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小満 第二十四候 麦秋至

小満の末候は、むぎのときいたる。麦秋です。
期間は 5/31~6/4頃。これを書いているのが、今日6月14日なので、少し振り返りです。

この時期は、少し熱暑も静まり始め、空気が水気を含み出して空に日暈がかかったり、色鮮やかな薄明光線が透明な孔雀の尾のように空に広がることもしばしば。むしろその水気と強い陽射しに午後の空気はむっとしていて、暑さ負けから立ち直りはじめた身体は思わずひるむよう。
白いふわふわの毛皮族の可愛い同居人も、庭で遊びたいけれどドアが開いて鼻先に感じる熱に思わずたじろく程で、日が沈むのを見計らい、黄昏の中、アメリカ合歓木の大木のシルエットの隙間に、金星が枝から光の雫が溢れるように見えるのを見つけたりしながら、そっと遊ぶのがこの頃の慣いでした。
暑さに苦しんだのは、人や動物だけではなく、庭の龍眼の若木も、なんとかそんな暑さの盛りは乗り切ったように見えたものの、内側はひどく疲弊してしまっていたようで、本格的な雨季まであと一息のところで力尽きて枯れてしまいました。聞けば友人の家の庭のマンゴーの木も何本か立ち枯れてしまったとのこと。ここ数年の暑さに負けてしまう木が少なからずあるようです。

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小満末候は麦秋。すなわち植物の枯れる相を表していますから、刈られた草が見る間に乾いたり、抵抗力が足りない若木が枯れるのもそのとおりのかもしれませんが。家の近くの草原の茂みがあまりに深くなったのが刈り取られ、陽射しの強さに見る間に金色になり、窓をあけると枯葉の蒸れて発酵する埃っぽくほの甘い香りがただよってきて、香りと色は確かに麦秋のようでもありました。
とはいえ、本来の麦秋は生命の枯れと同時に実りももたらすもの。
残念ながらチェンマイの市内やその周りには麦はありませんが、タイに麦は育たないのかといえば、そうではなく、数年前からチェンマイよりもう少し北で標高の高い地域で育てた麦を使った、クラフトビールもあったりします。
ほんのりオレンジのような果実の香りもある、なかなか美味しい白いビールで、本当ならばこの季節にぴったりだったのでしょうけれど、今年は残念ながらその時期を逸してしまったようです。

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