見出し画像

大寒 第七十一候 水沢腹堅

大寒は次候。七十一候「水沢腹堅」、「さわみずこおりつめる」に移りました。期間は 1月25日から1月29日。いよいよ寒さの底となって流れる沢の水さえも氷となるという意味だそうです。

ラニーニャの影響なのか、長野県の諏訪湖でも数年ぶりに全面結氷し、御神渡りも期待され(残念ながら実際にはすんでのところで難しいそう)、分厚くなった氷が湖岸へせり上がったりしているとか。なんだかJ.G.バラードの結晶世界みたいで、見てみたいところです。

そんな厳寒に暮らす人たちからみたら、生ぬるいであろうこと極まりないであろうチェンマイですが、地元の人間にとっては変わらず朝は冷え込む日(最低気温13-14度)が続いて、標高の高い山では相変わらず霜が降り、今年一番の冷え込みを記録したりしています。

また、日没は一番早かった17:45分から今日27日は18:14分まで30分近く長くなりましたが、日の出はまだ一番遅い時分で6:59分。
熱帯の暖房や火の気の無い家では、日の出の直前の冷え込みといったら体の芯から熱が抜き取られていくよう。日本の刺すような寒さとは違う冷えの感触で、気候こそ寒くとも立派な暖房器具やストーブなどの赤い火の存在がある日本の家より、ずっと寒く心もとなく感じられます。実際そのままでは、本当に身体が冷え切ってしまいそうなので、湯たんぽとブランケットで身体を温めながら暗い朝を過ごす毎日です。
そんな、覚めの後にも暗い時間を長らく過ごしていると、実際には日の入りは遅くなって、少しずつ昼は長くなっているのですが、遅くなり続けている朝のおかげで、いよいよ長く暗い冬の底に居るような気がします。

画像1

けれど、遅くなり続ける朝も今日が最後でした。
明日からは日の出も4日で1分ずつくらいですが、早くなっていきます。
夜の時間を生きる舞台とする生き物たちもいますが、彼らにしても太陽の熱により、空気や地面が温まることで、長くなっていく昼の恩恵を受けているでしょう。どちらかというならば、夜の時間が好きで、この寒さに内側にこもっているような時間も大好きですが、とはいえ、ずっとそれが続くと何か体も心も重たくするものが内側に溜まり、滞りが生じてくるような気もするのも事実。
やはりそれらをいったん吹き払って軽やかに、昼が長くなっていくのが実感できるよう、目覚めが早くなっていくことは、生命が生き生きとするために、そんな節目の春に向かうために大切なことなのかもしれません。

水も凍るとはいかなくても、手をひたしたりするのが億劫になるくらいの冷たさでしたが、これからは日々強まり長くなっていく陽光に、少しずつ柔らかになっていくでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?