。
*殺害人数・4人
*求刑・死刑
*判決
一審・死刑
*参考文献
実録福岡の犯罪

<二・二六事件>
*犯人
磯部浅一(満31)、村中孝次(満33)、他
*主要な犯罪
 元士官の磯部浅一らは、陸軍兵士を扇動、欺罔するなどして決起させ、君側の奸を除くと称して岡田首相や軍首脳部らの暗殺を企図し、1936年2月26日、高橋是清蔵相、渡辺錠太郎教育総監などを殺害。警護の警官を含めて9名を殺害した。
*殺害人数・9人
*求刑
 軍側に17名、民間人2名に死刑を求刑。
*判決
 磯部、村中ら、元士官や現役士官16名に死刑判決。民間人の北一輝、西田税に死刑判決。
*備考
 民間人で死刑判決が出た二人には、冤罪ではないかとの指摘もある。


<三池郡三人毒殺事件>
*犯人(仮名)
松田幸一(64)
*主要な犯罪
 松田は、先祖の約束を反故にされ土地を奪われた怒りから、1936年10月31日、亜ヒ酸を用いて、隣人一家三人を毒殺した。
*殺害人数・3人
*求刑・不明
*判決
一審・福岡地裁判決。懲役15年
*参考文献
実録福岡の犯罪

<堀江事件>
*犯人
熊谷喜代志(38)
*主要な犯罪
 熊谷は、金銭を奪う目的で、1937年5月16日午前0時ごろ、盛岡市の富豪一家三人を鉞のようなもので撲殺した。
*殺害人数・3人
*求刑・死刑
*判決
一審・1938年5月30日、盛岡地裁判決。死刑判決。
控訴審・1938年8月9日、宮城控訴院判決。上告棄却。
上告審・1939年1月2日、大審院判決。上告棄却。
*備考
公判では無罪を主張した。
*参考文献
岩手の重要犯罪、犯罪百話

<興行師一家三人強盗放火殺人事件>
*犯人
村瀬宏(23)
*主要な犯罪
 旅役者をしていた村瀬は、金銭を奪う目的から、1937年12月29日、旅役者の座頭一家三人を殺害。放火を行った。逃走中も窃盗や放火を行い、翌年1月24日に逮捕された。
*殺害人数・3人
*求刑・死刑
*判決
一審・1938年2月26日、浦和地裁判決。死刑判決。
控訴審・控訴棄却。
上告せず
*備考
 村瀬は過去に放火も行っていたことを自白し、その事件では冤罪で女性が服役していた。女性は再審を受けて無罪となった。
*参考文献
埼玉県警察史

<津山三十人殺し>
*犯人
都井睦雄(21)
*主要な犯罪
 都井睦雄は、性的関係や人間関係のもつれから、多数の村人を殺害することを決意。1938年5月21日、30人を日本刀や銃を用いて殺害し、3名に重傷を負わせた。その後、銃で自殺した。
*殺害人数・30人
*参考文献
津山三十人殺し、ミステリーの系譜、犯罪の通路

<耶麻郡親族皆殺し事件>
*犯人
鈴木誠(42)
*主要な犯罪
 鈴木誠は財産関係のもつれから、1942年10月4日、日本刀で切りつけて親族7人を殺害し、4人に重傷を負わせた。犯行後、遺書を残して自殺する。
*殺害人数・7人
*参考文献
福島県犯罪史三巻


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