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アートの人

「きょう、なにするの?」 顔が合うなり聞いてくる。新学期も少し慣れてきて、挨拶からいろいろ話しかけてくる。こどもは全身感覚器官だし好奇心の塊だ。見るもの聞くもの、匂い触るもの、なんでもが心揺さぶり、からだで感じ応答してくる。
まさに何かをするからではなく、あるがままでアートの人?になってる。
感じ-動くことで身体がほぐれ、感じる力がひろがり、自ら拓いていく力がついてくる。言葉の理解で動くというよりも、言葉が生まれることを見つけていく。

毎年、始まりは新聞紙を好きにいじってあそぶ。
新聞紙をはじいたり、クシャクシャしたりして、いろいろ音を出してみる。
みんなどんぐり眼で耳をそばだてる。勢いあまってビリっていくと笑う。そして手を出してやりたい! やりたい!のスイッチオン!
もうあとはビリビリ、バリバリ、被ったり、とみんな思い思いに新聞紙と戯れる。床一面に散らばった紙片を集めて放りあげると、もうワア〜キャア〜の歓声。 部屋一杯にこどもの息吹が充満する。

満足した頃合いを見計らって,小さなキッチンネットを手渡す。自然と床に散らばった紙片を詰めだす。指示しなくてもネットが、こうしてよ!って引き出してくれる。
一杯になったネットを結んでやるとボール遊びが始まる。 床の紙片は片付き、ボールの投げっこや取り合いへと遊びが尽きない。あっという間に1時間が過ぎてアートの時間が終わりを迎える。満足そうな笑顔と気持ち開いた空気感を園児たち、しっかり感じてた。

教えられなくても、声を出し、ねがえり、はいずり、たちあがるように“感じて動き、動いて感じる”アートがはじまってる。
こどもを取り巻き包み込んでるものが、感じ-動くきっかけや材料に、そして興味関心の対象となる。おもちゃや刺激ある道具などに目先の興味・関心が奪われがちだけれど、そんなモノに頼るのではなく自由に感じ-動ける機会や場所をつくっていきたいものだと希ってる。

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