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雑談の中から案件は浮き上がる

自由に会えない時代の営業

感染症の拡大予防で、移動制限や面談制限がかけられるようになって久しい。リピート案件は既に仕込みがあったので継続しているが、これからの新規案件をどう取ってくるかが営業という仕事の喫緊の課題となっている。

案件はどこからやってくるのか?

これまで案件は営業という職業の人たちがクライアントやクライアント候補の方々と会って、話をしてまとめてきていた。そのステップはSalesforceなどの営業支援ツールにもあるように段階を踏んでいく。
「会う」という最初のステップがないと、スタートラインに立てない。オンラインという手もあるが、なんか調子がでない。そんな声を営業の方々から聞くようになった。
そこで、私たちの案件はどこからやってきて、どうやって作られるのか?オンラインの時代の営業は、どう行動変容をすればよいのかコンサルティングの場合について考えてみる。

営業の価値は本質的課題の発見

「財務体質を改善したいので、在庫を今の半分にしたいのですが、どうしたらいいでしょうか?」こうした相談に対して、我々コンサルティングの営業は現場に伺い、生産工程、生産計画、物流、情報の流れを見て、改善すべき本質的な課題がどこにあるのかアタリをつける。

本質的な課題がわかったら、次は勝てる戦にする。クライアントと一緒に解決できる構造を考え、提案する。

クライアントから言われたとおり、そのままに実行するコンサルタントは真のコンサルタントではない。ただの作業代行者だ。真に解決すべき課題をみつけることこそが、営業の価値である。

案件の生まれるところ

では、どうやって我々コンサルタントのところにクライアントはたどり着くのかというと、本、セミナー、銀行や知り合いの企業からの紹介、たまにはゴルフというのもある。

ほとんどの場合、新規の案件はクライアント候補と話しているうちに案件になる。まずは雑談の中から「それは、こういうことですかね?」という対話を通して具体的なテーマがお互いの中で合致する。
案件は、雑談から生まれる。
雑談の場は、食事会や飲み会というオフビジネスの雰囲気の場が多い。

雑談とは

雑談とは、広辞苑によると「さまざまの談話。とりとめのない会話。」とある。雑な話ではなく、雑多な話。その中には重要なもの、そうでないもの、関連するもの、関連しないものなどが入り混じっている。コンサルタントはその中から、業種やプロセスを思い浮かべ関連付け、課題の本質を探る。
最近増えているであろうオンラインでの会議や打ち合わせは、テーマを決め、日時を決め、参加者を決めて、会議のURLが伝達される。そこに雑談はない。

わたしたちは、雑談を食事をしたり、お酒を飲んだり、遊んだりする中で行っていた。感染症予防で直接会うことが制限され、こうした雑談の場がなくなってしまった。

「雑談の場」を意識的に作ろう

では、どのようにしたらオンラインで雑談の場ができるのか?

鉄則の一つはテーマを決めないこと。最近会ったこと、今感じていることを、焚火の映像を見ながら、お互いに話す時間を30分つくる。それだけでいい。いいことを言わなくてもいい。気になることを話すだけでいい。

Miroなどの情報整理ツールを使ってみるのもいい。テーマを決めずに気になること、思い浮かぶこと、困っていることを付箋に書いて貼る。

鉄則の二つ目は、誰かや何かの批判でなく、自分や自分たちの組織に関することに限ること。

そして鉄則の三つめは、これから起こること、起こそうとしていることについてという未来志向で。

リアルで飯を食うに我々は戻るのか?

プロジェクトを組む時でも、新しい組織を立ち上げる時でも同じ釜の飯を食うことはとても重要であった。私たちは、相手の普段の姿を見ることで色々な情報をチェックしている。そのうえで、相手がどんな人なのかをプロファイリングし、納得し、不安感を払しょくしている。それがたとえ間違っていようと、プロファイリングして納得することで次へ進める。

会わずに案件がまとまるようになると、企業は予算から「接待交際費」を削る。「新しい営業様式」での対応を迫る。それほど2020年度の決算では旅費交通費と接待交際費の減少による利益へのインパクトは大きい。

その中でも、1時間でいいから一緒に食事をしよう。オンラインでの会話の質が格段に上がる。

でも、もう以前と同じには戻れない。新しい雑談のスタイルをオンライン上で生み出さないといけない。雑談に含まれる案件創出のチカラを改めて評価する必要がある。

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