見出し画像

【本の感想】『野原できみとピクニック』

今回、紹介する本は濱野京子さんが書いた『野原できみとピクニック』です。

あらすじ

優弥はある日、繁華街で男子高生に絡まれていたところを、通りかかった稀星に助けられる。
裕福な家に生まれ、進学校に通う優弥と、底辺校に通いながら、家計を助けるためアルバイトにいそしむ稀星はお互いの違いにとまどいながらも、しだいに惹かれあっていく。
育ってきた環境が、まったくちがう2人が恋に落ちたら、見える世界はどう変わるのだろう。
2人の恋が現代日本を映しだす、格差社会のラブストーリー。

本の感想

家庭環境が違い、通っている学校すら違う二人。
きっときっかけがなければ、平行線のまま交わることがなかったと思う。
きっかけは繁華街へ優弥が行ったこと。
そこから二人の繋がりができた。

生活する場所が違うから、二人の価値観や物の見方も違う。
話すたびにその違いに違和感を覚える二人だけど、それでも相手と話し合って知ろうとする姿勢がよかった。
きっと先入観もあるはずだ。
〇〇高校は不良ばかりいるから、近づかないほうがいいと言われ続けていたら、そういう場所だと見てきたわけでもないのに思い込む。

実際に人と話してみないと分からないこともある。
全てを理解できるわけでもないけれど、今まで一緒に活動すらしてこなかった高校生同士が一つの目的のために知恵を出し合って協力する場面はいいと思った。

2人が一緒にピクニックに行ける日が楽しみだ。

印象に残った言葉

少し大きめのアーモンド型の目と、優弥の目が合う。その瞬間。衝撃波が頭を直撃して体を通って足から抜けた。軽いしびれのようなものがしばらく残って、優弥はまばたきをくりかえす。

39P

たとえば、この駅。北と南じゃ、コミュニティがまったく違う。交わりがないんだよね。線路みたいに、どこまで行っても平行線。互いが互いに関心を持たない

100P

日本の線路がクロスすることはない。同じ幅でどこまでも続く。それでも、地平の果てで一つの点のように見える。そのことが、ささやかな希望のように、優弥は感じた。

194P

最後に

おそらく今回の2人が通う高校のように勝手に〇〇高校はこんなところと思い込んでいる人は多いと思う。
もしかしたらイメージ通りかもしれないが、その中に通う生徒が全員が全員そうでもないかもしれない。
何がきっかけで知り合うか分からない。
凝り固まった先入観を捨てて、いろんな人と知り合い、自分の視野を広げることができたらと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?