華々しいシシィはいない 重責と更年期に苦しむ皇后陛下 #エリザベート1878
「エリザベート1878」を観てきた。
中指を立てたりタバコをふかしているエリザベートのビジュアルがインパクトあって以前より気になっていた作品。
上映館が東京では日比谷シャンテと渋谷Bunkamuraしかないのが残念。
(追記: 立川も上演追加されたそうです)
平日昼間でもかなりの人気で、宝塚お好きそうなマダムや老紳士も多かった印象を受けた。
ミュージカルのエリザベートは観ているが細部まで詳しくないし歴史的にもあまり知識はない。
それでも、ミュージカル後半の散々たるエリザベートの闇を払拭したかのように見えた。
平均寿命40歳の時代
この時代の一般女性の平均寿命が40歳。
この年のエリザベートは40歳。
今までのきらびやかな皇后のイメージを保とうと苦心するも、理想に届かない失望。
常に扇で仰いでいるのは更年期ののぼせ症状かもしれない。
さらに皇后、女性であることの重責。
イライラが募り反抗期のような状態。
それをアグレッシブに出しすぎるでもなく抑圧するでもなく耐えられず漏れだした部分は気品があるように見えた。
史実にもあるように部屋にはトレーニンググッズ(つり輪やダンベル)があり、美への追求は欠かしていないが、この年頃では追求と言うよりも過去の自分のイメージとの乖離を恐れていたのかと感じる。
なまじか幼い頃から美人で可愛がられていただけに、チヤホヤされない自分の想像がつかなくて戸惑いもあったのかもしれない。
美人ゆえの悩みは想像がつかないが笑
立場からの脱却
作品中ではエリザベートは死にたい、と自殺未遂をする。
また、精神病棟への慰問もする。
慰問は皇后の努めでもあるのだろうが、加えて同じく追い詰められている患者への親近感みたいなものを感じているのではないかと思う。
自分もこのように自由に叫びたいと思っていたのかもしれない。
エンドロールの映像
そんな女性の美意識、皇后の立場、更年期の辛い症状(多分)、自分の存在意義で潰されそうになっていたエリザベート。
ラストのエンドロール時の映像はとても美しくて自由を感じた。
イメージの違いも楽しめた
一般的なエリザベートのイメージ像とは違うし、時代背景的に合わないものもあるかもしれない。
しかし、老いてからの姿はあまりクローズアップされていないなか、彼女がやりたかったであろう事が描かれていてとても楽しかった。
正解はわからないが私はこういう考えは好きだ。
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