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住む場所は家族が決めるもの

結婚してから、転勤と共に生きている。はっきり言って、振り回されている。転勤制度は本人はもちろんのこと、家族に与える影響は大きい。

新婚早々の別居生活

結婚してすぐに夫が関東へ転勤となり、新婚早々、別居生活を送ることになった。私の関東勤務の希望が承諾された8カ月後、ようやく一緒に暮らせるようになった。

28年間、関西の地を離れたことがなかったが、当時は東京勤務という新しい環境をそれなりに楽しんでいた。関東での生活にようやく慣れてきた1年半後、妊娠が発覚。産休・育休を取ろうか悩んだとき、夫から数年以内に転勤になる可能性があると言われた。育休中に夫が転勤になった場合、私が席を残しておくことで、チームに人員は補充されない。ただでさえ忙しい職場に、迷惑がかかると思った。また、子どもが産まれてまで別居生活を送るのは、私の望む家族のカタチではない。結果、続けるという選択肢はなく、産休を取る直前に、7年半勤めた会社を退職した。

見知らぬ土地も住めば都

当初、関東での子育ては孤独だった。職場には仲間がいたけれど、近所に知り合いがいないことに出産するまで気づかなかった。義実家も実家も、たやすく助けを求められる距離ではなく、1日中、赤ちゃんと1対1で向き合う生活。児童館へ顔を出したり、育児サークルに入ったりしながら、徐々に知り合いを増やしていった。気づけば、人にも環境にも恵まれた充実した生活になっていた。

転勤族の宿命

関東での暮らしも6年が経ち、住んでいた土地への思い入れが強くなっていった頃、念願のマイホームを購入した。できるだけ長い期間、ここに住みたいと思っていた矢先に、夫が関西へ異動になった。家の購入から、わずか半年だった。

転勤制度の負担は、結婚したパートナー、とりわけ子どもにも重くのしかかる。夫の転勤に付いていく場合、パートナーである妻は仕事を続けるか、辞めるのかの選択を迫られる。また、子どもがいる家族は、子育ての環境も大きく変化する。子育ては親だけではなく、地域や学校など、社会とのつながりも大きく影響する。

築き上げてきた環境が、転勤制度によって何の前触れもなく突如奪われるのは、母親と子どもにとっては相当なストレスだ。住環境や教育環境の急激な変化は、精神が未熟な子どもの成長に大きな影響を及ぼしかねない。また、単身赴任を選択した場合は、父親が不在になる時間が増えることで、子どもへの特別なケアが必要になる。

家族のスタイルも変わる。転勤制度も見直しが必要では?

関西での生活は6年目に突入した。いつ転勤になるのか、戦々恐々と暮らしている。転勤制度は、会社にとっては組織のリフレッシュや不正防止など、メリットがあるかもしれない。けれど、家族にはデメリットの方が多いのではないかと思っている。

家族のスタイルも随分と変化している。これからの時代、仕事ややりたいことを諦めて、夫に同行できる妻はどれくらいいるだろう。また、テレワークやリモートワークが増え、働き方も変わってきた。家族といる時間をより大切にしたいという人も増えてくるだろう。ライフプランを立てにくく、家族に大きな負担を強いる転勤制度を、これからの時代を生きる家族が果たしていつまで受け止め続けることができるのだろうか。

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