果汁100%ジュースは健康に良いのか??
果汁100%ジュースの栄養価
まず、果汁100%ジュースの栄養価について見ていきましょう。
果汁100%ジュースには、ビタミンCやカリウムなどの栄養素がたっぷり含まれています。例えば、オレンジジュース100mlには、1日に必要なビタミンCの約70%が含まれているんですよ。これは素晴らしいことですよね。
しかし、ここで注意しなければならないのが糖分です。
果物に含まれる糖分は主にフルクトース(果糖)で、これは体内で急速に吸収されます。果物をそのまま食べる場合は、食物繊維も一緒に摂取するので糖の吸収が緩やかになりますが、ジュースの場合はその効果が薄れてしまうんです。
2013年に発表された「BMJ」という医学雑誌の研究では、
果物の摂取は2型糖尿病のリスクを下げるのに対し、果汁の摂取はリスクを上げる可能性があると報告されています。
これは、ジュースの形で摂取すると、糖分が急速に吸収されてしまうためだと考えられています。
カロリーと満腹感の関係
次に、カロリーと満腹感の関係について考えてみましょう。
果汁100%ジュースは、果物そのものを食べるよりも
カロリーを摂取しやすいんです。
なぜでしょうか?
それは、液体の形で摂取すると、同じカロリー量でも満腹感を得にくいからなんです。例えば、リンゴ1個(約150g)を食べる場合と、同じカロリーのリンゴジュースを飲む場合を比べてみましょう。リンゴを丸ごと食べると、噛む行為や食物繊維の効果で満腹感を得やすいですが、ジュースだとそうはいきません。
2013年に「International Journal of Obesity」に掲載された研究では、固形の果物を食べた群と、同じカロリーの果汁を飲んだ群を比較したところ、
果汁を飲んだ群の方が空腹感を感じやすく、その後の食事でより多くのカロリーを摂取する傾向があったそうです。
つまり、ジュースを飲むと知らず知らずのうちにカロリーオーバーになりやすいということなんですね。
歯の健康への影響
果汁100%ジュースが健康に悪いと言われる理由の一つに、
歯の健康への影響があります。
果汁には酸が含まれているため、頻繁に飲むと歯のエナメル質を溶かしてしまう可能性があるんです。
2011年に「British Dental Journal」に掲載された研究では、果汁の酸性度と歯のエナメル質の侵食の関係が調査されました。その結果、特にクエン酸を多く含む柑橘系の果汁が、歯のエナメル質を侵食しやすいことが分かりました。
ただし、これは果汁を飲んではいけないということではありません。
飲み方を工夫することで、歯への影響を最小限に抑えることができます。例えば、食事と一緒に飲んだり、ストローを使ったり、飲んだ後に水でうがいをしたりするのが良いでしょう。
適切な摂取量と摂取方法
ここまで、果汁100%ジュースの潜在的なリスクについてお話ししてきましたが、適切に摂取すれば健康的な飲み物の一つになり得ます。
では、どのくらいの量を、どのように飲めば良いのでしょうか?
アメリカ心臓協会(AHA)は、1日の果汁摂取量を成人で120-180ml(4-6オンス)以下に抑えることを推奨しています。これは、小さなグラス1杯程度の量ですね。また、できるだけ食事と一緒に飲むことで、糖分の吸収を緩やかにすることができます。
2017年に「European Journal of Nutrition」に掲載された研究では、適度な量の100%果汁摂取は、むしろ健康的な食生活パターンと関連していることが示されました。
つまり、量を守って賢く飲めば、果汁100%ジュースは健康的な食生活の一部になり得るんです。大切なのは、果汁100%ジュースを水分補給の主な手段にしないことです。水やお茶を中心に水分を摂り、果汁は栄養補給の一環として適度に楽しむ、というのが理想的な飲み方だと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
果汁100%ジュースは、適切に摂取すれば健康的な飲み物の一つになり得ますが、過剰摂取には注意が必要です。
糖分の急速な吸収、カロリーの取りすぎ、歯への影響などのリスクがありますが、これらは適切な摂取量と摂取方法を守ることで軽減できます。
果物そのものを食べるのが最も理想的ですが、忙しい現代社会では、時間がなくて果物を食べる余裕がない、という方も多いでしょう。そんな時に、果汁100%ジュースを賢く活用するのも一つの方法です。
ただし、個々人の健康状態や生活習慣によって、適切な摂取量は異なる場合があります。特に、糖尿病や肥満などの健康上の問題がある方は、医師や栄養士に相談してから摂取量を決めることをおすすめします。
健康的な生活は、バランスの取れた食事と適度な運動から成り立ちます。果汁100%ジュースも、そんな健康的な生活の中で、適切に楽しんでいただければと思います。
参考文献
Muraki I, et al. (2013). Fruit consumption and risk of type 2 diabetes: results from three prospective longitudinal cohort studies. BMJ, 347:f5001.
Flood-Obbagy JE, Rolls BJ. (2009). The effect of fruit in different forms on energy intake and satiety at a meal. Appetite, 52(2):416-422.
Tahmassebi JF, et al. (2006). Soft drinks and dental health: a review of the current literature. Journal of Dentistry, 34(1):2-11.
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Auerbach BJ, et al. (2017). Associations of 100% fruit juice versus whole fruit with hypertension and diabetes risk in postmenopausal women: Results from the Women's Health Initiative. Preventive Medicine, 105:212-218.
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