猫舌の流儀

僕は熱々の食べ物が苦手である。俗にいえば猫舌というやつだ。
 
まず、熱々すぎて味がわからない。口の中に入れたときに「ふぁっっふぉあっつぁ!!!」となる場合、口の中の熱さに神経が全集中し、全く味がわからない。最悪の場合、熱すぎて口の中に食材を残留させることが不可能になり、元の場所に吐き出してしまう場合もある。このようになると当然マナー的にも最悪であるし、そもそも熱々である必要がないのではないかと苛立ちを覚えてしまう。
 
また、僕の食べ物の好きな食べ方として、口いっぱいに食べ物を頬張りたいというのもある。口の中をうまみ成分で埋め尽くしたいのである。この場合、熱々であると口の中のありとあらゆる場所に食べ物が当たり、口の中が熱さでも満たされる。猫舌は下の奥に充てるように食べる出会ったり、すすって食べることで改善できるとか言うが、そもそもそんなちびちび食ってらんないのである。とにかく素早く、口の中を美味しいもので大量に満たしたいのである。僕は牛丼が好きなのだが、これはかきこんでいち早く口の中を満たせるというのもあるのではないかと思う。ただ、牛丼は時にしてめちゃくちゃ熱い時があるので、天地返しなどをして、できる限り冷まして食うのである。
 
もしかすると、口の中が刺激に弱いのかもしれない。僕は辛い物も苦手である。韓国料理など味は全く嫌いではなく、むしろ美味しいと感じるのだが、舌に蓄積ダメージをくらい、せっかく楽しい食事の時間なのに、なんでこんなつらい思いして飯食ってんだとなってしまう。それと同じように熱さも痛みに近しいものがある。せっかくの楽しい食事が苦行になってしまうのだ。
 
それゆえ真冬でも鍋などはテンションが下がる。もちろん味は嫌いではないのだが、熱すぎる。基本温かいものと冷たいものが選べるものは冷たいものを選ぶ。うどんやそば、飲み物など冬でも冷たいものを摂取する。
味噌汁は最後に冷めた状態で飲む。カレーが2日目が美味しい理由は熱々でないからである。前日に明日もカレー食うからと大目に炊いた、残り物の冷めたご飯に適度に温めたルーをかけて食うことでちょうどいい温度で食えるから美味しいのだ。出来立てほやほやのごはんに熱々のルーをかけてしまったら、そいつはもはや凶器なのである。
 
ただ、全てのものを冷ませば良いというものでもない。例えば焼いた肉をしばらく放置して、固まったりしたら最悪である。脂が固まったり、肉自体も硬くなって、肉のうまみがすべて失われるので、できる限り焼いてすぐ食べたい。そのため、焼肉ではたれで焼いた肉を一気に冷まして、食すのである。できる限り焼き立てのジューシーさを残しつつ、適温にする。これこそが最高の食べ方だ。

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