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『嫌われ魔女リーゼと貧血の魔王』

あらすじ

人間による人間のための国、真人帝国エンプライヤ。
科学の発展著しいこの国では、近年魔女への風当たりが強くなっていた。
人間のための国を目指すこの国では、不思議の担い手たる魔女は邪魔な存在だった。

徐々に世界から不思議が失われていき、魔女たちの数が減っていく世界の中、紫の魔眼と不老のために周囲の人間たちから恐れられていた魔女リーゼは、自分の支配する森の異変に気がつく。
魔物の反応が数体と、この森に存在するはずのない反応が一つ。

魔物を葬り去ったあと、もう一つの反応の元に向かうとそこには金髪の少年がぶっ倒れていた。
どっかのお坊ちゃまかと思える格好で倒れている少年からは、僅かに不思議の残滓が感じられたためリーゼはこの少年が人間ではないことを悟った。
リーゼが声をかけて目覚めた少年は自分のことを吸血鬼だと主張する。
「なんかフラフラじゃない?」
「ちょっと貧血が……」
そう言って少年は自分の青い顔を手でおさえる。

貧血の吸血鬼という意味の分からない存在を連れて帰ると、吸血鬼の少年はリーゼを訪ねてきたという。
ハルムという存在を知っているかと問われたリーゼは当然のごとく頷いた。
ハルムとは不思議の王。
それは災厄をもたらす天災のような存在。
人間の持つ科学に反応しやってくる怪物。
”不思議”の集団的無意識が生み出した、科学に対抗するための生物兵器。
約一〇〇年前に大都市ヴァラガンを襲った怪物。
その際、リーゼはハルムを撃退していた。
「我は警告に来た。再びハルムがヴァラガンに迫っている。ハルムはアンタの命を狙っているぞ? 一〇〇年前に自身を撃退したリーゼを警戒しているのだ」
吸血鬼の警告にゾッとしたリーゼの元に、大都市ヴァラガンからの救援要請が届く……。

これは異質なあまり人間から嫌われた魔女と、人間が好きすぎるあまり貧血状態となった吸血鬼による珍道中!


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