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「おのれナポレオン」三谷幸喜作 2013-04-11

2013-04-11

三谷幸喜作、野田秀樹さん主演の「おのれナポレオン」観てきました!
基本当て書きという三谷さん、野田さんをどのように役者として活かすのか…という点が楽しみでありました♪

冒頭は古典劇を思わせるような演出から始まり、実力派の役者さんさすがの語りです。
天海さんのアルヴィーヌはちょっとはすっぱで…外見イメージ的に「ああ…銀英伝のベーネミュンデ男爵夫人ってこんな感じかな…」と思って観てました。

内野さんの老人語りからの回想シーンの変貌はそれは見事で、ガウンを脱ぐ、着る…で時代変化を魅せるのはさすがです♪
2003年のレ・ミゼラブルCDでジャベールをなさってますが、実はその時のCD音源の感想は「…若い…」でした、いえ、かっこよかったですが!(当時34歳だったらしい)。
今回の自我が強く曲げず、でも正しいと思うところは貫くという部分、今の内野さんでジャベールを聞いてみたいな…と思いました。

そしてたくさん持ち上げられてからのナポレオンの登場……
期待させておいてからの皇帝陛下の登場…は大いに「こう来たか!」と「だろうな!」が入り乱れww

小柄で癇癪持ちのおっさん… 英雄ナポレオンではなく、セントヘレナ島に島流しされつつ過去の栄光にすがる道化者を、チェスの天才というところをふくらませ、「ナポレオン暗殺説」を作り上げていました。

野田さんのナポレオンは自由奔放で無邪気で…でも淡々と話す言葉が核心をついて悟っている風にも聞こえ、なにか子供に全て見透かされているような怖さを感じました。
そしてところどころに入る「モリエールなんて何言ってるか判んない」「(お芝居の)稽古ってすれば上手くなるの?」という部分……野田さんの言葉なのか三谷さんの言葉なのか…w
馬鹿っぽく見える天才というのはモーツァルトもダブりますね。
野田さんでアマデウス…

構成としては「ろくでなし啄木」のように事の発端を前半で…。
後半に事件の真相を…というのと同じ構成でした。
ただ、三谷さんのお話はシーンがながく、ともすれば1作品まるごとがそのままリアルタイムを切り取ったような流れでいくことも多いのが特長です。
が、今回は、20年後の語りとナポレオンとのエピソードもかなり飛び飛び。
しかし、登場人物が回想録の外側にいてツッコミを入れたりしても破綻せずわかりやすいのはさすがだな、と思いました。

最後はぞわっとさせつつも、ナポレオンが愛されていた事が伝わり、物騒な締めではあったものの、ほわっと暖かくなる終わり方でございました♪

近年の作品、「啄木」や「ベッジ・パードン」もそうだったけど、何気に残酷をほのめかす部分があるような気がします。
映画「ステキな金縛り」でもさっくり阿部さんが死んだ時もぞわっとしましたが。
なんかそんなところも、コミカルななかに濁った人間味が観えて好きだったりします。

あ、あと芸術劇場プレイハウスって、世田谷パブリックシアターにちょっと似てますね♪

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