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先月の急に入った元職の仕事が終わった

まるで桜の開花とともにやって来た仕事。受けなければ良かったと、何度も思いはしたけれど、結局、私はデザインしているときが好きなのだと、再認識した二週間だった。

ずっと取引のあった印刷会社から、突然の電話が入った。
「ちょっとお願いしたいことが・・・」
「はい、なんでしょうか?」
心の中では「いやや、もう仕事はせーへんで」と思いながらカレンダーを見て「年度末かぁー」と確認して、更に不吉な予感に襲われた。
「もう仕事はされていないと分かってるんですが、年度内に会社案内を作ることになって、色々と当たってみたんですが、デザイナーさんが見つからなくて、困ってるんです、やっていただけませんか?」
どうせそんなことだろうと思った。ボリュームがあって納期がなくて安いんでしょ、ふんっ。
「どんな内容ですか?」
結局引き受けてしまった。

詳細の打ち合わせの時、印刷会社の担当者が本当にホッとしている様子を見て、そして社長にまで挨拶されて、少しは引き受けた甲斐があったと思った。
が、それも束の間、ハードだった。こんな仕事、誰も受けるわけない。
そもそも重要な印刷物である会社案内を、二週間足らずで作れって、どうかしていると思ったら、先方にも色々と事情があるようで、結局一番ホッとしているのは、クライアントのようだった。世の中、きっとそうやって回っているんだろう。
詳細な内容は控えるが、この納期でこのボリュームの会社案内を、作ってしまうというのは荒技だった。経験という引出はやはり多い方がいい。
もう使わないけど。

一つ予想と違っていたのは予算だった。こちらの見積通りで通ってしまって驚いた。それならもう少し上乗せしておけばよかった。よほどクライアントは困っていたようだ。
少しは役に立てたのなら、今年、桜を満喫できなかったことは、きっといい想い出になるに違いない。
あの会社が益々発展することを、桜吹雪の中で願う。



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