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19. クアトロカンティからパラティーナ礼拝堂
真夜中に電話が鳴り、日本からと取り次がれる。Hertzレンタカーから車の手配ができましたという連絡だった。途中からは車移動の予定。イタリアはマニュアル車のため、当時はレンタカーでもマニュアル車が9割5分ほど。運転できる同伴者の希望がオートマで手配に時間がかかったが、これで一安心。
翌朝、近くのバス停へ。時間を確認してから、タバッキでバスのチケットを買おう。すぐ来たバスを見送り、探したが見つからない。一旦バス停に戻ったらバスが来て、ドアが開いてしまった。タバッキがない、切符がない、と言うと、いいから乗れ!と。タオルミーナのように中でも支払えるのかと乗り込んで財布を出すが、いらないと言われた。狼狽えていると、背中を突く者あり。後ろの席に座るおばあさんだ。あげるわ!とチケットを渡された。いえいえ!とジェスチャーすれば、いいのよ!もう今日は乗らないわ、と言って笑う。お礼を言い、いただくことにした。このチケットは一日券ではなく、90分券(当時)。バスにスタンプの機械があり、制限時間内なら何時も昇降OK。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/70945153/picture_pc_5d7798c6411a80201146998c19365556.jpeg?width=800)
マクエダ通りとヴィットリオエマヌエレ通りの交差点、有名なクアトロカンティ(Quattro Canti)へ。四つ辻のこと。円弧に角が削られて、上から見たらほぼ円形のスペースができている。わあ、バロック!華やか。少し煤けた感じだけれど。本当の名前はピアッツァヴィリエーナ (Piazza Vigliena)。ガイドブックによると、オッタゴーネ (Ottagone)、太陽の劇場 (Teatro del Sole)という名前もあるそうだ。1608年着工、1620年完成。装飾はおそらくローマの建築家ジュリオ・ラッソが手掛けたとのこと。この装飾、3段4箇所の装飾が違う。一番下の段には小さな噴水があり、四季を表しているそうだ。中段の像はスペイン総督、上段は聖クリスティーナ、聖ニンファ、聖オリーヴァ、聖アガタとのこと。アガタはカターニャの守護聖人だろうか。気になったのは、他は普通のバルコニーだから、人が住んでいるということ?車の通行量も人通りもあり、落ち着いて撮りたいが、とても無理。諦めてこの眼に焼き付けておく。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/70945040/picture_pc_923e8254a6c1cc6e22a9980d3b0ac51b.jpeg?width=800)
その後、すぐそばのマルトラーナ教会(Martorana)へ。小さな教会で、美しい。1143年に建てられた後、ファザードは16世紀に改築、中の柱廊は17世紀に壊されてベイ(径間)というものに、18世紀にヴォールトのフレスコ画装飾が施されたとのこと。クーポラやアーチ内側、大アーチなどのモザイクはシチリア最古のものの一つだそう。このモザイクも美しい。多様な様式を取り入れていっても、さほど大きな違和感はなく。他に観光客がおらず、ちょうど朝日が差し込んで何となくホッとするような空間だった。
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すぐ隣のサンカタルド教会(S.Cataldo)に。Googleの航空写真モードでもわかりやすい、三つ子の赤く丸いドームが目印。1160年ごろに建てられ、Web情報によるとベネディクト修道院に寄贈されたり、郵便局になったり。建築家のジュゼッペ・パトリコーロによって、改築された部分は元の形に戻されたということなので、図面が残っていたのかな。よかった。石の積み上げが見える、シンプルな内装だった。隣合うマルトラーナ教会とは逆に、当時の状況を留めていて、どちらも見れると味わいがある。中で掃除をしていたので気が引けて写真を撮らずに出た。
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次に、ノルマン王宮(Palazzo di Normanni)へ。元は古代カルタゴ、古代ローマの城塞というのが興味深い。アラブ人がその跡地に城壁を築き、12世紀にノルマン人が拡張して豪華な王宮に造り替え、フリードリヒ2世の時代にヨーロッパ最高水準の文化の中心地になったが、ホーエンシュタウフェン王家衰退とシチリアの政治衰退にともない荒廃し、1555年以降にスペイン総督が使用する際に改修されたとのこと。この中に、王家の居室(3階)とパラティーナ礼拝堂(2階)がある。この王家の居室はその時代のままに全面金色モザイクが残っているそうだが、非公開なのが残念。
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パラティーナ礼拝堂(capella Palatina)は、規模が小さいけれど、すべて繊細。どこを向いても芸術品。手抜きなし、金に糸目はつけない。そう思っていたかは定かではないが、ルッジェーロ2世により1132年着工。1140年献堂とは想像よりも短期間。
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天井の鍾乳石状の装飾、壁のモザイク、柱や床などの細やかな装飾が美しくて、血圧上がる。天井はイスラム建築という点がおもしろい。1143年頃アラブ人によって制作されたというムカルナス(英語スタラクタイト)。吸い込まれるようだ。薄暗いので細部まで撮れていることを祈りながら、一応シャッターを切る。帰国後に現像したら、やはり撮れていなかった、無念!ただ、入れなかったクーポラ部分は遠巻き撮影にもかかわらず、一応写真に撮れたのはよかった。金色のために光を受けていたからか。内陣のモザイクも天井と同時期で最古、身廊のラテン語の書き込みがあるモザイクは1154〜66年ごろのもの、その後に両側廊の聖ペテロと聖パウロの生涯のモザイクが作られたとのこと。どの部分のモザイクも、ピースの小ささは想像以上。本当に美しい。
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左上の囲みがクアトロカンティ。上空からは丸い穴に見えています。左上の囲みがカテドラーレ。左下が王宮、城塞の面影がありますね。徒歩で移動できます。
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この辺りは見どころが多く在るので、じっくり観て回るには、2日くらいあるといいですよね。時間によって景色が変わるもの。このガイドブックの地図は、メインの建物が立体で描かれているのも好き。前記事のモンレアーレとの尺度の違いからも、大きな街とわかります。
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ノルマン王宮のサイト
今はガイドさん説明つきツアーと音声ガイドツアーがあるのですね!予約もできるサイト。王家の居室の写真もあります。プライベートルームがこんな艶やかって落ち着かない気がするのは庶民だからでしょうか。
一緒に旅をしているような気持ちになっていただけたら、うれしいです。 または、次の旅の計画のご参考になれば。