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映画館の思い出

親が映画好きで、映画だけは親の知り合いの大人と一緒に(親は金がなかったので)よく連れて行ってもらっていた。
今では考えられないが、当時は、R指定もなく、子供でもえげつない描写の映画が普通に見れて、立ち見や喫煙も可能で、煙の中咽せながら鑑賞していた。
座席指定はないので、満杯で座る場所がなくなると、通路に座ったり、バーの上に登って腰掛けてみていたのを思い出す。出入りも激しく、後方席はしょっちゅうドアが開閉するので眩しいやらうるさいやらでうっとおしかった記憶がある。

上映中、アメリカみたいに、興奮するシーンがあるとみんなスタンディングオベーションしたり、叫んだり、拍手したりした。スポーツ観戦のようだった。

そんなカオスな昭和映画時代を体験してきた私でも、最近の映画マナーの悪さにほとほと呆れてしまい、怒りに任せてホームシアターをポチるという快挙に出た。←使い方。

映画館で最後に見た映画は「ジュラシックパーク」だった。
隣が若いカップルだったのだが、これが上映中、スマホを見るわ関係ない話はするわ、とにかくうるさくて映画に集中できなかった。
「うるせぇなぁ〜」と思ってたが、よく考えたら昔の方がもっとうるさかったよな〜、でも、映画の反応で叫ぶのと、個人的な問題で周囲に迷惑かけるのは違うよな〜、でも、昔は喫煙なんかあったもんな。タバコの煙はたまらんかったわ。出入りも激しかったし立ち見で前の人で画面が全然みれなかったりさ……などと、過去の嫌だった部分と現在の嫌な部分を比べ、なんとか自分の心を落ち着かせて映画に集中しようと思った矢先、隣の女が、画面に出てきたTレックスを指差し、甘ったるい声で「ねぇねぇ、あれって本物ぉ〜?」と言った瞬間、頭の中の何かがキレる音がした。

「そうだ、家に帰ったらずっと欲しかったけど、高くて躊躇っていたホームシアターを買おう! スクリーンは100インチだ!!」

あれ以来、映画館に行ってない。
年々、頻尿も加速しているし、2時間を超える映画となるとトイレが気になって集中できないのもあったので、いつでも停止できてコーヒーが飲める環境は最高に良い。

おかげさまで、現在は快適映画ライフを送れている。
ありがとう、バカップル! 私にポチる勇気をくれたこと、まことに感謝するよ。
君たちがいなければ、私は今も映画館に行って「今日はマナーの悪い人に会いませんように、会いませんように!」と祈りを捧げ、ギャンブル体勢で映画館に向かっていただろう。

そのときの絵日記。前描いたやつ無くしたからもう一回描いておくね。


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