米国株、ダウ続落し286ドル安 中東の地政学リスクが重荷 ナスダックも続落

米国株、ダウ続落し286ドル安 中東の地政学リスクが重荷 ナスダックも続落

米国・欧州株概況

2023年10月21日 5:48 (2023年10月21日 5:57更新)



【NQNニューヨーク=稲場三奈】20日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比286ドル89セント(0.85%)安の3万3127ドル28セントで終えた。中東の地政学リスクの高まりが引き続き相場の重荷となった。米長期金利の上昇は一服したものの、依然として高水準で推移していることも株売りを誘った。取引終了にかけて下げ幅を広げる展開だった。

中東では、イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突が続いており、地上戦が近づいているとの見方もある。20日には、イスラエル国防省がレバノン国境近くの地域の住民に避難を命じたと報じられた。バイデン米大統領は同日、イスラエル支援などへの緊急予算を要請すると表明。中東の情勢悪化への警戒が続いた。

市場では「衝突が解決に近づかない限り、短期的に株買いに対する不安感はくすぶるだろう」(インガルズ・アンド・スナイダーのティモシー・グリスキー氏)との声が聞かれた。

米債券市場で長期金利は前日から低下(債券価格は上昇)し、4.9%台前半で推移した。前日夕には16年ぶりの5%台を付けていた。金利上昇はやや一服しているものの、依然として高い水準を維持しており、株式を買い戻す動きは広がらなかった。

米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが長期化するとの観測も相場の重荷だった。アトランタ連銀のボスティック総裁は20日の米CNBCの番組で、利下げは2024年後半以降になるとの見方を示した。クリーブランド連銀のメスター総裁は同日、年内の追加利上げが適切との見方を維持した。

個別では、顧客情報管理のセールスフォースや石油のシェブロン、スポーツ用品のナイキなどが売られた。朝に四半期決算を発表したクレジットカードのアメリカン・エキスプレスは5%安。一方、ドラッグストアのウォルグリーン・ブーツ・アライアンスや医薬品・医療機器のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)など、ディフェンシブ株の一角には買いが入った。アナリストが投資判断を引き上げた製薬のメルクも高かった。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日続落した。前日比202.368ポイント(1.53%)安の1万2983.807とおよそ5カ月ぶり安値で終えた。電気自動車(EV)のテスラ、ネット通販のアマゾン・ドット・コムの下げが目立った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?