ダンデ

断片ノート。カフカ断片集を見て、そういうことがしてみたくなった。 こちらもどうぞ→h…

ダンデ

断片ノート。カフカ断片集を見て、そういうことがしてみたくなった。 こちらもどうぞ→https://dandelion-hill.hatenablog.com/

最近の記事

不利

頑張ったら結果が出るとは限らない。 だからといって頑張らなければ何も起こらない。 とだい、生きることはそれ自体が不利なのだ。

    • 意味がわからない

      母は編み物が好きだ。 母が毛糸のセーターをほどいている。 ほどいた糸を、ぐるぐる巻いて手毬のようにするのが僕の仕事。 ときにはほどいた糸を左右の手に巻き付けることもあった。 その違いが理解できない。 その理不尽が、僕の嫌気を増幅させる。 しかも、ほどいた毛糸でまたセーターを編むという。 もう拷問だ。

      • 縋る

        定年までがむしゃらに働いた。 お金を稼いで家族を持ち、養う。 それが生きる道だと。 無理が祟ったのか、いくつかの持病で医者に通うようになった。 医者に通い、薬を欠かさないことが、生きる道となった。 流石におかしいと気付いた。 聞けば、薬に頼らなくても幸せに生きる道があるという。 新興宗教に生きる道を見つけた。 縋る順序の合理性だけに今、縋っている。

        • 納得と説得

          自分で納得したことを他者に説得できるか。 納得させたことを説得と言えるか。 説得しなければ納得させられないのか。 どう頑張ってみても、納得するのは自分ではない他者だ。 つまり自分と同じ考えを他者の頭の中に作り上げることだ。 犬に芸を覚えさせることとは違うのだ。

          囚われ

          カルボナーラばかり注文している。 昔食べたカルボナーラを、あの味をもう一度味わいたくて、 いつもカルボナーラを注文する。 あの味にもう一度出会うだろうか。 出会わないだろう。 あのときのあの味は、もうとうに忘れているから。

          高嶺の花

          大きな屋敷に住む女の子がいた。 立ち居振る舞いが上品で他のクラスの仲間とは違っていた。 好きだったが、ろくに会話した記憶がない。 高嶺の花とはじめから諦めていた。 卒業の日、手紙を呉れた。 その子は遠くへ引っ越していった。

          追いかける

          太陽を掴みたい男がいた。 山を越え、谷を渡り、追いかけに追いかけた。 いつか掴めると信じて。 ある日、追いかけて山を登ってゆくと、 もう行き止まりで足元は垂直の絶壁が延々と続いる。 底の見えない深い谷がどこまでも深く深く続いている。 谷の向こうはなにも見えるものはない。 ただ太陽がはるかな空の、彼方に浮かんでいるだけだった。 男は無の世界を初めて見た。 男と太陽の間には、無があることを知った。 太陽を掴むには、無になるしかない。

          追いかける

          ささやかな喜び

          今日も畑仕事に汗を流している。 来る日も来る日も。 なんの取り柄もないただ働くだけの寡黙な男。 一日のささやかな喜びと、少しの苦の種とを、 天秤にかけ、どっちが重いかを確認しては眠りにつく。 人生のトータルでどうなのかなんかはどうでもよくて、 ただその日一日がどうであったかに一喜一憂し、くらす。 そうするうち、予想し戦略を練るようになってくる。 どうすればささやかな喜びが勝つかを考えながら暮らすようになった。 ときには大胆に、ときには小出しにし、 自分の人生をコントロール

          ささやかな喜び

          二元論

          断片ノート? 自分をさらけだして、 楽しいか?

          ライフゲーム

          どの一族が繁栄するかわからない。 その時になってみなければ。 活発な新陳代謝を繰り返して繁栄しているか、 今にも消えて無くなりそうなまでに衰退しているか、 その時になってはじめてわかる。 そして「その時」は、その先を決して見せてはくれない。

          ライフゲーム

          力になるよ

          力になるよなんて、いうもんじゃない。 堕落の沼に引きずり込むようなもんだ。 仲間が欲しいがために。

          力になるよ

          バトンタッチ

          また父が、僕の手首を握る。 風呂上がりに握る。 初詣の帰り道で握る。 拾った蝉を差し出したときに握る。 柱に傷をつけては握る。 中学校の入学式の朝握る。 僕も父親になったら同じことをするだろう。

          バトンタッチ

          夢で見たから

          離れて暮らす母から電話があった。 レストランへ行こうという。 家族には馴染の店だが久しぶりだ。 なぜ誘ったか。 夢で見たからという。

          夢で見たから

          かいらぎ

          心やさしい薬売りがたびたび訪れる村だった。 山を二つも三つも越えてやっとたどり着く人里離れた小さな村だ。 頼まれると断れない人の良い行商人は商売の薬のほかに、 村人の依頼に答えて漁村で魚を、町でははやりの髪飾りなどを仕入れては ここの村人たちに売っていた。 宿もない村だ。一晩か二晩どこかの家で泊めてもらわなきゃいけない。 それを考えると御用聞きくらいお安いものだ。 心やさしい行商人はそう考えた。 ところが、昨日買った魚が腐っていたと言って返金を求めてきた。 行商人はにこに

          床屋

          なじみの床屋がある。 月に一度、日曜日に電車に乗って通う。 一時間かけてだ。 引っ越す前からのなじみの店だ。 なじみといっても、 「どうします?」 「いつものように。」 と短い会話を交わすだけだ。 混んでくると雑になるのが腹立たしい。 あからさまにだ。 なぜこんな店に、20年も通っているのだろう。

          浮浪者と鳩

          公園の浮浪者が鳩にパンをちぎって与えた。 次の日も、やっとの思いで手に入れたパンの、 一切れをちぎって鳩に与えた。 来る日も来る日も与えた。 そのうちだんだん鳩が増えてきた。 浮浪者は優しかった。 鳩のためにこれまで以上に努力してパンを手に入れ、 一切れちぎって鳩に与えた。 ある日、パンを手に入れることができなかった。 腹をすかせた浮浪者は、鳩に謝ろうと、公園へ行った。 鳩は、浮浪者を食べた。

          浮浪者と鳩