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詩/初夏

落ち込んで話したら
「明日、ドライブしよう」って
バイクで二時間半の
いつものところ
あなたが好きな場所
天気がよくて
風がなくて
道路も空いてて
信号で止まらなくて
あなたといること
うれしくて
喋りかけてばかりのわたし
あなたもうれしそうで
いいね
いいよね
クラッチが気持ちよく鳴る
トンネルが寒かったり
後ろのパトカーに追いかけられているような気がしたり
峠を越えた時には
街を見下ろして
いろんな悩みがちいさくなって
わたしは
あなたがいなければ生きていけない
人はひとりでも生きていけるけれど
愛を知った人は
哀しみを知ったのとおなじ
哀しみを知った人は
愛がなくては生きてはいけない
わたしはあなたを
わたしの分身のように
それ以上に
愛しているのです
あなたはわたしのことなど
なんとも思わない
そう言いながら
あなたに、何かを
求めているのです

2024.06.15

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