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【本の感想】『遅刻する食パン少女』

今回、紹介する本は田丸雅智さんが書いた『遅刻する食パン少女』です。

あらすじ

誰もが聞いたことがあるベタなシチュエーションから描かれる10の短編小説。
ベタなシチュエーションから繰り広げられる予想外の展開。

本の感想

10の短編小説で構成されている。
・「街角の恋(遅刻する食パン少女)」
・「お客様の中に(お医者様はいらっしゃいませんか?)」
・「自供の崖(崖の上で殺人を自供)」
・「つながれた窓(窓から行き来する幼馴染み)」
・「嵐の研修(孤立した洋館で事件が起こる)」
・「本の二人(本をとろうとして手が触れ合う二人)」
・「肩車士(前の車を追ってください)」
・「天使と悪魔、それから私(天使と悪魔)」
・「グラスレース(あちらのお客様からです)」
・「スカイレザー(屋上で空を見上げる一匹狼)」

特に印象に残ったのは「肩車士(前の車を追ってください)」と「スカイレザー(屋上で空を見上げる一匹狼)」だ。

・「肩車士(前の車を追ってください)」
車が主流の現代だが、物語の中では肩車をする人が車の代わりとなり、タクシーのように肩へお客さんを乗せて運ぶというもの。
肩車を車の代わりとする設定が面白かった。
天気には左右されそうだけど、人に肩車をされる経験というのは子どもの時ぐらいだと思う。
大人になってから経験がないので、肩車をされた上に走るというのはどういう感覚なのか、興味がある。

・「スカイレザー(屋上で空を見上げる一匹狼)」
空の一部分を切り取って、それを使って皮のように財布やキーケースを作る職人を目指す霧峰。
空の一部分を切り取るという予想外の展開に驚かされた。
そして、それを川のように財布やキーケースを作るというのは、出来上がりはどのような感じなのかなとワクワクした。
空も蒼空だけでなく、曇りや夕方の空、夜空など様々な顔がある。
それらを切り取って、財布などの小物にしていくというのはなんて素敵なんだろうと思った。
私もできるなら、欲しいなと思った。

最後に

田丸雅智さんは今回の作品だけではなく、『おとぎカンパニー』『おとぎカンパニー 日本昔ばなし編』『おとぎカンパニー 妖怪編』『おとぎカンパニー モンスター編』などを刊行している。

今回の本を読んだことをきっかけに別の作品にも手を伸ばしてみようと思う。

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