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白露 第四十三候 草露白

思いがけず色々なことが続いて、少し実際の七十二候から遅れてしまいました。
草露白 、くさのつゆしろしは 九月七日から十一日頃。温暖化の影響で日本は残暑のさなか、なかなか朝夕の涼しさに草むらに露が集まるという一日の寒暖差は始まったのでしょうか。

かたや雨季の後半に入ったチェンマイは、今年は思いがけず朝夕が涼しい日が多く、白いふわふわの毛皮族も朝の散歩をなかなか終わらせたがらなくなり、歩く距離が長くなり始めました。

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そして、そのせっせと歩くふかふかの巻毛の背中は、昼間の30度を少し越える暑さから22度から24度くらいまで一気に下がる早朝の、気温差で生じた霧にかすかにしっとり。
チークの梢に居るリスが気になって笑いながら見上げている白いふわふわの背中を撫で、頬擦りすると、湿気で少し蒸れた毛皮の苔のような静かな香りがし、歩いて高くなった彼の体温がなんとも愛おしくなり、大切な毛皮族の家族への気持ちが霧に包まれているおかげで普段以上に親密に感じられるようでもあります。

雨季なのですっきり晴れ上がる朝を迎えることはなかなか無く、草の葉に生じた水滴に朝日が光るところは見られませんでしたが、朝日に少し暗く透ける、霧の塊が地上を這うように、波打つように進んでいくさまは、どこか巨人かなにか大きな存在の厳かな歩みのようでもあり、また、時折頭上を覆う霧が途切れて見える、朝日に輝く低い雲やその向こうの微かな青空を見上げると、何かの結晶の破片が沈澱しつつあるガラスの器の底から天上を見上げているような気持ちになってきます。

露というより、盆地の底に街を覆うみっしりとした密度さえ感じる霧が、チェンマイの白露らしい気象現象であり、風景なのかもしれません。

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