[禍話リライト]まだ出る[禍話 第五夜]
実話怪談を集めるの、もうやめようかな。
仕事も人間関係もうまくいかない。そんな日々が続いた帰りの電車で、座席に身を沈めながら思いついた。幼少期の心霊体験をきっかけに何かにとりつかれたように怪談を蒐集していたが、そろそろ限界かもしれなかった。
この世には私たちの常識では測れないような存在が確かにいる。そんなロマンを追い求めているのが急に馬鹿らしく思えた。ネットや大多数の人が言うように幽霊やお化けは目の錯覚や気の迷い、脳の欠陥だという考えが脳幹にじっくりと染み渡っていく。