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寒露 第四十九候 鴻雁来

二十四節気は、寒露になりました。
空気がひんやりして、日本ならば秋の長雨が落ち着く頃。
チェンマイは、10日から12日にかけて雨模様となってしまいましたが、雨季が明けるのは10月下旬。もう少し降っても良いくらい。暗い空に静かな雨。そして、少しひんやりした空気。なんだか日本の秋雨の物憂いようなお天気でした。

そして七十二候は、鴻雁来 、こうがんきたる。 期間は10/8~10/12頃。シベリアの方へ子育てに行っていた鴨などの冬の渡鳥たちが、再び少し南の日本へ戻ってくる頃という意味だとか。

これは北タイでも、鳥によりけりですが、割合合致している気がします。たとえばこの時分の明け方や夕方に庭へ出てみると、リュウキュウガモの群れが近くの湿地へ降りていくのを見かけるようになるのです。

東南アジアでは、リュウキュウガモは留鳥に分類され、たしかに時々貯水池などで通年見かけはするのですが、繁殖地は台湾や中国南部だとも言われており、実際冬の終わりのある日、飛んできた小さな群れが上昇気流に乗りながら集まって大きな群れとなって北を目指して飛んでいくのを見かけます。どうやら、我が家の周辺の空が、彼らが集まる場所になっているようで、毎年、旅立っていく鳥たちの渦が見られるのです。彼らはきっと、子育てのために、もう少し過ごしやすい台湾や雲南へ移動していくのだと思います。

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そして逆に、雨季の終わり、山の気温が10度を割るというニュースが流れたりする寒季の声が聞こえる頃、今度は鉤型や山型など有機的でいて幾何学的なひと連なりを作って、彼らは帰ってくるのです。
今年、その幾何学的な群れのシルエットを見かけたのは、9日の三日月と木星が向かい合った西の空で。
残念ながら、次の日からはお天気が崩れ、美しい月と惑星の姿や薄明の中の鳥たちのシルエットは見られませんでしたが、それでも群青色の仄暗い庭へ出ると時折近くの水場へ降りる彼らの細い鳴き声と風切り羽が空気を叩くしゅっとした羽ばたきの音、そして無事水場へ到着したと思しい鳥たちのどこか鈴の音にも似た囁き合うような声は聞くことができました。

これからは、毎日彼らのささめくような声や羽音を朝夕に楽しめそうです。


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